攻略失敗後、死を望んだ私に攻略対象が狂い出す第2話
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けれど、蓮也の次の言葉で、その淡い期待もあっけなく消えた。
「何を勘違いしてる。お前を追ってきたわけじゃない。眞白に渡すアクセサリーを取りに戻っただけだ。たまたま、お前がこんなところで馬鹿な真似をしているのを見ただけだ。
莉緒、いい加減にしろ。死ぬだの何だの騒げば、俺が構うとでも思ってるのか。同情を引こうとしても無駄だ」
そんなふうに吐き捨てる蓮也を見て、私は笑うしかなかった。
本当に私を心配して来てくれたのだと、少しでも思った自分が馬鹿みたいだった。
また一人で、都合のいいほうに考えていただけだった。
分かっていたはずだ。蓮也がどれほど眞白を想っているのか。報われないと知りながら、何年も彼女のそばにいたことも。
それでも眞白が選んだのは、遥真だった。
蓮也はそれを黙って受け入れ、彼女が別の男のもとへ嫁ぐ日まで見届けようとしている。
それどころか、今日の式を完璧なものにするため、眞白のためにあれこれ奔走していた。
本当に、どうしようもないくらい眞白が好きなのだ。
もう、これ以上は耐えられなかった。
私は蓮也に背を向け、一歩ずつガードレールへ近づいた。
蓮也はまだ、私が気を引くために騒いでいるだけだと思っているのだろう。車にもたれたまま、冷えた声で言った。
「死ぬなら早くしろ。後始末くらいはしてやる。
俺をこれ以上付き合わせるな。眞白のところへ戻るのが遅れる」
その言葉が、最後のひと押しになった。
私はガードレールを越えた。
川の水が一気に押し寄せ、目も鼻も耳も塞がれていく。息を吸おうとしても空気はなく、胸の奥が少しずつ苦しくなっていった。
このまま私が消えたら、あの人たちは少しでも後悔するのだろうか。
次の瞬間、私は水の中から引き上げられていた。
息を整える間もなく、頬に鋭い痛みが走る。
蓮也に、また叩かれたのだ。
「お前、本気で死ぬ気だったのかよ!
莉緒、俺がいいと言うまで、勝手に死ぬな!」
蓮也はそう怒鳴りながら、私を岸へ引き上げた。
「いいか。母さんは、お前をこんなところで死なせるために、苦労して産んだんじゃない」
お母さんは、この世界でたった一人、私に優しくしてくれた人だった。
けれど、そのお母さんはもういない。
私にはもう、この世界に残る理由もなかった。
そろそろ、ここを去るべきなのだろう。
今回は死ねなかった。システムがいつ戻ってくるかも分からない。私は適当な理由をつけて、蓮也に家まで送ってほしいと頼んだ。
家へ向かうあいだも、蓮也の説教は終わらなかった。
「遥真が結婚したくらいで、死ぬだの何だの騒ぐな。本気であいつが好きなら、俺みたいに黙って祝福してやれ。
それが本当の愛ってものだろ」
けれど私は、この世界の誰かを好きになったことなんて一度もない。
私はただ、元の世界へ帰るために、攻略対象へ近づいていただけだった。
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