私の両親の遺産を愛人親子に使った夫第2話
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さらに前の記録には、太地が軽い風邪を引いただけで、彼が夜中に車を飛ばして母子を病院へ送り届けたことについてだった。
その上、自ら病院内を駆け回り、多額の金を惜しげもなく出して、太地のために専門医に診てもらった。
その同じ日、私は高熱が続く佑助を抱え、彼には何度電話しても一向に繋がらなかった。結局、仕方なく自分で背負い、一歩一歩、よろめきながら病院の救急へと向かった。
病院に着いてもベッドは空いておらず、診てくれる医者もすぐには見つからず、ただただ順番を待つしかなかった。
焦りと不安で、その場にいた医者や看護師に跪いて懇願したいほどだった。ようやく、ようやく確保できたのは、子供を休ませるための仮のベッド一枚だけだった。
……
過去の一つひとつの出来事が、まるでスライドショーのように、次々と目の前を過ぎっていった。
そうか。彼が夫としても父としてもいなかったあの日々は、全部、麻由香の家庭で「救世主」を演じるために費やされていたんだ。
私は必死でスマホを握りしめ、スクロールをやめられず……徐々に涙で目の奥が熱く焼けつくように感じた。
私の様子を見て、直伸は青ざめた顔で弁解を口にした。
「……麻由香の子供はまだ小さいんだ。父親の愛が必要で、毎日父親を求めている。俺にも……どうしようもなかったんだ」
私は嘲るように言い放った。「そっちの家庭でちゃんと夫と父親の役を演じられたのね?じゃあ、私たちの家庭はどうなるの!?私の夫はどこへ行ったの?佑助の父親はどこへ行ったのよ!?死んだの!?」
そう言い終えると、私は冷たく笑った。
「今のあなたを見てると、むしろ死んでくれた方がマシな気がするわ」
そう言いながら、車内の水筒を掴み、直伸に向かって投げつけた。
ガチャンッ!
水筒は直伸の額を直撃した。
彼は傷口を押さえ、痛そうに顔を歪め、少し恨めしそうに私を見た。
「……ひどすぎるだろぉぉぉ!」
私は彼の言葉を無視し、怒声を上げた。
「直伸、あの貯金は私の両親が亡くなる前に残してくれたものよ。あなたが勝手に使っていいわけないでしょ?!
佑助はもうすぐ小学校に上がるのよ。住む場所で学区が決まるでしょ?家が決まらないと、希望の学校にすら入学できなくなるの!
今すぐ、すぐに電話して、返してもらいなさい!」
そう言いながら、スマホを手にして麻由香に電話させようとすると、彼はそれを奪い取った。
「洋恵、もう少し思いやりを持てよ。麻由香は女手一つで子供を抱えてるんだ。月々の養育費だって、子供を養い、住宅ローンを返すだけで精一杯で、君に返せる余裕なんてないんだ」
私は信じられない目で彼を見つめ、声は震えている。
「……あなた、分かってるッ!?佑助はもうすぐ七歳なのに、今は授業料を払うお金さえないのよ!
私が少しでも稼ごうと、毎日朝四時起きで、弁当屋のアルバイトをしてる!足を挫いた時だって、治療費が惜しくて病院にも行かなかったのに!
それなのにあなたは、『お母さんの治療費』と偽って、月給を全部麻由香に渡し、その息子を養うだけでなく、彼女の住宅ローンまで肩代わりしてるの?
頭がおかしくなったんじゃないの!?」
直伸は突然目を見開き、慌てて私の足元を見た。
「……その足、もう大丈夫なのか?病院に連れて行ったほうが……」
私は嘲笑した。
「もう結構よ。本当に私のことを心配してるなら、あの日、三十回も電話したのになぜ出なかったの?」
直伸は、あの日のことを思い出したのか、みるみる顔から血の気が引いていった。
彼は唇を震わせ、何か言おうとしたが、結局何の言葉も発することができなかった。
さらに問い詰めようとしたその時、車の後部座席から息子の声が響いた。
佑助は目をこすり、まだ眠そうに、ぼんやりとした声で言った。
「パパ、ママ、学校はまだ?」
私は手を伸ばして佑助を後部座席から抱き上げ、前席に座らせながら優しく言った。
「もう少しだよ。さっきパパとママが話してて、佑助を起こしちゃった?」
息子は私の膝の上に座り、大人しく首を横に振った。
直伸はその様子を見て、一瞬申し訳なさそうな表情を浮かべたが、口を開く前に私が遮った。
「……さ、行くわよ。佑助を早く学校に慣れさせないと。私たちの話は、後で」
車内は重い沈黙に覆われた。私も直伸も、二度と口を開くことはない。
息子の佑助は、もうすぐ小学生になる。そのため、私はずっと前から教育内容も教師の質も評判の高い北浦町小学校を第一志望に考えている。
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