私のお墓にはお花を一輪置いてほしい第2話
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「おい!どうしたんだ!ちょっと待ってな、すぐ準備して病院へ連れて行ってあげるから!」
馬場さんはひどく驚いていた。
私はパニックになり、ティッシュを取り出して、血で汚れた地面を慌てて拭き取った。
そして、馬場さんがティッシュを取りに行っている隙に、急いで逃げ出した。
病院に行けば、お金も時間も体力もかかってしまう。
前に私が熱を出して病院へ行ったときも、父と母と兄は、誰が私の看病をするかで何度も言い争っていた。
これ以上、みんなに迷惑をかけるわけにはいかない。
白峰斎場の裏山には白峰霊園がある。私は自分のための場所を選び、静かに横たわった。
体はまだ痛かった。
私を殴った奴らの話では、血を吐いたということはかなりの重症で、内臓破裂を破裂している証拠だって。
すぐに治療しなければ、死んでしまう。
でも、私が死ねば、家族の厄介事が一つ減る。
霊園はとても静かで、木々の葉が擦れるカサカサという音だけが聞こえてくる。
私は怖くなり、スマホの残り少ないバッテリーを使って、思わず母に電話をかけた。
しばらくしてようやく電話に出た母は、ため息をついて言った。
「自分から家出しておいて、人のせいにするんじゃないの。大人しく外で頭を冷やして、明日は自分でバスに乗って帰ってきなさい」
私が何か言う間もなく、母はまた電話を切ってしまった。
母は勘違いしている。私は迎えに来てほしかったわけじゃない。ただ、最後に母の声をもう一度聞きたかっただけなのに。
今日は私が死ぬ日であり、そして私の誕生日でもある。
「お誕生日おめでとう、夕凪遥(ゆうなぎ はるか)。お誕生日おめでとう……」
真っ暗な夜空を見つめながら、私は自分へのバースデーソングを歌い、ただ静かに死が訪れるのを待った。
翌日。目を覚ますと、ひと筋の朝日が差し込んでおり、私は自分が死んでいないことに気づいた。
それでも、体はまだひどく痛む。
「あそこにいたぞ!」
馬場さんが警察を連れて、私を見つけてくれたのだ。
私は大人しくベンチに座り、警察が実家に電話をかけてくれるのを待った。
馬場さんは傍らでため息をつきながらぼやいた。
「なんて親だ!自分の子供が一晩中行方不明になってるっていうのに、ちっとも心配してないなんて!全く……」
三時間近く経ってから、ようやく父と母と兄がのろのろとやって来た。
父は周囲に愛想笑いを浮かべながら、言い訳をした。
「下の子が髪を結んでほしいとぐずりましてね。それに学校まで送っていかなきゃならなくて、こんなに遅くなってしまったんですよ。本当にお騒がせしました」
母はまだ、スマホでさっき撮ったばかりの灯の写真を眺めていた。
兄は電話をかけ、学校の知り合いに灯を守るよう念を押していた。
誰も、私には見向きもしない。
私を保護してくれた警察官が不憫に思ったのか、飴を一つくれた。
仕事に戻る馬場さんが、去り際に注意を促した。
「この子、昨夜血を吐いてるんです。絶対に病院へ連れて行ってやってくださいよ」
またしても沈黙が流れた。
母は困ったように言った。
「でも、私はこれから灯にキャラ弁を作ってあげなきゃならないのよ。今日クラスのみんなに見せびらかすって言ってたから!」
兄はどこ吹く風といった様子だ。
「まだ子供なんだから、大した病気になんてなるわけないだろ。わざわざ病院なんか行かなくても、家で休ませておけば治るって」
突然、父のスマホが鳴った。
担任の竹内(たけうち)先生からの電話だった。電話に出た瞬間、父の顔色が一変した。
「灯が学校で転んで、膝を擦りむいたそうだ!」
母と兄は慌てて立ち上がり、車を出そうとした。
私はまるで荷物のように車に放り込まれ、ついでのように家へ送り返された。
でも、私の体にはあちこちに擦り傷がある。
すごく痛い。
私を家へ送り届けた後、兄もそのまま灯の様子を見に学校へ向かおうとした。
私は慌てて兄の服を掴み、何かを言おうとした瞬間、また一口血を吐き出した。
「お兄ちゃん、すごく痛いの……」
だが兄は、私が吐き出した血溜まりをただチラッと見ただけだった。
「痛いなら痛み止めでも飲んでおけ。ちょっと具合が悪いからって甘えるなよ。少しは我慢しろ」
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