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流産したら元夫がライブ配信で追ってきたけど、今さら遅い第1話

この話は約1549字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

結婚して四年、一度もSNSを更新したことのない亮介が、珍しく投稿をした。

「本当に食いしん坊な子猫ちゃんだ」

添えられた写真には、ピンクの猫耳カチューシャをつけた女の子が、料理を食べている姿。辛さに顔を真っ赤にし、舌を出している。

――彼の会社の新人配信者、美優だった。

投稿からものの数十秒後、共通の知人がコメントをつけた。

「亮介、アカウント切り替え忘れてるぞ!」

その直後、亮介の投稿は消えた。だが、すぐに美優のSNSに同じ内容がアップされた。

......そして、スマホが鳴った。亮介からの電話だ。

以前の私なら、すぐにスクショを撮って証拠を押さえ、先手を打って問い詰めただろう。どうせ大喧嘩になるのは目に見えている。

でも今回は、スマホをじっと眺めるだけで、一度も取らずにいた。

呼び出し音が切れ、部屋には静寂だけが残る。

* * *

結婚して四年、一度もSNSを更新したことのない桐島亮介(きりしまりょうすけ)が、珍しく投稿をした。

「本当に食いしん坊な子猫ちゃんだ」

添えられた写真には、ピンクの猫耳カチューシャをつけた女の子が、料理を食べている姿。辛さに顔を真っ赤にし、舌を出している。

――彼の会社の新人配信者、小野寺美優(おのでらみゆ)だった。

投稿からものの数十秒後、共通の知人がコメントをつけた。

「亮介、アカウント切り替え忘れてるぞ!」

その直後、亮介の投稿は消えた。だが、すぐに美優のSNSに同じ内容がアップされた。

......そして、スマホが鳴った。亮介からの電話だ。

以前の私なら、すぐにスクショを撮って証拠を押さえ、先手を打って問い詰めただろう。どうせ大喧嘩になるのは目に見えている。

でも今回は、スマホをじっと眺めるだけで、一度も取らずにいた。

呼び出し音が切れ、部屋には静寂だけが残る。

亮介が帰宅した頃には、私はソファに体を沈め、半分眠りかけていた。

彼は無言でコートを脱ぎ、靴を履き替える。

「……なんで電話に出なかった?」

めったに探りを入れるようなことはしない彼が、こういう聞き方をする時は、少しは後ろめたさを感じている証拠だった。

「うっかり寝ちゃって、気づかなかった」

顔も上げず、適当に流す。

「残業が入って、帰るのが遅くなった。無理して待たなくていいんだぞ。そんなに自分を卑屈にする必要はない」

以前なら、「亮介を愛してるから!」と全力で訴えただろう。

でも、もうそんなエネルギーすら残っていない。

彼が差し出したのは、手のひらほどのベルベットの箱だった。

「開けてみろ」

今日は彼の会社の上場記念日だった。

そのお祝いに、私はいつも通り定時で仕事を切り上げ、買い物をして、彼のために料理を作って待っていた。

――なのに。

待てど暮らせど、約束の時間に帰ってこない。

彼の体に染み付いた料理の匂いを、私は気づかないふりをして、箱を受け取ると、適当にテーブルへと置いた。

これと同じ箱は、前にも見たことがある。

彼が私の誕生日を忘れた時、埋め合わせのつもりで差し出したものと、まったく同じ。

亮介はじっとその箱を見つめ、少しだけ眉を寄せると、低い声で言った。

「遥、お前、またワガママ言うつもりか?」

贈り物で不機嫌をなだめるのが、彼のいつものやり方だった。

プレゼントを受け取れば、ケンカはなかったことになる。何もかも、なかったことにするための道具。

でも、もう私はその手に乗るつもりはない。

当然、彼は気に入らないだろう。

「つけてやるよ」

有無を言わせず、箱を開け、手首にブレスレットを巻こうとしたその時。

――彼の動きが止まった。

私の手首には、まったく同じものがすでにあった。

「……もういい、置いとくよ。早く寝ろ。明日も仕事だろ」

私は手を引っ込め、ソファから立ち上がる。

「改めて選び直させようか?」

亮介の申し出に、私は冷たく答えた。

「いらない」

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