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13年愛したクズ男の末路第2話

この話は約1953字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

エレベーターには私一人しかいなかった。鏡に映る自分を見つめる。まだ三十二歳だというのに、まるで四十代のように老け込んで見えた。

思い返せば、あの夜は結局一睡もできず、翌日には高熱を出してしまった。

意識が朦朧とする中、悠河にメッセージを送った。

返ってきたのは、たった一言。【忙しい】

私は重い体を這うように起こし、自分でタクシーを呼んで病院へ向かった。受付から会計、薬の受け取りまでを済ませ、一人で点滴室の椅子に座って点滴を受けていた。

隣には一組のカップルがいて、互いに寄り添い合っていた。彼女の方が冷たくならないようにと彼氏の点滴の管を両手でそっと温めている。

その姿を見つめていると、最後に悠河が病院に付き添ってくれたのがいつだったか、ふと思い出せなくなった。

三年前だったか、それとも四年前だっただろうか。

点滴が半分ほど終わった頃、スマートフォンが鳴った。悠河だった。

「今どこにいるんだ?」

「病院」

「たかが熱くらいで大げさだな。こっちは忙しくて死にそうなんだよ、分かってるのか?」

私は目を閉じ、黙っていた。

「昨夜のバグは直したのか?クライアントが急いでるんだ、早くデータを送れ」

「今、点滴中なの」

「終わったら帰るんだろ?グズグズしないで早くしろ」

私は目を開け、天井を見つめた。「悠河、39.2度あるの。医師から、一晩様子を見るように言われてるわ」

電話の向こうで、二秒ほどの沈黙が落ちた。

「じゃあ、今日は何が何でも戻らないつもりなんだな?」

「ええ」

彼が電話を切る寸前、私は言った。「少しだけでいいから……そばにいてくれない?」

再び沈黙が流れる。

「つらいなら薬を飲め。俺は医者じゃないんだから。

こっちは今、萌彩とミーティング中なんだ。お前に付き合ってる暇なんてない。いい大人なんだから、熱が出たくらいで人に甘えるな」

暗くなった画面を見つめながら、私はふと笑い声を漏らした。

萌彩。

また、萌彩だ。

夜になって、私は萌彩のSNSの投稿を目にした。

映画館での自撮り写真。キャプションには【残業終わりにちょっと息抜き。社長と一緒に映画鑑賞】とある。

写真には、恋人同士のように重なり合う二人の手が写っていた。

私はスマートフォンを置き、布団を首元まで引き上げた。

翌日、熱が下がって帰宅すると、悠河はすでにダイニングテーブルに座って朝食をとっていた。

彼は私の体調が良くなったかどうか、尋ねることはしなかった。

一緒に食べるかどうかも聞かず、まるで私のことなど最初からそこに存在しないかのように、完全に空気扱いしていた。

彼を見つめていると、これまで気にも留めなかったような小さな出来事がふと頭をよぎった。

彼は元々気性が荒く、ほんの些細なことでもすぐにキレた。

企画書が気に入らなければキレた。会議が思い通りに進まなければキレた。私が彼の好物であるイチゴを買い忘れただけでもキレた。

その度に私は機嫌を取り、優しく声をかけ、ひたすら下手に出て彼の怒りが収まるまでなだめ続けてきた。

しかし、彼は萌彩に対しては一度たりとも声を荒らげたことがなかった。

先日の会議で萌彩が二十分も遅刻した時、彼はただ笑って「次から気をつけてね」と言っただけだった。

先週の飲み会で、萌彩が皆の目の前で「今日の社長、メイクが濃すぎて歌舞伎役者みたいですよ」とからかった時も、彼は笑いながら「可愛くないこと言うなよ」と返しただけだった。

それに対して、私が彼に送るファイルのバージョンをうっかり間違えただけの時は、全社員の前で十分間も私を怒鳴り散らした。

昨夜、私が高熱を出した時でさえ、彼の顔にあったのは煩わしさだけだった。

「私たち、ずいぶん一緒にご飯を食べてないよね。明日の昼、一緒に食事しない?」

彼は顔も上げずに答えた。「無理だ。明日の昼は萌彩と打ち合わせの約束がある」

「夜は?」

「夜も用事がある」

「じゃあ、明後日は?」

そこでようやく彼は顔を上げた。聞き分けのない子供を見るような冷ややかな目だった。

「莉葉、会社が今どういう状況か分かってるのか?お前と飯を食ってる暇なんてあるわけないだろ」

「じゃあ、どうして萌彩と映画を見に行く暇はあるの?」

彼は一瞬ハッとした後、眉をひそめた。「誰からそんなこと聞いたんだ?まさか俺をストーキングしてるのか?」

私は彼をまっすぐに見つめた。「そんなことしてない。ただ知りたかっただけよ。どうして彼女のためにはいつでも時間を作れるのに、私のためには作れないのかを」

彼は立ち上がり、凍りつくような冷たい声を出した。「莉葉、いい加減にしろよ。彼女は俺のアシスタントだ。毎日一緒にいるのは仕事の都合だ。わがままを言うな」

「じゃあ、私とあなたはどうなの?私たちの関係もただの仕事の都合?」

彼は黙り込み、そのまま乱暴にドアを閉めて出て行ってしまった。

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