
逃げた私を、兄たちは追いかけて
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『逃げた私を、兄たちは追いかけて』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約590字
十歳の時、陸橋謹治に救われた私。
彼は「一生守る」と約束してくれた。
十五歳の時、深水望と出会った私。
彼もまた「一生守る」と誓ってくれた。
そして二十三歳。一生を誓ってくれた二人は、
自分たちの初恋の人のために、私を海に投げ込んだ。
ドン!
私は荒々しく、底なしの海へと投げ込まれた。
クルーズ船のデッキから歓声が上がる。周りの人々は興奮して拍手喝采を送っている。
海に投げ込まれた人間が生きて岸に辿り着けるかどうかなど、誰一人として気にかけている様子もない。
必死に手足をバタつかせ、「助けて!」と叫ぼうとした瞬間、塩辛い海水が口の中に流れ込んできた。
「た、助けて......!
お願い......誰か......!」
私の必死の叫びは、彼らの興を添えるだけの余興でしかなかった。
むしろ、それを面白がってパンやワインまで投げ込んでくる者までいる。
甲板の上の人々は腹を抱えて笑っていた。まるで海の中にいるのは一人の人間ではなく、ただの見世物のように。
次第に腕も脚も動かなくなり、足がつり始める。徐々に沈んでいく体。
朦朧とする意識の中、甲板に立つ二人の男の姿が目に入った。
一人は、私に新しい人生をくれた人。今、その人は無表情なまま、海の中で必死にもがく私を見下ろしている。
もう一人は、一生大切にすると約束してくれた人。なのに今、その人は別の女性を優しく抱きしめ、周りの人々と同じような表情を浮かべていた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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