13年愛したクズ男の末路第1話
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私、秋元莉葉(あきもと りは)と長谷悠河(はせ ゆうが)は学生時代から付き合っている、お互いにとって初恋の相手だ。二人で必死に支え合い、苦楽を共にしながら、どん底の地下アパートからペントハウスへと這い上がってきた。
しかし会社が上場を果たしたその日、彼は自分の若いアシスタントを傍らに引き寄せてみせた。
「これまで数々の困難を共に乗り越えてきてくれたのは萌彩だ。だから今日、会社の株式の半分を彼女に譲渡しようと思う」
森下萌彩(もりした もあ)も一切躊躇うことなく振り返り、集まった大勢のメディアの目の前で悠河と熱いキスを交わした。
その場にいた誰もが、この若き「夫婦」の姿に感動し、涙を流していた。
私はヒステリックに問い詰めることもなく、首から下げていた社員番号「01」のIDカードを静かに外し、そのまま背を向けて立ち去った。
この十三年という歳月が、私に「諦める」ことを教えてくれたのだ。
* * *
私、秋元莉葉(あきもと りは)と長谷悠河(はせ ゆうが)は学生時代から付き合っている、お互いにとって初恋の相手だ。二人で必死に支え合い、苦楽を共にしながら、どん底の地下アパートからペントハウスへと這い上がってきた。
しかし会社が上場を果たしたその日、彼は自分の若いアシスタントを傍らに引き寄せてみせた。
「これまで数々の困難を共に乗り越えてきてくれたのは萌彩だ。だから今日、会社の株式の半分を彼女に譲渡しようと思う」
森下萌彩(もりした もあ)も一切躊躇うことなく振り返り、集まった大勢のメディアの目の前で悠河と熱いキスを交わした。
その場にいた誰もが、この若き「夫婦」の姿に感動し、涙を流していた。
私はヒステリックに問い詰めることもなく、首から下げていた社員番号「01」のIDカードを静かに外し、そのまま背を向けて立ち去った。
この十三年という歳月が、私に「諦める」ことを教えてくれたのだ。
……
画面に映る悠河と萌彩の親密なツーショット写真を見つめながら、私はふと、上場申請が通った日のことを思い出していた。その日は、私の三十二歳の誕生日でもあった。
あの日、私は一人きりで深夜二時までリビングのソファで彼を待っていた。何度もスマートフォンを手に取って確認したが、何の通知も来ていない。
午後六時に悠河から「チームの飲み会がある」と言われてからその時まで、丸八時間。たった一通のメッセージすら届かなかった。
SNSを開くと、萌彩が新しい投稿をしていた。写真の真ん中にはグラスを掲げ、目を三日月のように細めて笑う悠河が写っている。
キャプションには、【申請通過のお祝い。社長のごちそう!】とあった。
画像を拡大すると、彼の首筋に口紅の跡がくっきりと付いているのが見えた。
夜の十一時、私は一度だけメッセージを送っていた。【今日は早く帰ってきてね。待ってるから】
既読はついたものの、返信はなかった。
午前三時、玄関の鍵が開く音がした。
ソファに座ったまま、足元をふらつかせながら靴を脱ぐ彼を見つめる。三メートル離れていても分かるほどの、強烈な酒臭さが部屋に漂ってきた。
「まだ起きてたの?チームの飲み会だって言っただろ、別に待つ必要なんてなかったんだよ」
悠河はこちらをちらりと見たが、その口調に申し訳なさは微塵も感じられない。
「今日は私の誕生日だよ」
彼の動きが一瞬ピタリと止まった。しかし、すぐにまた寝室へと歩き出しながら言う。「プレゼントは渡しただろ?」
「悠河」
彼は足を止め、露骨に面倒くさそうな顔で振り返った。「何だよ?こっちは疲れてるんだ、話なら明日にしてくれない?」
私はローテーブルから小さな箱を手に取った。それは今朝、彼が出がけに誕生日プレゼントだと言って、私に放り投げてよこしたものだ。
「これ、何?」
「指輪だ。お前、ずっとペアリングが欲しいって言ってただろうが」
箱を開けると、中に入っていたのは銀色のシンプルなリングだった。内側には「R」というアルファベットが一つ刻まれている。
私はスマートフォンを彼に向けて掲げた。画面に映っているのは、萌彩が三日前にSNSへ投稿した写真だ。
彼女が新調したブレスレットの横に、無造作に置かれた小さな箱。その箱に入っている指輪は、これと全く同じデザインだった。
彼の顔色が変わった。
「なんでお前が彼女のSNSを見てるんだよ」
私はさらにスマートフォンを突き出した。「この指輪と、あなたが私にくれたこの指輪。全く同じものじゃないの?」
彼は苛立たしげに私を睨みつけた。「何が言いたいんだよ」
「聞きたいのはね、あなたが私にくれた誕生日プレゼントは、萌彩がブレスレットを買ったときのオマケなんじゃないかってこと」
「どういう意味だよ」
彼は顔を真っ赤にして声を荒らげた。「オマケだか何だか知らないが、これは俺がわざわざ店に行って選んだんだよ!萌彩の投稿は彼女が自分で買ったものだろ。彼女の買った物を俺がお前にやるわけないだろうが!」
「本当に?」
「莉葉!お前、いくらなんでもしつこいぞ!真夜中に寝もしないで、たかが指輪一つのことで俺を尋問するつもりか?」
私は彼を見つめた。怒りで醜く歪んだその顔を見ていると、不思議なほどスッと心が凪いでいくのを感じた。
私は上着を手に取り、背を向けて玄関へと歩き出した。
「どこに行くんだ」
「会社でまだやることがあるから。先に寝てて」
ドアに手を掛けた時、背後から彼の怒鳴り声が聞こえた。
「莉葉、いい加減にしろ!俺はただ飯を食っていて時間を忘れてただけだろ!萌彩が勝手にSNSに投稿したことなんて、俺に何の関係があるんだ?」
私は静かにドアを閉め、彼の怒声を背後に遮断した。
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