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海景マンション怪談第2話

この話は約2038字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

「9月21日 朝」

翌朝、私はスリッパを履いたまま階下へ降りていった。すると、マンションの全ての出入り口が閉ざされていることに気づいた。

管理会社が「紅島ステーション」の広告を正面玄関に掲げ、団体購入した商品や荷物はマンション専用のステーションを利用しないと受け取れないと告知していた。

通知が届くや否や、住人たちは次々とステーションに向かっていった。

入口に立った私は妙に落ち着かない気分になった。ようやく掲示されているルールの内容が目に入ってきたのだ……

その時、みんなの中から騒ぎ声が上がった。

住人の一人がスタッフに詰め寄っていた。「荷物を取りに来ただけなのに、何で止めるんだ?」

「私が何を買おうが関係ないだろ!」

「荷物を受け取るだけなのに、なんでこんなに手続きがいるんだよ?管理会社は一体何をやってるんだ!」

周りの住人たちも「そうだ!」と声を揃えて同調した。

私は「荷物を取るのに何の手続きが必要なんだろう?」と不思議に思っていると、突然「ピンポン、ピンポン」という通知音があちこちで鳴り響き始めた。

全員のスマートフォンに一斉に紅島管理会社からの通知が届いたのだ。

「親愛なる住民の皆さまへ」

「紅島管理会社専用ステーションをご利用いただき、誠にありがとうございます!」

「紅島ステーション利用ルール 完全版」

「一、以下の内容を信じないでください」

太字の「ない」の部分が線で消されていた。

「二、本ステーションは、海景マンションのすべての正常な住民にサービスを提供します」

「三、宅配ボックスを暴力的に開けないでください」

最初のルールは、掲示されていたものと同じ内容だった。

「四、荷物の追跡番号は明日の朝、住民の皆さまにお知らせいたします。それまでは荷物を勝手に取らないでください」

「五、追跡番号が混乱している場合もご安心ください。それは正常です。あなたのものは最終的にあなたのものになります」

「五、荷物ボックスを暴力的に開けないでください」

またしても同じ番号が繰り返されているが、今回は太字で強調されていた。

私はひとまず安堵の息をついた。「配達サービスは提供しない」というルールがなかったので、どうやら以前の情報が間違っていたようだ。

「七、購入した商品が海産物の場合、封鎖を解く後にお取りください」

「八、購入品が日用品やその他の生鮮食品の場合、ご安心ください。あなたは安全です」

「あなたは安全です」という文字が太字で重く強調されていて、特に目を引いた。

「九、生鮮食品を購入する人にはお気を付けください」

「十、快適な暮らしをお祈りしております。なお、本ステーションは当マンション専用です。また、当マンションの住民も他のステーションには荷物を預けることはできません」

後半部分は赤文字で記されていた。

「十一、封鎖期間中、全ての荷物は本ステーションで管理されます。他のステーションに預けた荷物も含みますので、ぜひ当社の付加価値サービスをお楽しみください」

突然、誰かが「クソ!」と吐き捨てた。

私も眉をしかめながら、さらに読み進めた。

「十三、本マンションの近くには警察署や病院はありません。何か問題があればマンションの管理会社にお問い合わせください。なお、管理人の目印は袖口の赤いボタンです」

「十四、滞在中、規則に反する情報をスマートフォンで送信しないでください」

「十五、以上のルールを必ず守ってください」

通知はここで終了した。

「なんだこれ!?」

みんなの中からは既に失笑する声が上がっていたが、私は何かがおかしいと感じ始めていた。

その時、一人の女性がスタッフともみ合いながら叫んでいた。

「一週間!?4万円以上もするタラバガニが腐ったらどうするの?責任取れるの?」

「弁償できるわけ?」

すると、赤い腕章をつけた人が現れ、その女性の耳元で何かを囁いた。

女性は驚きの表情を浮かべながら、「本当?」と聞き返した。

腕章の人は微笑みながら頷くと、女性はタラバガニを一瞥して、ため息をつきながらその場を後にした。

他の住人たちも次々とスタッフに説得され、散り散りに帰っていった。

さすが「経験豊富」、説得の仕方も慣れているのだろう。

私は心の中で「幸い、私が買ったのは日用品だ」と安堵した。

それにしても、このマンションの管理には多くの抜け穴があるようだ。

たった今、エレベーターの前で隣人の小澤里沙が新鮮なハクサイを持っているのを目撃したばかりだ。

しかも、彼女の袖口には赤いボタンがついていた。

彼女は管理会社に就職したようだ。

小澤里沙のことは知っている。引っ越してきたばかりの頃は派手に着飾り、毎日お金持ちの御曹司に出会うことを夢見ていた。そんな彼女がどうして他人の世話をするような仕事を選んだのか。

考えるまでもない。自分のために都合をつけるためだろう。

赤いボタンさえ手に入れれば、私の生活ももっと快適になるはずだ。

それまでに、私は青いボタンを隠しておかなければならない。

そう、昨晩の荷物の中身は一つの青いボタンだったのだ。

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