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未来からの電話、裏切り者への断罪第1話

この話は約2080字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

結婚を控えたある日、私、佐藤優花(さとう ゆうか)は三年後の自分からかかってきた電話に出た。彼女は「楓斗と結婚しちゃダメ」と忠告してきた。私はただの、彼が心に秘める「忘れられない人」の身代わりに過ぎないのだと。

しかもその人とは、私の親友であり、私たちの結婚式でブライズメイドを務める女性、鈴木愛音(すずき あいね)だった。

当然、私はそんな話を信じなかった。

しかし火災が発生した際、高橋楓斗(たかはし ふうと)が一切の躊躇なく私を置き去りにし、愛音を抱きかかえて火の海から逃げ出したことで、私はついに悟った。楓斗が一番愛しているのは私ではないのだと。

結婚式当日、私はウェディングベールを脱ぎ捨て、指輪を投げ捨てて、楓斗と愛音が思い通りに結ばれるよう、潔く身を引いてやることにした。

後になって聞いた話だが、帝都随一の権力を誇り、誰よりも高貴だったはずの御曹司である楓斗が、まるで浮浪者のように地面に這いつくばって、私が捨てた指輪を探し回っていたそうだ……

* * *

ウェディングドレスの試着の日、高所からうっかりスマホを落としてしまった直後、謎の電話がかかってきた。

電話の主は、三年後の私、佐藤優花(さとう ゆうか)自身だった。

「楓斗と結婚しちゃダメ。彼には心に決めた本命がいるの。あなたはただの身代わりに過ぎないわ。彼があなたを愛することはない。彼が本当に愛しているのは、あなたの親友よ」

私の最初の反応は、頭のおかしい人間からのタチの悪いイタズラだろう、というものだった。

親友の鈴木愛音(すずき あいね)とは実の姉妹のように仲が良いし、高橋楓斗(たかはし ふうと)とは付き合って五年になるが、一度も私に声を荒げたことはない。

彼はよく「お前に出会えて本当に良かった。お前は俺の生涯の最愛の人だ」と言ってくれていた。

無意識に電話を切ろうとしたが、電話の向こうから聞こえたグラスの割れる鋭い音に、心臓が跳ね上がった。

思わず体が小刻みに震えだすと、電話の向こうの私が耳をつんざくような悲鳴を上げた。

立て続けに、聞き慣れた声が電話越しに響いてきた。

「優花、何度も警告したはずだ。愛音を傷つけるな。彼女に少しでも手を出してみろ、死ぬより辛い目に遭わせてやる」

その声は、楓斗の声と全く同じだった。

私は思わず眉をひそめた。

愛音って?

私の親友の、あの鈴木愛音のこと?

手の震えが止まらない。私の世界を根底から覆すような、恐ろしい真実が今にも暴かれようとしている。そんな予感に、全身が支配されていた。

その時、突然三年後の私が叫び声を上げた。

「やめて、お願いだから楓斗、許して、お願い……!」

三年後の私はひどく怯えた様子で叫んでおり、まるで何か非人間的な虐待を受けているかのようだった。

その痛みと恐怖が、まるで自分自身のことのように生々しく伝わってくる。背中には、一気に冷や汗が滲んだ。

「優花、ガラスで体を切り裂かれる気分はどうだ?お前は俺と愛音の子供を殺しただけでなく、愛音が二度と妊娠できない体にしたんだ。こんな大罪、お前を八つ裂きにしたところで俺の恨みは晴れないぞ」

氷のように冷酷な楓斗の口調が電話越しに伝わってきて、全身の血が凍りつくような感覚に襲われた。

これが本当に、私の知っているあの優しくて甘やかしてくれる楓斗なのだろうか?

彼が私にこんな酷い仕打ちをするなんて、到底信じられなかった。

頭の中がパニックに陥り、それでも必死に平常心を装い、自分に言い聞かせた。――そんなはずはない、楓斗が私にこんなことをするはずがない、と。

直後、再び耳を刺すような悲鳴が響き渡った。

その声に、反射的に身体がびくりと大きく跳ねた。

どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。電話の向こう側の騒ぎが、ようやく静まり返った。

手足がすっかり冷え切り、私は震える声で問いかけた。「もしもし?まだそこにいるの?」

電話の向こうの私から、苦痛に満ちた掠れ声が聞こえた。「まだ、いるわ」

私はホッと長く息を吐いた。「ああ、無事で本当によかった」

三年後の私は自嘲気味に笑い、枯れ果てた声で告げた。「今のが聞こえたでしょう。楓斗は愛音が好きで、私を殺すことすら厭わない。楓斗の両親は愛音を気に入っていないから、彼は親を誤魔化すために、私という身代わりを見つけたのよ。

もしあなたが意地を張って楓斗と結婚するなら、あなたの結末は今の私と同じになるの」

頭の中が混乱し、それでもまだ信じたくなかった。「そんなのあり得ない。愛音は私の親友で、楓斗は私を一番愛してくれている人よ。どうしてそんなことに……?」

三年後の私はひどく弱り切った様子で、ため息をついた。「遅かれ早かれ信じることになるわ。今日、ウェディングドレスを試着しているその場所で、夕方の五時に火災が起きる。楓斗はあなたを見捨てて、愛音を助けるのよ」

「あり得ない。あの二人はそんなに親しくもないのに」

私は手のひらに爪が食い込むほど強く握りしめ、一心に二人を弁護しようとした。

しかし、返ってきたのは非情な切断音だけだった。

「優花!」それと同時に、愛音の弾むような声が私を現実に引き戻した。

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