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100回の許し第2話

この話は約1517字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

カウントダウン、残り25日。

この5日間、悠の普段はシンプルなSNSのタイムラインは、やけに賑やかだった。

昼間は広場で鳩を飛ばし、夜は遊園地のホテルにある展望台からパレードを眺める。

彼らが共に歩んだ一歩一歩を、私は見逃さなかった。

悠が私に約束した言葉なんて、きっととっくに忘れているのだろう。

私は立ち上がって荷造りをしようと、床一面に散らばったものを広げたばかりだった。

突然、悠の秘書から電話がかかってきた。「奥様、八時の仙橋での花火大会、お忘れなく」

「もし何かあったら、雲井社長に何を言われるか......」

悠と結婚して五年。私を「奥様」と呼ぶのは、橘秘書だけだった。

橘秘書だけが、私と悠の婚姻関係を知る唯一の人間だった。

橘秘書を困らせるつもりはなかったので、私は承諾した。

けれど、実際に仙橋へ向かう時、私はふと我に返った。

5年前、私と悠が結婚したばかりの頃。

彼が私にサプライズの花火ショーを贈ってくれたのも、橘秘書がこっそり教えてくれたものだった。

5年が過ぎ、同じ場所へ向かう。

私の心境は、もうあの頃とはまるで違っていた。

仙橋の近くに着くと、そこにはすでに無数の観光客が集まっていた。メディアの姿も多く見受けられる。

私は疑問に思い、もしかしたら勘違いしているのかと、悠に電話をかけた。

電話の向こうからは、ひたすら話し中の音が聞こえる。

もう一度かけた。

何を期待しているのか、自分でも分からなかった。

しかし、何度かけても繋がらず、悠の姿も一向に見えなかった。

時間を見ると、もうすぐ8時だ。

人混みの中から、「花火が始まるぞ!」という声が聞こえてくる。

「これって雲井社長が奥様のために用意した花火大会なんだろ?僕たち、ちゃっかり便乗しちゃったな」

私はハッとした。

悠は人前では、ずっと未婚のふりをしていたはずだ。

では、観客が言う「奥様」は、きっと私であるはずがない。別の誰かのことだろう。

花火を見るのに一番良い場所は、仙橋の最北端だと知っている。

せっかく来たのだから、見ていこう。

少なくとも花火に罪はない。

ただ、人が多すぎた。

私は人波に押され、最前列へと押し出された。

ついに悠の姿を見つけた。

彼は最高の場所で、莉緒を深く抱きしめていた。

花火はすでに夜空に次々と絢爛に咲き誇っていた。

耳元で炸裂する音を聞きながら、私は悠が、人々の歓声と花火が混じり合う喧騒の中で、莉緒に贈る愛の告白を聞いた。

記者がマイクを莉緒の前に差し出し、尋ねた。「お答えは?」

悠は莉緒の肩をそっと抱き寄せ、期待に満ちた顔で彼女を見つめていた。

莉緒ははにかみながらマイクを受け取り、口を開いたばかりだった。

その時、私と悠の視線が合った。

悠は呆然とし、思わず「咲良......」と呟いた。

その瞬間、仙橋全体が静まり返った。

花火の音さえ、ほとんど聞こえないほどに。

誰もが悠の言葉と、彼が見ている私に注目していた。

莉緒は私を見て、眉をひそめ、彼に尋ねた。「この人、誰?」

悠は気まずそうに唇を舐め、どう収拾をつけるべきか考えているようだった。

私は笑って、皆の視線を受け止めながら答えた。「咲良です。雲井社長の......」

悠はひどく緊張して私を止めようとしたけれど、私が口にしたのは「従妹です」という言葉だった。

その言葉が落ちると同時に、私が握りしめていた拳もわずかに緩んだ。

「叔母さんに頼まれて、お嫁さんがどれほどお美しいか、一度お目にかかりたくて。もしかして、驚かせちゃいました?」

悠の表情はついに和らぎ、満足げに私に頷いた。

彼は私が外で身分を明かすことを望んでいなかったし、義母も当然同じだった。

だから、義母と出かけるたびに、彼女は私に『叔母さん』と呼ぶように言っていたのだ。

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