
秋寒に海棠、空に舞う
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『秋寒に海棠、空に舞う』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約415字
みんな知っていた――伊藤悠翔 (いとう ゆうと)と中島陽菜(なかじま はるな)が一年間も関係を持っていたことを。
でも、私だけは知らされなかった。まるで世界から切り離された聾者のように、彼らは誰一人として私に真実を伝えようとはしなかった。
新年のパーティーで、私は終始冷たく振る舞っていた。それが気に食わなかったのか、悠翔の親友がわざとらしく声を張り上げる。
「悠翔、お嫁さんはまた何を拗ねてるんすか?
やっぱりあの若い医者の方がいいよな。気が利くし、機嫌も取れるし、怒らないしさ」
悠翔の顔がみるみる険しくなり、低く鋭い声で叱りつけた。
「余計なこと言うな。白石棠花(しらいし とうか)は俺にとって一番大事な人だ。もし彼女がいなくなったら……俺は生きていけない」
言い終えると、彼は焦った様子で私の方を向き、手話で「大丈夫?体調悪いの?」と尋ねてきた。
――彼は知らない。私が全部聞こえていたことを。
でも、もう私たちには「これから」なんてない。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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