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未来からの電話、裏切り者への断罪第2話

この話は約1953字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

「どうしたの?顔色が悪いみたいだけど、具合でも悪いの?」愛音が心配そうに私を覗き込んできた。

私はそこでようやく我に返って、荒くなった呼吸を整えようと、自分を強くつねって必死に冷静さを保とうとした。

目の前にある見慣れた親友の顔を見つめ、私は無理やり笑顔を作った。「……なんでもないわ」

言い聞かせるように、私は心の中で呟いた。愛音は私の一番の親友だし、楓斗とも間もなく結婚する仲だ。あの二人が私を裏切るなんて、絶対にあり得ない。

きっと、誰かの悪質なイタズラに決まっている。

「ほら、早くウェディングドレスの試着に行ってきなよ。のろまなカメさんみたいに遅いんだから」

その時、楓斗が微笑みながら私の前に歩み寄ってきた。

聞き慣れた優しい声色に、先ほどの電話越しで聞いた冷酷な声がフラッシュバックし、そのあまりの落差に思考が追いつかなかった。

「どうした?気分でも悪いのか?」

楓斗は自分の額を私の額にピタリと合わせ、今にもキスしてきそうなほどの至近距離で、慈しむように私を見つめてきた。

私はハッとして、慌てて一歩後ずさった。

それが恐怖からなのか、それとも単なる照れ隠しなのか、自分でも分からなかった。

「またアツアツなんだから!もう、当てられっぱなしで見てられないわよ、優花」愛音はからかうように両手で目を覆うふりをした。

「もう、何を言ってるのよ。試着に行ってくるわ」私は羞恥と苛立ちを隠すようにそう言い捨てて、その場を後にした。

高鳴る鼓動を鎮めるように、私は自分の胸をそっと叩いた。――絶対に私の考えすぎだ。こんなに最高の親友と、優しくて思いやりのある婚約者がいるのだから。

優花、変な妄想はもうやめなさい。

私は自分に言い聞かせるように、そっと目を閉じた。

ウェディングドレスに着替えてフィッティングルームのカーテンを開けた、まさにその瞬間だった。突如として外で火の手が上がり、激しい炎と黒煙が辺り一面を包み込んだ。

ふと壁の時計を見ると、針はぴったり夕方の五時を指していた。

「楓斗!愛音!」私は視界を奪う黒煙の中、必死に名前を呼んだ。ウェディングドレスは重くのしかかり、一歩踏み出すごとに足がもつれて転びそうになる。

幸いなことに、次の瞬間、黒煙の向こうに楓斗の姿が見えた。

「ゲホッ、ゲホッ!」すぐ右後ろから、愛音が激しくむせる声が聞こえた。

私は焦って重いドレスの裾を引き上げながら振り返り、彼女の手を引こうとした。

だが、私よりもずっと素早く動いた人間がいた。

楓斗だった。彼は私に見向きもせず横を通り抜け、愛音のそばへと駆け寄ると、張り裂けんばかりの声で叫んだ。「愛音!しっかりしろ!俺が外に連れ出してやる!」

しかし火の勢いはあまりにも猛烈で、炎はあっという間に太い柱を焼き尽くそうとしていた。

一本の柱が、私たち三人の頭上に向かって音を立てて倒れかかってきた。

「危ない!」

絶体絶命のその瞬間、楓斗は一切の躊躇なく愛音の上に覆いかぶさって彼女を庇った。燃え盛る火の手が彼の衣服をなめ、激しく燃え上がる。

彼は苦痛に低く呻き声を漏らしたが、それでも決して愛音から離れようとせず、必死にその身を盾にして彼女を守り抜いている。

一方で、私は倒れてきた柱の下敷きになってしまった。両足が焼け焦げるような激痛に襲われ、一歩たりとも動くことができない。

骨を砕かれるような鋭い痛みに耐えきれず、私は泣き叫んだ。「楓斗、足が……柱の下敷きになって抜けないの!」

だが楓斗には、私の悲痛な叫びなど全く届いていないかのようだった。

彼は火のついた上着を素早く脱ぎ捨てると、愛音をしっかりと抱き抱え、一歩、また一歩と火の海から遠ざかっていく。

「楓斗!」私は信じられない光景に目を疑いながら、全身の力を振り絞って彼の名を叫んだ。

楓斗の足が、一瞬だけ止まった。だが、彼は決して振り返ることはなく、そのまま愛音を抱いて火災現場から出て行ってしまった。

立ち込める煙に喉を焼かれ、呼吸がままならない。重くのしかかるウェディングドレスにも、ついに火が燃え移った。

ふくらはぎを炎に焼かれる灼熱の痛みに耐えながら、私は、愛音を抱いて一度も振り返ることなく去っていく楓斗の後ろ姿をただ見つめていた。

「どうして、こんな……」

心の奥底に絶望が渦巻いた。死の足音がすぐそこまで迫り、生まれて初めて、息もできないほどの凄まじい窒息感に襲われた。

あの電話は、本当だったのか?

楓斗が心に秘めていた本命の相手は、本当に愛音だったのか?

二人の裏切りを、疑わずにはいられなかった。

――それでも。こんな状況になっても、私は楓斗が必ず助けに戻ってきてくれると、心のどこかで微かな希望にしがみついていた。

しかし、燃え落ちた太い梁が私の身体を完全に押し潰すその最期の瞬間まで、彼が姿を現すことはなかった。

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