成人を迎えたその日、姉と私に突きつけられた人生の選択第2話
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思帆と晴斗の結婚式は盛大を極め、会場は由緒ある百年ホテルだ。
招かれたのは政財界の大物ばかりで、まさに社交界の一大イベントだった。
思帆はオーダーメイドのウェディングドレスに身を包み、グラスを交わすたびに得意げな笑みが隠しきれない。
晴斗の腕をしっかりと取ったまま、わざわざ私のところまでやってきて、乾杯のふりをしながらこう言った。
「清凪、これが初めてのお義兄さんとの対面よね?将来あんたの会社が潰れたら、もしかしたらお義兄さんが助けてくれるかもよ!
女が必死に働いたって意味ないわよ。さっさといい男を見つけるのが一番大事。でも、あんたにはそんな運命、絶対に巡ってこないけどね」
ついに私を完全に足元に置いたとでも思ったのか、思帆の目尻には勝ち誇った笑みが浮かぶ。
隣の晴斗は、紳士的に私に軽く会釈するだけだった。
思帆の高飛車な態度に少しだけ眉をひそめているのが分かった。
前世で何年も一緒に暮らした経験から、彼がこの妻に満足していないことは明らかだった。
なにしろ思帆は、誰の目にも愚かさが分かるほどだから。
この新鮮さが過ぎれば、きっと思帆の地獄が始まるだろう。
私が黙っていると、思帆は私が嫉妬していると勘違いしたらしい。
さらに何度か皮肉を言い放ち、得意げに晴斗の手を引いて去っていった。
正直、思帆と言い争う気力などなかった。私はちょうど会社を継いだばかりで、まだまだ人脈を広げる必要がある。
今日は珍しくビジネス界の大物が勢ぞろいしている日。私は急いでグラスを手に挨拶回りを始める。
前世の思帆は自分を高く評価しすぎて、自分は女社長だと周囲を見下していた。
わがまま放題で、何度も取引先を門前払いにした。
世の中には上には上がいるということを知らず、すぐに京市の実力者・黒崎(くろざき)家を怒らせ、その日のうちに業界から追放されたのだ。
私は絶対に思帆の二の舞にはなるまいと、謙虚に名刺を差し出し続けた。
おかげで何人かの大物たちには好印象を持ってもらえたようだ。
ようやく一息つこうとしたその瞬間、会場の中央で突然騒ぎが起きた。
「わざとぶつかったんでしょ!私が目が見えないとでも思った?こんな大事な日に私の気分を壊すなんて、あんた、私の夫が誰だか分かってるの?」
さっきまで上機嫌だった思帆が、今は鬼のような顔で小さな女の子を睨みつけている。
女の子は、こんな場面を見るのは初めてなのか、慌てて説明した。
「本当に違います……お兄ちゃんを探してて、うっかりぶつかってしまいました。もう謝りましたし……」
みんなの視線が集まり、女の子の顔は真っ赤で、今にも泣きそうだった。
ただの小さなハプニング、流してしまえばそれでいいはずだった。
なのに思帆は、これを人前で目立つチャンスだとでも思ったのか、女の子を執拗に責め立てた。
「ダメよ!このドレス、フランスから空輸したのよ!あんたに踏まれて汚されたじゃない!その顔じゃ一生かかっても弁償できないわね!
見たことない顔ね?もしかして忍び込んだ下働き?」
この上流社会の世界は意外と狭い。皆、お互いの素性は知り尽くしている。
思帆は、相手が弱いと見て、強気に出たのだろう。
女の子が今にも泣き出しそうなのを見て、私はもう黙っていられなかった。前に出て、声をかけた。
「お姉さん、今日はおめでたい日なんだから、もういいでしょ?わざとじゃないんだし、今回は許してあげてよ」
私が人前で反論すると、思帆は面白くなさそうに顔をしかめ、冷たく笑いながら言った。
「どうしてわざとじゃないって分かるの?もしかして、あんたがこいつを使って騒ぎを起こそうとしたんじゃないの?こういう貧乏くさい子、何人も見てきたわよ!」
思いがけず逆ギレされた私は、さすがに顔色を曇らせた。
何か言い返そうとしたそのとき、背後から男の冷たい声が響いた。
「蘇我家は、ずいぶんといいお嫁さんを見つけたものだな」
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