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離婚届にサインした時、17歳の夫が突然現れた第3話

この話は約1465字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

17歳の航は、私がアルコールアレルギーであることを知っていた。

だから結婚式の披露宴ですら、私に勧められた酒はすべて航一人で飲み干してくれたのだ。

だが27歳の航は、別の女を腕に抱き、その事実を綺麗さっぱり忘れたらしい。

航。残されたチャンスは、あと2回よ。

アルコールのせいで、私の顔にはあっという間に赤い発疹が広がり、激しいめまいに襲われた。

航はここでようやく、私のアレルギーのことを思い出したようだ。

彼はひどく狼狽し、罪悪感に満ちた目を向けた。

「蛍、病院へ行こう」

その優しさは、かつてなら私を心から温めてくれたはずだった。

だが今は、心の底から吐き気を催すだけだ。

私は航の手を振り払い、淡々とした声で言った。

「いいの。家に帰って薬を飲めば治るわ。あなたたちは楽しんで」

「ダメだ。お前は俺の妻だぞ。そんな状態で一人にできるわけないだろ?」

航の口調に焦りが混じる。

彼は勢いよく立ち上がると、素早い動作で自分のジャケットを私の肩に掛けた。

「さあ、病院だ。心配なんだ」

そう言うと、航は個室で騒いでいた連中の驚いた視線や、部屋の隅で不機嫌そうに顔を歪める夏美のことなど全く気に留めず、私の腕をきつく掴み、半ば引きずるようにして個室から連れ出した。

病院に着くと、航は受付から診察、薬の受け取りまで、ずっと私の傍に居てくれた。

足早に行き来しながら、彼は何度も私にこう伝えた。「蛍、もう少しの辛抱だ。すぐに良くなるからな」

医者から症状はそこまでひどくないと直接聞き、航の焦燥しきった顔にようやく少しの安堵が戻った。

ベッドの傍らで私の手を握る彼の眼差しは、とても真剣だった。

「蛍、俺が悪かった。あの酒のせいでお前に何かあったら、一生自分を許せなかった」

航を見つめる私の心境は、ひどく複雑だった。

航の私に対する本心を疑ったことは一度もない。

私への優しさも、痛ましそうなその表情も、すべて私を愛しているからこそのものだ。

しかし航の愛は、あまりにも安っぽいのだ。

他の女が手招きすれば、簡単に手に入ってしまうようなものだから。

私は視線を外した。

傍らに立つ17歳の航は目を赤くし、何か言いたげに口を開いたが、結局何も言わなかった。

急にひどい疲労感に襲われた。体調の悪さに心の疲弊が重なり、今はただゆっくりと眠りたかった。

私は航に言った。「少し、休ませて」

航は丁寧に布団を掛け直し、私の額にかかった髪を耳の後ろへとかけた。

彼は優しく私を見つめて言った。「おやすみ。そばにいるから」

私は小さく頷き、それ以上応えることはしなかった。

意識が遠のき、眠りに落ちようとしたその時、航のスマホが鳴った。

私に向けられていた彼の視線がふと止まり、彼の躊躇が伝わってきた。

航はスマホを手に取り、足音を忍ばせて病室の外へと出て行った。

目を開け、天井をずっと見つめていたが、航が戻ってくることはなかった。

戻ってきたのは、17歳の航だった。

彼はうつむき、私と目を合わせようとしなかった。

「あの夏美さんが彼を呼び出したの?」

少年は何も答えず、ただ唇を噛み締め、両手を強く握りしめていた。

私は自嘲気味に笑った。

「彼はどこへ行ったの?」

少年は長い沈黙の後、苦しげに言葉を絞り出した。

「駐車場」

私は腕の点滴の針を抜き、ベッドから降りた。

少年は焦った声で私を引き留めようとした。

「蛍、もしかしたら別の用事かもしれない。行かないで。お願いだから行かないで」

最後はほとんど懇願だった。

だが私は少年を見た。赤く充血したその目に、強い意地が宿っていた。

彼も私を見つめ返したが、最後にはゆっくりと道を譲った。

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