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養子の誕生日、妻は俺を地下室に閉じ込めた第1話

この話は約1985字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

俺・水野律(みずの りつ)ががんと診断された日は、妻・水野美咲(みずの みさき)が養子に迎えた水野悠斗(みずの ゆうと)の誕生日だった。誕生日パーティーが始まる直前、俺は血を吐いた。美咲は、悠斗の誕生日に水を差したと俺を責め、病院へ連れていくどころか、地下室に閉じ込めた。

床に倒れ、シャツを血で汚した俺を見下ろし、美咲は冷たく言い放った。

「律、よりによって悠斗の誕生日に血を吐くなんて。今日がどんな日か分かってるの?」

病院へ連れていってくれと頼んだ。だが、美咲は医師にも確認したと言い、早期のがんなら吐血するはずがないと譲らなかった。安西亮介(あんざい りょうすけ)に嫌がらせをするため、わざと吐血したふりをしていると決めつけていた。

俺は声を振り絞ってすがった。「俺は美咲の夫だろ!頼む、美咲。病院へ連れていってくれ。もう二度と姿を見せないから」

美咲は表情を険しくし、俺の首を締め上げた。「そうやって私の気を引こうとしても無駄よ。悠斗の誕生日が終わるまで、そこで大人しくしていなさい。そのあとで病院へ連れていく。病気が治れば、今までどおり水野家の婿でいられるわ」

激痛に耐えきれず、俺は何度も悲鳴を上げた。美咲はその声を嫌がり、悠斗と亮介を連れてホテルで誕生日パーティーを続けた。

その後、俺のことを思い出した美咲は、手術が無事に終わったかと秘書・森川拓也(もりかわ たくや)に尋ねた。拓也は青ざめ、震える声で答えた。「律さんは……もう、病院にはいらっしゃいません」

* * *

がんと診断された日は、美咲が養子に迎えた悠斗の誕生日だった。

誕生日パーティーが始まる直前、俺は血を吐いた。美咲は悠斗の誕生日に水を差したと俺を責め、病院へ連れていくどころか、地下室に閉じ込めた。

美咲は冷たい目で俺を見下ろした。

「律、よりによって悠斗の誕生日に血を吐くなんて。今日がどんな日か分かってるの?」

湿った床に這いつくばっている。白いシャツの胸元は、吐いた血で濡れている。

胃がひきつり、激しい痛みが走った。このままでは死ぬと思い、必死に病院へ連れていってくれと頼んだ。

美咲の目に失望の色が一瞬よぎり、声が低くなる。

「まだ嘘をつくの?医師にはとっくに確認してあるわ。早期のがんなら、転移することも、血を吐くこともないのよ!

亮介への嫌がらせのために、悠斗の誕生日にこんな真似までして。よくそこまで考えつくわね!」

深く息を吸い、声を振り絞ってすがった。

「俺は美咲の夫だろ!頼む、美咲。病院へ連れていってくれ。もう二度と姿を見せないから」

美咲は顔を険しくした。身をかがめて俺の首を締め上げ、冷たく言い放つ。

「そうやって私の気を引こうとしても無駄よ。

悠斗の誕生日が終わるまで、そこで大人しくしていなさい。そのあとで病院へ連れていく。病気が治れば、今までどおり水野家の婿でいられるわ」

そう言って立ち上がり、出ていこうとした。

青白い手で美咲の手首をつかんだ。青ざめた顔を上げ、もう一度懇願する。

「病院へ連れていってくれ。頼む……」

美咲は鼻で笑い、俺の手を乱暴に振りほどいた。そのまま肩を強く蹴りつけ、ためらいもなくドアに鍵をかける。

ドアの向こうから、冷え切った声が聞こえた。

「誠司、律を見張っていて。私の許可なしに、ここから出さないで」

痛みに耐えきれず、俺は何度も悲鳴を上げた。美咲はその声をうるさがり、悠斗と亮介を連れて温泉ホテルへ誕生日を祝いに出かけた。

美咲に肩を蹴りつけられ、俺は床へ倒れ込んだ。

反射的に体を丸めた直後、喉の奥が熱くなり、また血を吐いた。真っ白なシャツの胸元に、赤い染みがじわじわと広がっていく。

力を振り絞り、床に血の跡を残しながら、少しずつドアまで這った。拳で何度もドアを叩いた。

「誠司!頼む、ここから出してくれ。痛くてたまらないんだ!」

執事・黒田誠司(くろだ せいじ)はドアに耳を当て、中の物音を聞いていた。あからさまに顔をしかめ、嘲るように言う。

「律様、もう芝居はやめてください。美咲様から、絶対に出さないよう言われています。ここからお出ししたら、給料を減らされるのは私なんですよ。私のような使用人にまで当たらないでください。

もういいですから、騒がないでください。

律様のせいで、せっかく準備した誕生日パーティーも家で開けなくなったんです。

悠斗様は、パーティーが終わったら戻ってきて、私が作ったバースデーケーキを召し上がるんです。ここで律様に付き合っている暇はありません」

シャツの胸元をつかんだ。痛みはますます増していく。

誠司の足音が遠ざかりかけ、俺は慌てて呼び止めた。

「誠司!

行かないでくれ!本当に死ぬほど痛いんだ!

誠司が勝手に決められないのは分かってる。美咲に電話してくれるだけでいい。さっきから何度も血を吐いてるんだ。このまま病院へ行けなかったら、本当に痛みで意識を失いそうなんだ!」

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