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私が研究枠を後輩に譲った後、彼は取り乱した

言語日本語
試し読み第1〜3話(当サイト)
掲載日
読み方横書き・縦書きを切り替え可

『私が研究枠を後輩に譲った後、彼は取り乱した』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。

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冒頭試し読み第1話より・約444字

南極観測隊のメンバー名簿が公表されたその日、私は土屋時彦(つちや ときひこ)が残り一枠を彼の後輩の森紗月(もり さつき)に与えるのを目にした。

紗月は弾むように尋ねた。

「じゃあ、夏川さんはどうするの?夏川さんはこの機会のために三年も準備してきたんだよ」

時彦は微笑みながら言った。

「君が初めて南極に行くんだから、むしろ君にこそこのチャンスが必要だ。俺には来年も再来年も南極に行くから、その時に彼女を連れて行けばいいさ」

だが、そもそも南極へ一緒に行ってクジラを撮ろうと言い出したのも、時彦だった。

三日間徹夜して彼の論文の校正を終えたばかりのその画面を見つめながら、私はふと虚しさを覚えた。

泣きもしなかったし、騒ぎもしなかった。ただ、その論文を紗月に送り、ついでにメッセージを添えた。

【時彦の最終稿です。あとは任せます】

それから背を向け、熱帯雨林プロジェクトの責任者のオフィスの扉を叩いた。

【中世古(なかせこ)教授、ぜひチームに参加させてください】

その間、時彦はずっと私にメッセージを送っていた。

※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む

目次試し読み3話

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