私の両親の遺産を愛人親子に使った夫第3話
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ただ、この小学校に入学するには、指定された通学区域内に住所を登録していなければならない。
佑助を無事に入学させるため、私は移民を控えている家から中古住宅を購入するよう、ようやく話をまとめた。両親から譲り受けた貯金で頭金を支払い、残りは毎月その家の口座に振り込む約束だった。
もはや佑助が北浦町小学校に入学するのは確実なことだと、思い込んでいた。
だからこそ、事前に見学の予約を入れ、早く学校の環境に慣れさせてあげようと、わざわざ佑助を連れていくのだ。
思いもよらなかった。まさか直伸がここまで裏切り、私が佑助のために必死に積み上げてきたすべてを、木っ端微塵にしてしまうとは。
私はどうすべきか考えあぐねているその時、直伸の携帯が鳴った。
電話の内容は分からないが、直伸の表情が急に険しくなった。
彼は電話を切り、慌てふためいた様子で申し訳なさそうに言った。
「……会社から緊急の呼び出しがかかって……上司がすぐ来いって、北浦町小学校まで送れなくなった。悪いけど、ここでタクシー拾って行ってくれるか?」
そう言うと、彼は路肩に停車し、ドアを開けて私たちを降ろそうとした。
私は信じられない目で彼を見た。
「直伸、あなた正気なの!?外は39度よ!こんな炎天下で私たちを路上に晒すつもり!?佑助が熱中症になったらどうする?」
直伸は口先だけで謝罪を繰り返したが、動作は止まらず、自らも車を降りると、私たちを外に引っ張り出した。
そして、私の険しい表情と佑助の困惑した瞳を無視し、車を走り去らせた。
私は佑助の手を引いて木陰に移り、タクシーを待ち続けた。しかし、いくら待っても空車は一向に現れない。
時間は刻々と過ぎていく。今タクシーが来たとしても、約束の見学時間には間に合わない。
仕方なく、先生に電話して見学のキャンセルを伝えた。
帰ろうとした時、ふと佑助が遠くのウォーターパークをじっと見つめ、憧れの色を浮かべているのに気づいた。
佑助の手を引いて歩き出そうとした腕が止まり、私は優しく尋ねた。
「佑助、あのウォーターパーク、行ってみたい?」
佑助の瞳は一瞬、期待に輝いた。それでも、彼は「ママ、いいよ。大丈夫」と、いつものように小さく首を振った。
佑助は幼い頃から、私の苦労を察し、無駄遣いをさせまいと気を遣い続けてきたのだ。
ふと、直伸の日記が頭に浮かんだ。あの母子とディズニーリゾートで笑い合う、楽しげな記録が、まるで無形の手のように私の心臓を握りしめ、締め上げていくようだ。
そう思うと、私は何も言わず、くるりと背を向けて佑助の手を握り、ウォーターパークのチケット売り場へと歩き出した。
二枚分のチケットを購入し、私たちは中へ足を踏み入れた。
しばらく遊んでいると、佑助が売店の棚に並ぶライオンのぬいぐるみに、じっと見入っているのに気づいた。
彼が一番好きなキャラクターだった。
佑助を連れて売店に入り、ちょうどそのぬいぐるみを手に取ったその瞬間、横から小さな人影が飛び出し、ぱっとぬいぐるみをひったくっていった。
男の子だった。彼は奪ったぬいぐるみを抱きしめ、わざわざ佑助の前まで来て、得意げに、大きく口を歪めて笑いを見せた。
「だーめ!ぼくの!ぼくが先に取ったもん!」
ガキに構うのはめんどくさいと思い、私は店員に同じものをもう一つ出してもらうように頼んだ。
しかし、店員は近づいてきて、申し訳なさそうに言った。
「お客様、あいにく、これが最後の一個なんです……」
佑助の切ないまなざしを見て、胸がきゅっと苦しくなった。
それでその子に向かって言った。
「そのぬいぐるみ、私たちが先に手に取ったのよ。返してくれる?」
するとその子は、ぬいぐるみを抱えたまま、私に向かって思い切り唾を吐きかけた。
「やーだよ!このブス!」
私は眉をひそめ、この子の保護者を探そうと周囲を見回した。
その瞬間、目を疑った――会社の急用で会社に戻ったはずの直伸が、満面の笑みを浮かべた麻由香を腕に、目の前に現れたのだ。
私と目が合った直伸の顔が、一瞬で血の気を失った。
全身が震えそうになるのを必死で抑え、私は一歩詰め寄った。
「直伸……なんでここにいるの!?あなたの急用って、彼女たちを連れてウォーターパークに来ること!?」
麻由香の目に、ほんの一瞬、何かが煌めいた。得意と、そして確信に満ちたような色が。
彼女は直伸に代わって説明した。
「田町さん、どうかお怒りにならないでください。太地がどうしてもここで遊びたいって言うもので、私一人では不安で……直伸さんに付き添いをお願いしただけです。ご理解いただけますよね?」
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