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流産したら元夫がライブ配信で追ってきたけど、今さら遅い第2話

この話は約1202字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

同じプレゼントを買ったことへの罪悪感でもあったのか、亮介は「一緒に会社へ行こう」と提案してきた。

ちょうど体調も優れず、車を運転する気になれなかった私は、それを断らなかった。

駐車場に降りると、亮介は自分の車の前で腕を組み、難しい顔をしている。

――そういえば、いつからだろう。

彼が、私が彼の車に乗るのを嫌がるようになったのは。

助手席に座ることすら許されず、「自分の車を買え」と半ば強制されたのは。

思えば、昔はよく彼の「助手席の所有権」を巡って言い争いになったものだ。まるで神経をすり減らすように。

――彼は、きっとそんな私にうんざりしていたのだろう。

でも今。

亮介の車の助手席には、びっしりと猫グッズが並べられていた。

猫耳クッション、猫のぬいぐるみ、猫のステッカー……至るところに、かわいらしい装飾が施されている。

そして、シートそのものが改造され、小柄な女の子が座りやすい仕様に変わっていた。

……小野寺美優のために。

亮介は、私の視線を感じ取ったのか、一瞬だけ戸惑った顔をした後、何も言わずに車のドアを開け、ぬいぐるみを後部座席へ押し込む。

私はその様子を見ながら、静かに口を開いた。

「……やっぱり、自分で行くわ」

最後の猫のぬいぐるみを後ろに投げ入れながら、亮介は言う。

「いいから乗れよ。一緒に行こう。美優はこういうのが好きで、つい集めちまったんだ。気にするな」

私は再び助手席を見た。

車のデザインにまったく馴染んでいない、違和感しかないピンクのシート。

どうしても、座る気にはなれなかった。

「……やっぱり無理」

そう呟き、私は自分の車のドアに手をかけた。

しかし、亮介がすかさず動いた。

私の腕よりも速く、運転席に滑り込むと、ハンドルを握りながら言う。

「俺が運転するから、一緒に行こう」

私は彼の顔をじっと見た。

彼の目が一瞬、動揺したように見えた。

やっぱり分かってたんだな。あんな助手席にしておくのが、どれだけおかしいかって。

亮介は何か言いたげだったが、私はそれを遮るように促した。

「……遅刻する。早く出して」

彼は口を閉じ、唇を噛みしめながらエンジンをかける。

信号待ちの間、車内に特定の着信音が響いた。

――美優の専用コール。

通話が繋がると、甘ったるい声が聞こえてきた。

「りょうすけおにぃ……お腹痛いの……昨日のごはんが当たったのかなぁ……病院連れてってほしいな……ねぇ?おにぃがいちばん優しいんだもん……」

――耳にまとわりつくような、作り込まれた甘え声。

亮介は、一言も返さずに通話を切った。

だが、次の瞬間。

ハンドルを切ると、そのまま車を路肩に停め、助手席のシートベルトを外した。

「社員の具合が悪い。俺が行ってくる」

それだけ言い残し、私を車から降ろすよう促す。

「もうすぐ会社だろ?あとは歩いて行け」

私はまだドアすら閉めていないうちに、亮介はすでにアクセルを踏み込んでいた。

――そのまま、一度も振り返ることなく、走り去っていった。

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