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復讐の果て、幸せな人生第3話

この話は約1802字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

その瞬間、心が砕ける音が聞こえた気がした。私は、両親が命と引き換えにしてくれたドレスを着ていた。彼らが私の幸せを願ってくれた道の途中に立っていた。

それなのに、私の婚約者が、私に残された最後の利用価値をどう搾り取るか画策しているのを、この耳で聞いてしまったのだ。

全身の血液が一瞬で凍りつき、心臓さえ止まったかのようだった。中に飛び込んで問い詰めたかった。どうしてこんな仕打ちをするのかと。けれど結局、私は背を向けて立ち去った。

そう、私は臆病者だった。問い詰める勇気さえなかったのだ。

天国から地獄へ落ちるのは、ほんの一瞬だった。私は幽霊のように控室に戻り、鏡の中のウェディングドレス姿の自分を見つめた。

なんて滑稽なのだろう。両親の深い祝福が込められたこのドレスが、今は最大の皮肉となって私を嘲笑っている。

卑屈な考えが心の底に芽生えた。もしかしたら聞き間違いだったのでは?彼には何かやむを得ない事情があるのでは?もう一度だけチャンスをあげようか……だって彼以外、私にはもう何も残っていないのだから。

あの時の私は、まだ彼に対して一縷の期待を抱いていたのだ。

……

私がドレスを着て出て行くと、蓮はすでにいなくなっていた。玲奈が壁に寄りかかり、ゆっくりと襟元を直していた。彼女の首筋に残る生々しいキスマークが、私の目を刺した。

「彼が愛しているのは私よ。あなたと一緒にいるのは、桜井家の株のためだけ」

私は拳を固く握りしめ、爪が掌に食い込んだ。

「私はあなたを姉妹のように思っていたのに、どうしてこんなことをするの?」

彼女はとてつもない冗談を聞いたかのような顔をした。

「桜井のお嬢様、あなたが恵んでくれる優しさの一つ一つが、あなたが生まれながらにして全てを持っていることを私に突きつけてくるのよ!」

彼女は突然私の手首を掴んだ。その力は驚くほど強かった。

「どうして?彼を救ったのは私なのに、どうして最後に彼の隣に立つのがあなたなの?

私への支援だって、あなたの偽善を見せびらかすためでしょう!」

私は弁解しようとした。しかし彼女は突然、私の手を自分の体に引き寄せ、自ら突き飛ばされたように後ろへ倒れ込んだ。そして、悲鳴を上げた。

「きゃあ!」

悲鳴を聞きつけて、参列者たちが集まってきた。蓮が人混みから飛び出し、とっさに玲奈を抱きかかえた。彼は私を見上げ、怒鳴りつけた。

「紬、何をしてるんだ!」

玲奈は彼の胸に寄り添い、計算されたタイミングで涙をこぼした。

「蓮、紬を責めないで。私たちが親しすぎるのが嫌だったのかもしれないわ」

私は蓮を見つめ、消え入りそうな声で言った。

「あなたの中で、私はそんな人間だったの?」

彼の唇がわずかに動いたが、何かを言う前に、鼻をつく煙のにおいが漂ってきた。

「火事だ!」

炎が一気に燃え上がった。

「来い!」

蓮はとっさに私の手首を掴んだが、すぐにパッと手を離した。彼の視線は私を通り越し、地面にうずくまる玲奈に向けられた。

その瞬間、時間が止まったようだった。彼の目の中に葛藤が見え、拳が固く握られるのが見えた。しかし結局、彼は身を屈め、玲奈を横抱きにした。

「紬、先に彼女を外へ送ってくる。すぐに戻ってお前を助けに来る!」

それが、彼が私に残した最後の言葉だった。濃い煙が目に染みて開けていられない。

私は逃げようとした。しかし火の回りが早すぎて、炎が退路を塞いでいた。煙が鼻腔に押し寄せ、意識が次第に遠のいていく。最後は目の前が真っ暗になり、完全に意識を失った。

誰が私を火の海から救い出してくれたのかは分からない。目が覚めた時、私はすでに病院のベッドの上だった。丸一日待ち続けたが、蓮はついに現れなかった。

退院の日、私は荷物をすべてまとめた。半開きの病室の前を通りかかった時、足が止まった。蓮がベッドサイドに座り、大切そうに玲奈に薬を飲ませていた。

彼の選択はこれ以上ないほど明確だった。私はスーツケースを引き、振り返ることなく病院を後にした。

スマホの着信音が、私を回想から引き戻した。

「紬、国内の用事は済んだかい?いつ戻ってくる?」

私の声には自然と笑みが混じった。

「全部済んだわ。来週には帰る」

「早く帰ってきてくれ。会いたいよ」

私はふふっと笑った。

「分かったわ、あなた。私も会いたい」

電話を切り、立ち去ろうと振り返った瞬間、不意に血走った瞳とぶつかった。蓮が目の前に立ち、全身を震わせていた。

「お前……結婚したのか?」

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