死後3年目、ようやく私の冤罪は晴らされた第2話
この話は約1204字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。
それを聞いた晴臣はすぐに歩みを早めたため、彼のそばにいた紗奈の目に浮かんだ一瞬のうしろめたさには、まったく気づいていないようだった。
直也のもとへ駆けつけると、晴臣は目の前の白骨を覗き込み、眉をひそめて言った。「そこまで古くないから、この遺跡に埋められていたものじゃないだろう。
何者かがここに死体を遺棄した可能性が高い。まずは通報しよう」
晴臣が紗奈に目線で合図を送ると、紗奈は引きつった表情で小さく頷き、スマホを取り出した。
警察と検視官が現場に到着する頃、骨はすべて掘り起こされていた。
私はその無残な骨を見つめた。もし3年間、ずっと向き合ってこなかったら、きっと私自身でさえ、それが自分のものだとは気づけなかっただろう。
白骨化した遺体を注意深く観察した検視官が結論を出す。
「死亡時期はおおよそ3年前と見られます。直接的な死因はまだ不明ですが、強い衝撃か爆発があったのか、骨には多くの骨折痕が見られました。詳細は署へ持ち帰ってから、もう一度詳しく調べる必要がありますね」
その言葉に、現場が静まり返った。
直也は晴臣にちらりと目線を向けてから、意を決したように切り出した。「篠原教授、3年前この遺跡は何者かに爆破されましたよね。それに、澪さんもそれ以来ずっと行方不明です。もしかして……」
それ以上直也は言葉を続けなかったが、その場にいる全員が何を言いたいのか理解していた。
しかし、晴臣は皮肉な笑みを浮かべた。「あいつは罪から逃げるためにどこかへ隠れただけさ。ここで死んでいるはずがないだろ?
当時、あいつは文化財密輸組織とつるんでいたって紗奈から聞いたんだ。だから、これはその構成員か何かの死体だろう。おそらく澪のやつが捜査を撹乱するために、わざと身代わりにしたに違いない」
私のことについて話していた晴臣は深く息を吐き出し、嫌悪感を露わにする。まるで、名前を口にするだけで吐き気がするという態度だ。
「直也、あいつは金のためなら何だってやる。人の命さえなんとも思わない女なんだよ。
それと、もう二度とあんな犯罪者の名前を出すな。聞くだけで気分が悪くなる」
その最後の一言が、長年積み上げてきた私のすべてを砕いた。
考古学を人生そのものだと思ってきた私が、今では世間から犯罪者扱いされている。ましてや、自分の夫にまで「犯罪者」と呼ばれ、あんなにも毛嫌いされているなんて……こんなにも皮肉なことがあるだろうか。
直也は唇を噛み締め、ただ黙ってうつむいた。
すると、晴臣を憂うような表情をした紗奈が、彼の肩をそっと叩く。
「先輩、大丈夫よ。澪さんはきっと捕まるから」
晴臣は拳を強く握りしめた。「ああ。あんなやつはそれ相応の罰を受けなければならない」
私は自分の透明な身体を見つめながら、力なく笑みをこぼした。
罰?
それはもう受けている気がする。
しかしそれは、違法行為に対する罰ではなく、紗奈を、そして晴臣を信じきってしまったということへの罰。
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)