幽霊になって三年目第3話
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「さっさと柚を呼んでこい!芝居はもうやめろって伝えろ。君たちは、俺のことバカだと思ってさんざん振り回してるんだろう?」
哲也は私が死んだなんて信じてなかったようで、これも全部、私が仕組んだことだと思ってるんだ。
そう思うと、胸がぎゅっと痛んだ。
あんなに私のことを愛してくれていたのに……私が彼を傷つけたから、こんなふうになっちゃったんだ。哲也の目にはきっと、私が手段を選ばないひどい女のように見えるんだろう。
でも、これも全部自分で選んだ道。自業自得だから、私はただ受け入れるしかないのだ。
明里はまだ二日酔いで頭が痛かったみたいだけど、哲也の言葉を聞いて一瞬で目が覚めたようだ。
それもそのはず、明里にとって、私は何よりも代えがたい存在なのだから、哲也に私の悪口を言われて、彼女は怒りが一気にこみあげてきてカッとなったのだ。
「あなたにお姉ちゃんの何がわかるの!お姉ちゃんはもういないのに、まだそんなひどいこと言うつもり?昔は本当にお姉ちゃんを愛してるんだと思ってたけど、彼女があんなことになった時、あなたはどこにいたのよ!
お姉ちゃんが死んで三年も経つのに、わざわざ家まで来て悪口を言うなんて!最低なクズ男!とっとと出ていってよ!」
哲也も、明里にそう罵られて一瞬呆気にとられていた。
でも、彼もわがままでプライドが高いところがあって、私が別れを切り出した時に必死にすがりついてきたこと以外、人にへりくだったことなんて一度もなかった。だから、こんなふうに罵られた経験だって、今までなかったはずだ。
ましてや相手は、自分を裏切った女の妹である明里だ。
「明里、君たち姉妹は本当に面白いな。柚は浮気して俺を裏切るし、君は君で彼女とグルーになって俺の前で芝居を打ってくるし。本気で俺が、君たちにいいように騙されるバカだと思ってんのか?」
哲也は明らかにキレていて、部屋のドアを思いっきり蹴りつけた。
「明里!さっさと柚を連れてこい!昔俺を裏切っておいて、今さら何の真似か、あいつに直接問い詰めてやる!」
そう言う哲也の目には、どす黒く険しい光が宿っていた。
一方、明里もまた完全にキレていた。彼女にとって、何にも代えがたい私が哲也に悪く言われるのがとても許せなかったのだ。
すっかり頭にきた明里は勢いまかせに哲也の頬をひっぱたくと叫んだ。「黙って!お姉ちゃんのことを悪く言うのは許さない!」
頬を打たれて、哲也もさすがに頭にきた。
彼は怒りにまかせて明里の腕を掴み、手首が赤くなるほど強く握りしめた。「俺が女は殴らないとでも思ったか?君と柚の魂胆なんてお見通しなんだよ。どうせ俺の金目当てなんだろ!言っとくが、君たちなんかに一円だってやるつもりはないからな!」
その言葉に明里は怒りで目を真っ赤にして叫んだ。「頭おかしいんじゃないの!」
にらみ合う二人を見て、私はいてもたってもいられなかった。でも今の私はただ宙に浮かんでいるだけ。二人を止める術なんて何もないのだ。
だけど、自分はもう死んでるのに、明里が私のせいでこんなに辛い思いをしているのが、たまらなく心苦しかった。
そして、哲也に対しても罪悪感を感じてやまないのだ。彼には本当に申し訳ないことをしたのだから。
かつての哲也は、たしかに少しお坊ちゃま気質なところはあったけど、根はすごく明るくて、ほのぼのとした人だった。
私が哲也の元を去って……というより、私が浮気したんだって彼に思い込ませてから、哲也はすっかり変わってしまった。あんなに明るかったのに、やつれてどこかどんよりした影がある人になってしまったのだ。
哲也をこんなふうにしてしまったのは、全部私のせい。彼が抱える憎しみも、心に闇を宿るようになったのもすべて私が原因なのだ。
哲也は明里を地面に突き飛ばし、吐き捨てるように言った。「明里。君も、柚も、せいぜい身の程をわきまえろ」
それを見て、今すぐ駆け寄って明里を助け起こしてあげたかったが、幽霊である私にはどうすることもできないのだ。
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