
月は私のもとを離れていった
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『月は私のもとを離れていった』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約580字
土砂崩れが起きたとき、私、江崎洋子(えざき ようこ)は須崎陽菜(すざき ひな)と一緒に下へ落ちた。
私の恋人は私の目の前で陽菜を背負って立ち去った。
そこに、私だけが残された。
皆が慌ただしく陽菜を病院へ運び、誰ひとり私のことなど気に留めなかった。
人に助けられて病院へ運ばれたときも、私の恋人は一度も見舞いに来なかった。
けれど、私がもう彼を愛さなくなったときになって、彼は目を真っ赤にして愛していると言った。
土砂崩れが起きたとき、須崎陽菜(すざき ひな)はきちんと立っていた私・江崎洋子(えざき ようこ)を引っ張り、そのまま私を一緒に下へ引きずり落とした。
藤原文哉(ふじわら ふみや)は必死な顔で陽菜を背負って行ってしまい、私のほうは一度も振り返ってくれなかった。
本当は、陽菜よりも私のほうがずっと重傷だった。
私たちは一本の木に引っかかって止まったのだけれど、不運なことに最初にぶつかったのは私だった。
枝が私の足を貫いていた。
陽菜は私が下敷きになったおかげで、少し擦りむいただけだった。
文哉が降りてきた瞬間、私は涙が止まらなくなった。けれど、私が口を開く前に、彼は陽菜を背負って去ってしまった。
最初から最後まで、私のほうを一度も見なかった。
木村莉里(きむら りり)と観光地のスタッフが私を救い上げてくれるまで、私は必死に耐えていたけれど、そのときようやく気を失った。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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