
白いキキョウと遅すぎた懺悔
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『白いキキョウと遅すぎた懺悔』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約548字
「雪乃の薬をすり替えたのはあんたよね?」
口を開いても、漏れるのはかすかな息だけだ。
3年前、火事の現場から須藤雪乃を助け出したときに負った後遺症だ。
しかし、あの人たちが覚えているのは、私のせいで雪乃の心臓病が悪化したということだけだ。
母の声が、耳をつんざく。
「まだしらを切るつもり?雪乃がはっきりと見たって言ってるのよ!」
必死に身振りで伝えようとするが、それより早く、父の足が膝裏を蹴りつける。
バランスを崩し、氷のように冷たい川の水に飲み込まれる。
岸から、父の声が降ってくる。
「覚えてないというなら、水の中でじっくり考えろ」
母は、ボディガードたちに言いつける。
「1回20万円もする水泳の個人レッスンを受けさせていたんだから、これくらい平気よ。しっかり見張っていなさい。自分のしたことを認めるまで、絶対に上がらせないこと」
両親は知らない。ボディガードたちが、すでに雪乃に買収されていたことを。
死を覚悟するほど苦しくなって、ようやく引き上げられた。
手の震えを必死に抑えて、血で汚れたノートに、歪んだ文字を書きつけた。
【私が死んだら、心臓は雪乃にあげて。
彼女の16年間をうばって、ごめんなさい】
私・須藤詩乃(すどう しの)は必死に首を横に振り、指を岩の隙間に食い込ませながら、どうにか這い上がろうとする。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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