雪乃の新しい道第1話
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親友の桐山彩(きりやま あや)の結婚式で、ブーケが私・白河雪乃(しらかわ ゆきの)の手に飛び込んできた。
彩がにやにやしながら近づいてきた。
「霧島誠(きりしま まこと)を付き添いに呼ぶの、どれだけ大変だったか知ってる?
七年間ずっと片想いしてたんだから、そのブーケ持って告白してよ!」
私はブーケを抱えたまま、呆然として固まった。
彩は知らない。私と誠は、もうすでに一年間こっそり付き合っていたことを。
片想いがついに実ったと思っていた。苦労の末に手に入れた幸せだと。
でも、彼に別れを突きつけて家から来た見合いの申し出を断らせようとしたあの日。
彼は気だるげに笑って、ひとつも気にした様子もなく言った。
「雪乃、七年も俺に片想いしてたくせに、本当に俺から離れられるのか?」
我に返った瞬間、誠が真っすぐ歩いてきて、私の腕からブーケを抜き取り、隣にいた先輩に何気なく手渡した。
固まった私の顔を見て、眉を上げながら、確信と侮蔑が混じった目で言った。
「雪乃、やっぱりそうだろ。お前は俺から離れられない」
* * *
親友の桐山彩(きりやま あや)の結婚式で、ブーケが私・白河雪乃(しらかわ ゆきの)の手に飛び込んできた。
彩がにやにやしながら近づいてきた。
「霧島誠(きりしま まこと)を付き添いに呼ぶの、どれだけ大変だったか知ってる?
七年間ずっと片想いしてたんだから、そのブーケ持って告白してよ!」
私はブーケを抱えたまま、呆然として固まった。
彩は知らない。私と誠は、もうすでに一年間こっそり付き合っていたことを。
片想いがついに実ったと思っていた。苦労の末に手に入れた幸せだと。
でも、彼に別れを突きつけて家から来た見合いの申し出を断らせようとしたあの日。
彼は気だるげに笑って、ひとつも気にした様子もなく言った。
「雪乃、七年も俺に片想いしてたくせに、本当に俺から離れられるのか?」
我に返った瞬間、誠が真っすぐ歩いてきて、私の腕からブーケを抜き取った。
固まった私の顔を見て、眉を上げながら、確信と侮蔑が混じった目で言った。
「雪乃、やっぱりそうだろ。お前は俺から離れられない」
ブーケを抜き取られた瞬間、指先にはまだ茎の粗い感触が残っていた。
かすかな冷たさも。
誠は私をもう一度見ることもなく、振り返ってそのブーケを林千夏(はやし ちか)の前に差し出した。
「千夏、この花はお前に似合う」
千夏は誠の大学の先輩で、誰もが注目する学園の高嶺の花だった。
誠の親が幾千人の見合い相手から選び抜いた、一番お気に入りの嫁候補でもあった。
千夏は花を受け取り、頬をほんのり染めて上目遣いに言った。
「誠、雪乃ちゃんは気にしないかな?誠のお母さんが昨日も早く決めなさいって言ってたし」
わざわざ私を見ながら言った。挑発的な目をしていた。
周りの事情を知らない同席者たちが騒ぎ始めた。
「つきあっちゃえ!つきあっちゃえ!」
「霧島さんと林さんが並んで歩いてるだけで、本当に絵になるよね!」
「またすぐ披露宴に呼ばれそう!」
私はその場に立ち尽くして、両腕はまだブーケを抱える姿勢のままだったが、手の中は空っぽだった。
七年間の青春が今まさに尽きようとしている、そんな空虚さによく似合っていた。
誠が振り返り、視線がようやく私に落ちた。
口の端に気だるい笑みを乗せて言った。
「あいつは物分かりの良い子だから、騒がないだろうさ」
物分かりの良い子。
物分かりの良い子だから、付き合っていても彼の隠された恋人として、「妹分」のふりをするしかなかった。
物分かりの良い子だから、自分のブーケを他の人に渡されても、彼の中で私は笑顔で祝福するべきだった。
隣で彩が地団駄を踏んで、誠をきつく睨んで私の手を引いてずかずかと詰め寄ろうとした。
「霧島、どういうつもり?このブーケは雪乃が受け取ったのよ!あなたって……」
私は彩を引き止めて、静かに首を振った。
私の恋心を、これだけ長い間、知っているのは彩だけだった。
心配してくれているのも、悔しいと思ってくれているのも分かっていた。
片想いと言うにはあまりにも苦しかった。
触れたくて何度も引っ込めた手、言いかけて何度も飲み込んだ臆病さ。告白して全部壊れるくらいなら、友達のままの方がましだと思っていた。
でも誠のあの「七年も俺に片想いしてたくせに、本当に俺から離れられるのか?」という言葉が、私を侮辱した。
彼はずっと知っていて、あえて言わなかったのだ。ただ私が沈んでいくのを、もがくのを、黙って見ていたのだ。
誠は私の様子を見て、目の奥の笑みをさらに深くした。近づいてきて、耳元でせせら笑った。
「拗ねるなよ、今夜家に来い。
いい酒が何本か届いたんだが、お前カクテル作れるだろ?作りに来い」
高いところから見下ろすようなあの口調が、嫌でたまらなかった。
顔を上げて、誠の視線と正面から向き合った。
いつも少し冷たさを帯びたその目が、今は面白がるような光を持っていた。
「誠、私たちはとっくに終わってる」
誠の顔の笑みが一瞬固まったが、すぐに目が冷えた。
「雪乃、そういう焦らし方は一度で十分だ。
俺はそんなに辛抱強くない、おとなしくしろ、な?」
私はじっと彼を見つめた。七年前に一目惚れしたあの少年は、いつの間にかいなくなっていた。
もう何も言いたくなかった。振り返らずに宴会場の外へ歩き出した。
後ろから千夏の優しく慰める声と、誠の苛立たしそうな鼻息が聞こえた。
その瞬間、胸の中が今まで感じたことのない静けさで満たされた。
もう好きじゃないと認めることは、そんなに難しいことじゃなかった。
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