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港町に雪が再び降った第3話

この話は約1624字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

その瞬間、総毛立つような衝撃が走った。

音声の録音日は、まさに母が事故に遭った日に一致していた。

玲奈が犯人で、そして私の夫はその共犯者だった。

よろめきながら振り返ると、いつの間にか哲夫が背後に立っていた。

「圭子、俺のことを調べてたのか?」

男の眉間には深い皺が刻まれ、その複雑な表情からは、微塵の罪悪感も感じられなかった。

「じゃあ……全部、本当なの?」

どうかこの音声が偽物だと言ってほしかった。

けれど哲夫は一瞬だけ目をそらし、沈黙を貫いた。

胸の奥にかすかに残っていた希望の光が、その瞬間、完全に消え去った。

次の瞬間、彼は取り乱しそうな私を抱き締め、最も優しい声で、最も残酷な言葉をささやいた。

「圭子、もう済んだことだ。お母さんはちゃんと生きているだろう?あんまり追い詰めないでな、玲奈には……玲奈にはこれからの人生があるんだ」

私は呆然と彼を見つめ、喉が詰まり、まるで魚の骨が刺さったように息ができなくなった。

あの豪雨の夜、事故現場で私は裸足のまま警戒線をかきわけてでも駆け寄ろうとしたが、哲夫に必死に抱きとめられた。

「圭子、俺がついてる。必ずあのひき逃げの運転手を見つける。絶対に逃がさないから、落ち着いて、ここは俺に任せて」

その時、私は割れたボトルを握りしめ、逆上して乱暴に振り下ろした。けれど、それはすべて彼の体にかすめていった。

豪雨が血を洗い流す中、彼はただ繰り返した。「大丈夫、大丈夫だよ……」

私は、哲夫がとっくに犯人を法で裁いたとばかり思っていた。

けれど彼が実際にしたことは、玲奈に海外行きの航空券を手配し、事件が収まるのを待たせていたにすぎなかった。

全身の血が逆流するような衝撃で、声さえ出なくなってしまった。

その時、玲奈が涙でメイクがぐしゃぐしゃになった顔で飛び込んできた。

「圭子さん、もうこの録音で私を脅さないでください。本当に、この仕事を失うのが怖いんです……」

そう言いながら、彼女はわざとらしく腕を見せつけるように差し出した。周りの人たちが一斉に息をのんだ。

腕には青あざと、くっきりとした刃物の傷跡が残っている。

腕の青あざとはっきりした刃物の傷跡を見た哲夫の目に痛みが走り、私を見る視線は失望に変わっていた。

「圭子……お前は陰でこんなふうに玲奈をいじめてたのか?どうしてそんなことができたんだ!」

あんな見え透いた傷跡ごときが、母の命と比べて何だっていうの。私が五年も忍び続けてきた裏切りに比べて、これが何ほどのもの?

私は嘲るような微笑みを浮かべ、もはや説明する気などさらさらなかった。

「それほどまでに彼女が大切なら、離婚すればいいじゃない」

私は先輩が送ってきた離婚協議書を彼の目の前に差し出した。

文面を確認した瞬間、周囲がざわめきに包まれた。

哲夫は私を鋭い目で睨みつけ、目を血走らせている。

「いいだろう!離婚したいならしてやるよ。三日だけ待ってやる、後悔するならその間にしろ!」

男は署名をすると、私を一瞥して玲奈を抱きかかえ、さっさと背を向けた。

背後では、嘲笑と囁きが絶えなかった。

彼らは、私がいつか哲夫のもとにしっぽを巻いて戻ってくると、固く信じているようだった。

その夜、哲夫は家に帰らず、玲奈を連れてあちこち駆け回った。テレビ局の重要人物に自ら彼女を紹介してやったのだ。

その光景は、まるで彼がかつて私を育て上げた頃とそっくりだった。

哲夫は今年の「看板アナ」賞を、たった一度のテスト放送しか経験していない新人・村上玲奈に推すことにした。

こうして彼は指一本動かさずに、港町中の前で私の顔に泥を塗り、公開処刑してくれるというわけだ。

彼の狙いは明白だった――思い知らせたかったのだ。

彼の後ろ盾さえ失えば、私は何ひとつできない存在になってしまうということを。

テレビでは玲奈が司会を務める番組が絶え間なく流れ、私は静かに荷物をまとめていた。

翌朝、病院からの緊急連絡で飛び起きた。

「田中さんですか?お母さんが今朝早く……行方不明となりました」

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