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恩返しという名の裏切り第2話

この話は約1406字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

月乃を抱いて家に戻り、私は直接部屋に入って月乃を寝かしつけた。

生姜を多めに入れた料理なんて、食べたい人が作ればいい。

真夜中、外から修のひそひそ声が聞こえてきた。

私は寝返りを打った。脳裏にこの数年の記憶が浮かんだ。

あの年、父が死んだ後、母もすぐに後を追って逝った。

私は孤児院に送られ、そこで修と出会った。

彼は私をとても大切に守ってくれた。成人後、何も持たない二人の孤児が、小さなおもちゃを売ることから始めて、一銭一銭貯めて生き延びた。

あの頃、彼は私の手を握り、鼻先が凍えて赤くなりながらも、胸を張って言った。

「美鈴、金が貯まったら、世界一大きな家と、一番輝くダイヤを買ってやる」

それから?

それから彼が突然、さくらを連れて帰ってきた。命の恩人の娘という単語が、彼の口癖になった。

私が娘を産む時、病床で意識を失っていても、彼は躊躇なく私を放置して、さくらに付き添いに行った。

私は死にかけたのに、彼はただため息をついただけだった。

「美鈴、すまない。でもさくらが低血糖で苦しんでる。放っておけない。お前が一番物分かりがいいだろ?」

私は物分かりがいい。

あまりにも物分かりがよすぎた。

会社の運転資金を、何度も何度もさくらに「貸して」投資させ、全てが水泡の如く消え失せるのを見ても。

結婚五周年の日さえ、修はさくらと一晩中一緒にいた。ただ彼女が「気分が悪い」と言っただけで。

私の全ての不満は、彼の「人は恩を忘れてはいけない」という一言で塞がれる。

気づけば、涙が枕を濡らしていた。

私は起き上がってドアを開けた。リビングで三人が和やかに団らんする光景が、私の心を徹底的に刺し痛めつけた。

「修、離婚しましょう」私はドアノブを強く握り、指の関節が白くなっていく。

この家では、私こそが部外者だ。

「またどうしたんだ?」

修が真っ先に反応し、さくらに食べさせていた料理を置いて、私を見て眉をひそめた。

月乃がさくらの腕から飛び降りて、腰に手を当てて修の真似をした。

「ママ、もう騒がないで。ママ、変なおばさんみたい。さくらママの方が素敵!」

私は信じられない思いで月乃を見つめた。

手が頭より先に動いた。

置物が修の足元で砕け散った時、私は怒りに任せて詰問した。

「自分の子供に彼女をさくらママと呼ばせたの!?修!離婚はいいわよ、でも私が十月十日お腹に宿して産んだ子供に、愛人をママと呼ばせるなんてどういうこと!?」

水晶のトロフィーが割れる音に、月乃がわっと泣き出した。

さくらが慌てて月乃を抱きしめた。

「美鈴さん、何してるの?子供を脅かすなんて。早く病院に!」

彼らは慌ただしく出て行き、最後に玄関で修が私を冷たく睨んだ。

「子供に何かあったら、それで満足か?骨髄が適合しない時、後悔すればいい」

彼ら三人は家族のようで、私は他人の家庭を壊す悪女のようだった。

ドアは閉められず、その向こうの空洞のような黒さが、修の私への示威のようだった。

病院で、月乃の病状が急変した。

一度の化学療法の後、医師は早急に骨髄移植を行うよう勧めた。

娘の生気のない小さな顔を見て、私は全てを忘れ、修を引っ張って適合検査に行った。

検査結果を受け取った時、私は呆然とした。

私と月乃は全く適合しなかったばかりか、血液型も遺伝子的に合っていなかったのに、さくらは月乃と完全に適合していた。

修の声が、脳内で繰り返し響いた。まるで彼は最初から、林さくらが月乃と適合することを知っていたかのようだった。

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