和紙文愛の反対 · 第2話設定≡

愛の反対第2話

この話は約1709字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

前世の私は、今ほど聞き分けがよくなかった。

7年後の息子だと名乗る相手からのメッセージを見ても、全く信じなかった。

人を雇って調べさせると、いとも簡単に遥の悪戯だと判明した。

怒りに任せて証拠を突きつけに行くと、彼女と蒼佑がベッドで絡み合っているところに出くわした。

蒼佑は慌てふためき、私の代わりに彼女を懲らしめているのだと言い訳した。

私だって馬鹿ではない。そんな戯言を信じるはずがない。

狂ったように大暴れした後、私は遥の汚い手口をすべてネットに暴露した。

逆上した遥は、真夜中に車で私に突っ込んできた。

車に容赦なく轢かれ、お腹の子供はその場で流れ、両足も神経を損傷して二度と立ち上がれなくなった。

彼女を心の底から憎んだ私は、K市中の法律事務所を回り、彼女を起訴して一生刑務所で償わせようとした。

しかし、蒼佑の裏工作により、K市で私の依頼を引き受ける弁護士は一人もいなかった。

その上、彼自ら証言台に立ち、私の怪我は自分で転んだもので、遥とは無関係だと言い放った。

私には精神疾患があるから、事実無根の中傷で遥を陥れようとしているのだと。

彼は私を精神科病院に放り込み、私はそこで7年間も過ごすことになった。

母は治療費が払えず、私が病院に入れられて間もなくこの世を去ってしまった。

やっと退院してその事実を知った私は、絶望のあまり屋上から飛び降りた。

高校時代、蒼佑の母親はまだ未成年だった遥の無免許運転によって撥ねられ、亡くなっているというのに。

桐生家とのビジネスの繋がりから、彼の母親の死はむりやり揉み消された。

あの頃、毎日抜け殻のようになっていた彼を家に連れ帰ったのは、当時の彼の担任だった私の母だ。

私と母がそばに寄り添ったおかげで、彼はようやくそのトラウマから立ち直ることができた。

それなのに、彼は母殺しの犯人のために、私たち親子をこんな目に遭わせるなんて……

悔やんでも悔やみきれない……

幸いにも、神様は私にもう一度やり直すチャンスを与えてくれた。

今回はもう、彼と宿敵同士の歪んだ恋愛ゲームに付き合うつもりはない。

意識を現実に引き戻した途端、戸惑いと疑念が入り混じった蒼佑の瞳と視線がぶつかる。

「栞、急にどうしたんだ……」

私は指を強く握りしめ、爪が肉に食い込みそうになるのを堪えながら、表面上は彼に向かって軽く微笑む。

「彼女のことが憎いんでしょう?あなたの妻として、当然手助けするわ」

「今回は随分と気が利くじゃない」

遥は遠慮なく靴を私に投げつける。

「さっさと部屋を片付けてきなさいよ」

その憎たらしい顔に、今すぐ飛びかかってズタズタに引き裂いてやりたい。

だが今回は、私が動くより先に、蒼佑が顔を曇らせて怒鳴る。

「いい加減にしろ!遥、やりすぎだぞ!」

遥はローテーブルの上のチェリーの皿を蹴り飛ばす。

「やりすぎって何よ、文句ある?」

蒼佑は足早に歩み寄り、彼女を乱暴に引っ張り上げて2階へと向かう。

「ここは俺の家だ!お嬢様気取りも大概にしろ!

このクソ女め、少し躾けてやらないと、自分の身の程が分かってないようだな!」

私は無意識に後を追ったが、部屋の入り口で立ちすくんでしまう。

つい先ほどまで一触即発だった二人が、今はもうベッドに転がり、離れがたく体を絡み合わせている。

蒼佑は女の滑らかな首筋に激しくキスを落とす。

「覚悟しろ、泣いて縋らせてやるからな!」

遥は彼の首に腕を回し、私に向かって勝ち誇ったように笑いかけ、喘ぎながら言う。

「やってみれば?あなたにそんな度胸があるかしら!」

私は針で刺されたかのようにサッと目を逸らし、冷め切った頭で思う。

本当に、少しも驚かない。

私は1階に降り、家を出るための荷物をまとめる。

荷物をすべてまとめ終わった頃、ようやく2階の騒ぎが収まる。

後ろめたさを感じたのか、蒼佑は真っ先に私のもとへやって来る。

「栞、変な誤解はするな。俺の心にはお前しかいない!

今俺がしていることは、すべてあいつに復讐するためなんだ!」

その言葉に、ひどく虫唾が走っている。

心の奥底の冷笑を押し殺し、口を開こうとする。だが次の瞬間、彼は私の手にあるスーツケースに気づく。ハッと目を見開くと、私の手首を強く掴む。

「栞!何をするつもりだ!」

縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)