結婚式直前、婚約者が愛人を連れてきた第2話
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けれども、私の足は一瞬たりとも止まらず、自分の荷物だけを持って、この七年間の牢獄を後にした。
道の向こうから、一組のカップルが歩いてきた。
二人で一つのアイスクリームを分け合い、少女の顔には晴れやかな笑顔と明らかな幸せが浮かび、少年の瞳には溢れんばかりの優しさと愛おしさが宿っている。
見ているうちに、私はふと目が潤んだ。
――22歳の晴翔と私も、確かにあのような感じだった。
彼との出会いは、あまりにもベタな「ヒーローが少女を救う」という物語だった。
私は生活費を稼ぐために、レストランでアルバイトをしていた。
そのとき、客に体を触られ、助けを求めても店長は見て見ぬふりをした。むしろ、他の人が助けることすら許さなかった。
もうお酒の瓶で客の頭を叩き割ってでも逃げようと覚悟したその瞬間、私より先に手を伸ばした人がいた。
それは晴翔だった。
彼はまるで天から降りてきた守護者のように、私を背後に庇い、微笑みながら言った。
「大丈夫、俺がいる」
――人生で初めて、誰かに守られているという感覚を知った。
でも私は彼のことをよく知っていた。名門A大学の超エリートで、裕福な御曹司だった。
一方の私は、父に疎まれ、母を亡くした哀れな少女だった。
だから、その胸の高鳴りを心の奥深くに押し込めるしかなかった。
なのに、その日から晴翔は、まるで私を翼の下に匿うかのように守り、毎日送迎までしてくれた。
誰ももう私に手を出さなくなった。
「彼は別の世界の人だ。きっとうまくいくはずがない」と、必死に自分に言い聞かせた。
それでも私は、あまりにも愛に飢えていた。
母の湯川百合(ゆかわ ゆり)が亡くなってからの十年間、私は一人で生きてきた。
果てしない孤独と夜の深さだけが、十年間ずっとそばにあった。
だから、私と晴翔は自然に付き合うようになった。
私は彼に話したことがある。12歳のとき、父の湯川拓海(ゆかわ たくみ)と母の百合がようやく結婚式を挙げる予定だったのだと。
でも結婚式の前夜に拓海は浮気をした。
本来、百合が着るはずだったウェディングドレスは、拓海の愛人が身にまとっていた。
百合は笑い者にされた。
そして、拓海の結婚式当日、百合は屋上に駆け上がり、20階から身を投げた。
私は、自分の目の前で息を引き取った百合のことを、一生も忘れられない。
彼女の死と拓海の裏切りによって、私は心が完全に壊れてしまった。
私を陰の中から連れ出してくれたのは、晴翔だった。
「これから先、俺たちのウェディングドレスはお前だけが着る。お前のものには誰にも触れさせない」
22歳の彼は、私を強く抱きしめて、そう約束してくれた。
私は、自分の家庭状況では谷山家に認めてもらえないことを理解していた。
だから彼らに認めてもらうために、必死で結果を出そうと、小さなスタジオを立ち上げて忙しく働いた。
だけど、そのような努力は谷山家にとっては鼻で笑われる程度のものに過ぎなかった。
彼らにとって、私は「貧しい庶民」、「親もいない野良同然の女」、「血筋も汚れている」と見なされている。
そんな言葉を平然と浴びせられた。
それでも、天に恵まれ輝く存在である晴翔が、私のために腰を折り、膝をついて家族に認めてほしいと頼む姿を見て、私はどんな屈辱も迷わず受け入れることができた。
たとえ晴翔の強い意向で私たちが婚姻届を提出したとしても、谷山家は依然として私を嫁として認めず、結婚式も許可せず、「仕事を辞めて晴翔の面倒を見なさい」とまで言った。
私は愛のためにすべてを捨てた。成長著しかったスタジオを解散し、専業主婦になった。
そして今年、妊娠したことでようやく谷山家との関係が少し和らぎ、結婚式を挙げることが許された。
――自分の結婚式を夢見ない女など、いない。
七年。ようやく幸せに辿り着けると思っていた。
なのに、夢は叶う直前に砕かれてしまった。
22歳の私は思い込んでいた。「母の悲劇は決して私には起こらない。晴翔を信じているから」と。
しかし、残酷な現実が私を12歳のあの日へと引き戻した。
私は再び、誰にも助けを求められず、ただ泣くことしかできない小さな女の子になっている。
本当は――七年前に気づくべきだった。私は晴翔と、そもそも同じ道を歩むべき人間ではなかった。
私は結局、あの孤独な空気に満ちた家へ戻ってきた。
まだ覚えている。七年前、ここを去るときの私は胸を躍らせていた。
「これからは、夜の孤独に震える必要はもうない。そばに付き添ってくれる人がいるからだ」と思っていた。
しかし――巡り巡って、最後に残るのは、また私ひとりなのだ。
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