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捨てた私に、今さら家族面ですか?第2話

この話は約1441字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

玄関のドアは少し開いていた。

中から、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

「お姫様、お帰り!今日からまた、ここがお姉ちゃんのお城だよ!」

弟の声だった。

彩花が帰ってくる15日は、家の中はずっと祝い事でもあるかのように華やいでいた。

玄関まで来ただけで、ごちそうの匂いが漂ってくる。

私は養母が温め直した昨日の残り物すら、一口も食べていなかった。

ドアを開けた瞬間、凍りついたように笑い声が止まった。

最初に我に返った母が、気まずそうな笑みを浮かべた。

「彩乃、どうしたの?ごはんはまだ?今、お箸とお皿を持ってくるから」

母は紙皿と割り箸を、彩花の名前が入った茶碗の横に置いた。

弟はテーブルに並んでいた豚の角煮と手羽先を、こっそり冷蔵庫にしまった。

私はその場から動かなかった。

「お母さん、検査結果は見た?」

母は一瞬固まり、聞こえなかったふりをした。

「先にごはんを食べましょう」

諦めきれず、もう一度口を開いた。

「私、尿毒症なんだよ!」

すると、父が突然声を荒らげた。

「俺たちにどうしろっていうんだ?俺たちが負い目を感じてると思って、それを盾に脅すつもりか?」

思いもよらない言葉に、私は目を見開いた。

「そんなつもりじゃない。彩花とは適合してるから、腎臓を一つ提供してもらえたら……」

母は弾かれたように、甲高い声を上げた。

「もうやめて!」

すぐに取り乱したことに気づき、無理やり笑顔を作った。

「お母さんにできることは、何でもするから。ひとまずこの2万円を持っていって、養父母に病院へ連れていってもらって。お母さんは今、手が離せないの。あとで提供者も探してあげるから」

私は彩花を見た。

母が手を離せないのは、彩花のお祝いを続けるためだった。

手に押し込まれた2万円は、まるで施しのようだった。

彩花が気まずそうに口を開いた。

「彩乃、提供したくないわけじゃないの。でも、私の夢がダンサーだって知ってるでしょう?腎臓が一つになったら、もう踊れないかもしれない」

こぼれそうになる涙を必死でこらえ、私はすがるように言った。

「私たちは珍しい血液型だから、普通の人より提供者を見つけにくいの。お父さん、お母さん。私、本当に死ぬかもしれないんだよ!」

母は突然、泣き崩れた。

「だから何なの?彩花だって私の娘なのよ!あなたを助けるためなら、彩花の夢は諦めさせてもいいっていうの?お願い、彩花は私の命なの。私から彩花を奪わないで。どうしてもというなら、お母さんの命をあげるから!」

そう言うと、母は私の前にひざまずき、何度も必死に頭を下げた。

彩花は泣きながら駆け寄り、母を抱き起こした。

そして、憎しみに満ちた目で私をにらんだ。

「彩乃、もし病気になったのが私なら、あなたや家族をこんなふうに困らせたりしない」

父が激高し、私の頬を平手で打った。

「彩花を少しは見習え!そんな身勝手な性格、いったい誰に似たんだ。よその家の娘の治療まで引き受けると言ってるんだ。それだけでも十分だろう。これ以上つけ上がるな!」

呆然としたまま、打たれた頬に触れた。

実の親からも育ての親からも、私はよその家の娘だと言われた。

では、私の家はいったいどこにあるのだろう。

力なく家を出た。

階段を下りようとした瞬間、背中を強く押された。

顔を打って血がにじみ、全身にはいくつものあざができていた。痛みに息をのんで振り返ると、そこに弟が立っていた。

弟は声を張り上げた。

「このバカ!自分の家に帰れよ。もう二度と来るな!俺のお姉ちゃんは彩花だけだ!」

そう言い捨てると、勢いよくドアを閉めた。

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