復讐の果て、幸せな人生第2話
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やがて私たちは親しくなった。私は彼の周りにいる唯一の異性だった。
大学入試の年、彼は市内トップの成績を収めたが、入学式の日に謎の失踪を遂げた。私は狂ったように彼を探した。最終的に父がコネを使って調べ上げたところ、彼の継母が遺産争いを恐れ、人を雇って彼を拉致したことが判明した。
あの夜、廃倉庫で彼を見つけた時、彼は全身傷だらけだったが、歯を食いしばって一滴の涙も流していなかった。
私は泣きながら父に彼を助けてほしいと懇願した。父は数十億円規模のプロジェクトと引き換えに彼の自由を取り戻し、彼を学校に行かせた。
さらに裏で彼のために道を切り開き、人脈を紹介し、彼が後継者の座に就けるよう一歩一歩支援した。
蓮は確かに、私が出会った中で最も輝かしい人だった。彼が望めば、できないことなど何一つなかった。そして、何においても最も優秀な存在になった。
私はよく蓮を見つめ、憧れの眼差しを向けていたものだ。
「すごいわね。こんなに才能がある人なら、私の旦那様にぴったりだわ」
父も純粋な善意だけではなかった。私には商才がなく、父は家業を託せる人物を必要としていたのだ。
蓮が西園寺グループの後継者となった日。父は彼に、桜井家との縁談を受ける気があるかと尋ねた。
彼は断らなかった。
自作の指輪を持って、私の前に片膝をついた。
「紬、俺は桜井家と提携するために結婚するんじゃない。心からお前を妻にしたいんだ。お前は永遠に俺の妻だ」
指輪は無骨だったけれど、私の心は甘い幸せで満たされていた。これが一生続くのだと、私は思っていた。
神様はいつも私に意地悪な冗談を仕掛ける。大学時代、ルームメイトの玲奈が食事にも困っているのを見て、私は彼女を支援することにした。
玲奈を家に連れて行った日、蓮が私を訪ねてきて、玄関で彼女と鉢合わせた。彼はその場で凍りつき、その瞳には見たこともないほどの動揺が走っていた。
後で知ったことだが、昔彼が誘拐された時、危険を冒して彼を救い出したのが玲奈だったのだ。その日から、私は彼女を恩人として扱い、学費を支援し、私たちの生活に招き入れた。
私は彼に代わって恩返しをしているのだとさえ思っていた。しかし、借りを返しているつもりが、いつの間にか自分の居場所さえも失ってしまうとは、思いもしなかった。
……
タクシーの運転手さんが目的地まで送ってくれた。私は料金を払って車を降りた。去り際、運転手さんは私が住むアパートの環境を見て、同情のこもった目を向けた。
「お嬢ちゃん、こんな場所に住んでないで、早く実家に帰りなよ。ご両親が心配するよ」
その言葉は予期せぬ棘となって、心の最も柔らかい場所に突き刺さった。私はその場に立ち尽くし、無意識のうちに目頭が熱くなった。
実家?私に帰る家など、どこにあるというの?
涙腺が緩み、記憶が強引に六年前へと引き戻される。
あの頃、私には世界で一番温かい家があった。両親は私を目に入れても痛くないほど可愛がり、婚約式の日取りも私の誕生日に合わせてくれた。その日、祝福を贈りたいと言って。
そのために、彼らは全市を駆け回り、極上のウェディングドレスを特注してくれていた。母はその時、私の顔を撫でながら愛おしそうに言った。
「お父さんとA市を探し回って、やっと紬にぴったりのドレスを見つけたのよ」
彼女は優しく私の顔に触れた。
「私たちの宝物。絶対に幸せになるのよ」
私は幸せに浸っていて、それが最期の会話になるとは夢にも思わなかった。ドレスを受け取りに行った帰り道、両親は深刻な交通事故に遭い、二人とも帰らぬ人となった。別れの言葉ひとつ、残すこともできずに。
巨大な罪悪感と悲しみが、瞬く間に私を引き裂いた。私のせいだ。私がドレスなんてねだらなければ、二人はこんな目に遭わずに済んだのに。
その時期、片時も離れず私に付き添ってくれたのが蓮だった。
彼は私の代わりにすべての事後処理を行い、崩れ落ちる私を抱きしめて何度も慰めてくれた。
「紬、しっかりしろ。おじさんとおばさんの一番の願いは、お前が幸せになることだ。二人を失望させるな」
私はその言葉を信じた。両親の遺志を継ぐため、私は無理をして婚約式を行うことにした。あの日、私は両親の愛が詰まったドレスを身にまとい、宴会場へと向かった。
しかし、控室の前を通りかかった時、一生忘れられない光景を目にしてしまった。中では、男女が裸で絡み合っていたのだ。私は信じられない思いで口元を押さえた。
「蓮、本当に彼女と婚約するの?」
涙声の玲奈だった。
「ああ」
蓮の返答には感情が読み取れなかった。
「じゃあ私たちはどうなるの?蓮、私は本当にあなたを愛してるよ」
「俺が愛しているのはお前だけだ。彼女との婚約は、彼女の両親が残した株式をスムーズに手に入れるためだ。玲奈、もう少しだけ我慢してくれ」
蓮の声は、私の心臓をえぐり取った。
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