和紙文煉紅村 · 第2話設定≡

煉紅村第2話

この話は約1537字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

「くり、スープを作ったよ。早く飲みなさい」

母さんはドアを開け、手に熱々のスープを持って入ってきた。彼女は毎日こうして、私のために労苦をいとわずスープを煮込んでくれる。

私は笑いながらその湯を受け取ると、碗の壁越しに湯の温かさが手のひらに伝わってきた。まるで春風に包まれるように、私の心は甘く温かい気持ちで満たされていった。

私は母さんがこの世界で一番私に優しい人だと思った!

「母さん、毎日スープを作ってくれなくていいよ。もっと休んだ方がいいんじゃない?」

私は母の白くなった小鬢を見つめると、心の中で罪悪感が一層強まり、急いで手に持っていた碗を置きながら、彼女を支えて座らせた。

「くり、母さんは大丈夫よ。スープは熱いうちに飲まないと。あと数日で、村の年一度の選抜があるから、体調を整えて、みんなの期待を裏切らないでね」

彼女はすそで手を拭きながら、私に期待の眼差しを向けた。

私たちの村では、毎年18歳以上の女の子を選んで煉紅屋で働かせることになっている。村の年配者たちは、選ばれることが幸運だと言い、さらにたくさんの報酬をもらえるとも言う。

私は、家のために必死に働いてくれた母さんの、すでに曲がり始めた体を見つめながら深く頷き、心の中で彼女たちに必ず良い日々を送らせると誓った。

「母さん、私、絶対頑張るよ。姉さんも行くの?」

母さんは少しぽかんとした表情を浮かべ、うちしおれたように首を横に振りながら、まるで期待が裏切られたかのように嘆いた。

「お姉さんは無理よ。あの様子、誰も要らないわ。お母さん、まだ少し仕事が残ってるから、スープを無駄にせずに飲んでね」

私は母さんの後ろ姿を見送り、テーブルの上の熱いスープを見つめてから、暗い隅に隠れている姉さんに声をかけた。

「姉さん、母さんが行ったよ。出てきていいよ」

姉さんは顔を曇らせながら出てきた。テーブルの上に浮かぶ油脂たっぷりのスープを見つめると、彼女の目に一瞬の嫌悪が浮かんだが、それはすぐに消えていった。

「母さんにとって、あんたが本当の娘なんだろうね」

姉さんは指先で碗の縁を擦りながら、眉をひそめて私を見つめた。よく知っているようで、でもどこか見慣れない瞳の中で、彼女は私が満足させる言葉を待っている。

私は急いで頭を下げ、必死に首を振って否定したが、視線は脚の火傷に落ちた。その火傷のように、今でもあの日、姉さんが私に見せた歯を食いしばるような憎しみを忘れられない。

姉さんが母さんが私にこっそりスープを作ってくれていることを知ったとき、嫉妬や怒りといった感情が彼女の顔に浮かんだ。

彼女は熱々のスープを、何も残さず私の脚にかけてしまった。熱気が瞬く間に皮膚を通り抜け、まるで溶岩のようにその血肉の上を流れた。

私は痛みに耐えきれず、脚を押さえながら辛うじて姉さんに説明しようとした。「母さんが言ってた。私、小さい頃に山でケガをして、スープで気血を補う必要があるんだ。決して私を特別扱いしているわけではないよ」

姉さんはようやく少し怒りを収め、いくつかの紙を私の身上に投げつけると、鼻で冷たく一声うなりながら、顔をあげてこう言った。

「捨てられた子がスープなんか飲むな!飯を一口食わせてもらうだけでもありがたいと思え」

「覚えておけ!私こそが母さんの本当の娘だってことを」

「あ、それと、体をきれいにしておきな」

それから母さんが夜に毎回持ってきてくれるスープは、どんなに肉の香りが部屋中に広がっても、私は一口も飲むことができなかった。いつも母さんに内緒で姉さんに全部渡していたが、姉さんはそれを一口も飲まず、わざと私を侮辱するかのように、スープを窓の外に捨ててしまった。

思い出に浸っていると、姉さんが「バン」とテーブルを叩く音で現実に引き戻された。

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