和紙文成人を迎えたその日、姉と私に突きつけられた人生の選択 · 第2話設定≡

成人を迎えたその日、姉と私に突きつけられた人生の選択第2話

この話は約1579字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

思帆と晴斗の結婚式は盛大を極め、会場は由緒ある百年ホテルだ。

招かれたのは政財界の大物ばかりで、まさに社交界の一大イベントだった。

思帆はオーダーメイドのウェディングドレスに身を包み、グラスを交わすたびに得意げな笑みが隠しきれない。

晴斗の腕をしっかりと取ったまま、わざわざ私のところまでやってきて、乾杯のふりをしながらこう言った。

「清凪、これが初めてのお義兄さんとの対面よね?将来あんたの会社が潰れたら、もしかしたらお義兄さんが助けてくれるかもよ!

女が必死に働いたって意味ないわよ。さっさといい男を見つけるのが一番大事。でも、あんたにはそんな運命、絶対に巡ってこないけどね」

ついに私を完全に足元に置いたとでも思ったのか、思帆の目尻には勝ち誇った笑みが浮かぶ。

隣の晴斗は、紳士的に私に軽く会釈するだけだった。

思帆の高飛車な態度に少しだけ眉をひそめているのが分かった。

前世で何年も一緒に暮らした経験から、彼がこの妻に満足していないことは明らかだった。

なにしろ思帆は、誰の目にも愚かさが分かるほどだから。

この新鮮さが過ぎれば、きっと思帆の地獄が始まるだろう。

私が黙っていると、思帆は私が嫉妬していると勘違いしたらしい。

さらに何度か皮肉を言い放ち、得意げに晴斗の手を引いて去っていった。

正直、思帆と言い争う気力などなかった。私はちょうど会社を継いだばかりで、まだまだ人脈を広げる必要がある。

今日は珍しくビジネス界の大物が勢ぞろいしている日。私は急いでグラスを手に挨拶回りを始める。

前世の思帆は自分を高く評価しすぎて、自分は女社長だと周囲を見下していた。

わがまま放題で、何度も取引先を門前払いにした。

世の中には上には上がいるということを知らず、すぐに京市の実力者・黒崎(くろざき)家を怒らせ、その日のうちに業界から追放されたのだ。

私は絶対に思帆の二の舞にはなるまいと、謙虚に名刺を差し出し続けた。

おかげで何人かの大物たちには好印象を持ってもらえたようだ。

ようやく一息つこうとしたその瞬間、会場の中央で突然騒ぎが起きた。

「わざとぶつかったんでしょ!私が目が見えないとでも思った?こんな大事な日に私の気分を壊すなんて、あんた、私の夫が誰だか分かってるの?」

さっきまで上機嫌だった思帆が、今は鬼のような顔で小さな女の子を睨みつけている。

女の子は、こんな場面を見るのは初めてなのか、慌てて説明した。

「本当に違います……お兄ちゃんを探してて、うっかりぶつかってしまいました。もう謝りましたし……」

みんなの視線が集まり、女の子の顔は真っ赤で、今にも泣きそうだった。

ただの小さなハプニング、流してしまえばそれでいいはずだった。

なのに思帆は、これを人前で目立つチャンスだとでも思ったのか、女の子を執拗に責め立てた。

「ダメよ!このドレス、フランスから空輸したのよ!あんたに踏まれて汚されたじゃない!その顔じゃ一生かかっても弁償できないわね!

見たことない顔ね?もしかして忍び込んだ下働き?」

この上流社会の世界は意外と狭い。皆、お互いの素性は知り尽くしている。

思帆は、相手が弱いと見て、強気に出たのだろう。

女の子が今にも泣き出しそうなのを見て、私はもう黙っていられなかった。前に出て、声をかけた。

「お姉さん、今日はおめでたい日なんだから、もういいでしょ?わざとじゃないんだし、今回は許してあげてよ」

私が人前で反論すると、思帆は面白くなさそうに顔をしかめ、冷たく笑いながら言った。

「どうしてわざとじゃないって分かるの?もしかして、あんたがこいつを使って騒ぎを起こそうとしたんじゃないの?こういう貧乏くさい子、何人も見てきたわよ!」

思いがけず逆ギレされた私は、さすがに顔色を曇らせた。

何か言い返そうとしたそのとき、背後から男の冷たい声が響いた。

「蘇我家は、ずいぶんといいお嫁さんを見つけたものだな」

縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)