運命を交換した二人第3話
この話は約1537字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
玄関を開けると、義妹は顔を涙でぐしゃぐしゃにしていて、傷だらけだった。
夫は先に義妹をソファに座らせ、心配そうに声をかけた。
「どうしたんだ?」
「兄さん、またあいつが酔っ払って暴力振るってきたんです。見てください、腕がこんなに紫色に......」
言いながら、義妹は袖をまくり、傷だらけの腕を夫の膝に乗せて見せた。
その瞬間、私は二人の親しげなやり取りを深く考える余裕もなく、ただひたすら息子の勘勇のことが頭から離れなかった。
「勇ちゃんはどうしたの?」と私は急いで尋ねた。
義妹は顔をしかめ、嫌そうな顔をして言った。
「あんな無能なやつ、死んだほうがマシよ。私が殴られてるのに、何もしないなんて、ほんと役立たず。前世でどんな悪さをしたらこんな子ができるんだろう......」
その言葉を聞いて、私は眉をひそめた。
「10歳でしょう?酔っ払った男を止められるわけないじゃない」
「10歳だからって関係ないわ!私の大輔を見てみなさい!あんなに元気で可愛い子は他にいないよ。あんな細くて弱い子、誰に似たんだろう......」
言いながら、義妹は私にチラリと目を向けた。
私はその隙を見逃さず、軽く言ってやった。
「あなたの大輔?」
義妹は慌てて気づき、すぐに言い訳を始めた。
「ちょっと、語弊があったわね。私は大輔が好きすぎて、まるで自分の息子のように思ってるだけよ。ほんと、口が滑ったわ、ごめんなさいね、姉さん。でも、私たち、家族みたいなものだから、姉さんの子も私の子ってことでしょ?」
言葉では謝っているものの、義妹の目にはどこか挑発的な光が見えた。
私はその視線を無視して、勇ちゃんのことを考えていた。
その時、部屋の外から大輔が勢いよく飛び出してきて、私の夫の膝にドスンと座った。
「パパ、ハンバーガー食べたい!」
夫は真顔で言った。
「お前、太りすぎだろ!こんな時間にハンバーガーなんか食べるな、さっさと寝ろ!」
「イヤだ!絶対食べたい!」
大輔は足をバタバタさせて駄々をこね始め、義妹は慌てて抱き寄せながら、甘い声で言った。
「大輔、いい子ね。おばちゃんが一緒に行ってあげるから、二つ食べちゃおう!」
そう言いながら、夫に向かって意味深な目線を送った。
その時、私の心は苦しくてたまらなかった。
突然、玄関のドアがノックされ、私は慌ててドアを開けた。
そこに立っていたのは、私の息子、勇ちゃんだった。
思わず抱きしめそうになったが、ぐっとこらえた。
勇ちゃんはおずおずと口を開いた。
「おばさん、ママはここにいますか?パパがママを探しに行きなさいって言うんです」
私は勇ちゃんを引き寄せ、そっと傷を確かめた。
その時、義妹の冷たい声が後ろから響いた。
「お前、ここで何してるの!早く出て行け、床を汚すな!」
「大輔とハンバーガー食べに行くんだよ!あのクソ親父に言っとけ、もう帰らないからって!」
勇ちゃんの痛そうな顔を見て、私はしゃがみ込み、優しく彼の頭を撫でた。
「勇ちゃん、ハンバーガー食べたい?」
まだ答える前に、大輔はソファから転がり落ち、勇ちゃんに向かって蹴りを入れた。
「俺は絶対こいつと食べない!臭いから嫌だ!」
義妹もすぐにやって来て、勇ちゃんを外に押し出した。
「何だお前、まだここにいるつもりか?帰れって言っただろ!」
私は堪えきれず、大声で言った。
「もういい!うちで騒がないで、近所の人に聞こえたら恥ずかしいでしょ!」
そして、勇ちゃんの手を引いて冷たく夫に言った。
「もう遅いから、勇ちゃんを家に送るわ。二人は好きにハンバーガーでも食べてて」
ドアを閉める前に、私は大輔に向かってにっこりと笑いながら言った。
「ちゃんと食べてきなさいよ、三つ食べたらママからご褒美があるからね」
そのまま振り返らず、勇ちゃんを連れて階段を下りて行った。
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