私が切り裂かれた後、彼の愛は始まった第2話
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深瀬家で家政婦として働いたのは、お金を稼ぐため。私に本来属するはずのお金を。
あの日、私はいつものように海辺で網を引き上げていた。
網の中には魚だけでなく、見知らぬ男性もいた。
彼は裸のまま横たわり、傷だらけで、記憶を失っていた。
近くの漁師たちは彼を「たくま」と呼んだ。がっしりとした筋肉のせいだ。
「由美ちゃん、これは自分の彼氏を拾って来たってことかい!」と漁師たちは冗談を言った。
私は深瀬の整った顔立ちを見て、瞬時に頬が赤くなった。
「そんなことありません。人命救助をしただけです」と私は慌てて否定した。
冗談のつもりで言われた言葉だったが、深瀬は本気にしたようだった。
私が魚を売りに行っている間、深瀬は祖母と一緒に家で料理や洗濯を手伝った。
私が仕事から帰ると、彼は何かと世話を焼いてくれた。
やがて彼は私に懇願した。一緒に漁に連れて行ってほしいと。家の重労働は男がすべきだと言って。
深瀬の習得は早く、すぐに主力となった。
元は白かった肌は、風と太陽にさらされ、健康的な小麦色に変わっていった。
重労働をしたことのなかった手にも、徐々に薄い硬皮ができていった。
そんな彼の変化を見るにつれ、私の心には説明のつかない後ろめたさが湧いてきた。
まるで私が彼から本来の人生を享受する権利を奪ってしまったかのように。
そこで祖母と相談し、家の貯金を使って深瀬の記憶喪失の治療をすることに決めた。
この決定を深瀬に告げると、彼は突然取り乱した。
深瀬は切迫した様子で私の顔を両手で包み、唇にキスをした。
「由美、僕を手放すつもりなの?ここを離れたくない。ずっと一緒にいたいんだ」
私は彼の頬に触れながら宥めるように言った。「本当に私のことが好きなら、記憶が戻っても一緒にいられるでしょう?」
深瀬は力強くうなずいた。「うん、たくまは由美のことが本当に好きだ」
その半年余りの間、私は深瀬を連れて漁村と各病院を行き来した。
少しでも費用を節約するため、私たちは何度も乗り換えを繰り返した。
何度か、バスの中で疲れて眠りかけている私を、深瀬は抱きしめた。
「由美、辛すぎるよ。もう治療はやめよう」
私は固く首を振った。ここまで来たんだ、絶対に治さなければ!
天の助けか、家の長年の貯金が底を突きかけた時。
奇跡的に深瀬の病は治った。
しかし同時に、彼は病院から姿を消し、音信不通となった。
深瀬との一年は、まるで夢のようだった。
でも残高ゼロの銀行口座が、私にすべてが現実だったことを突きつける。
人も、お金も、すべて失ってしまった。
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