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学部一の美女に「たかり女」疑惑をバラされた?第3話

この話は約1979字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

3日目は金曜日だった。

学校では毎週金曜の昼、広場で『学生の声』という催しが開かれる。誰でも壇上に立って発言できるイベントだ。

私はこの機会を借りて、真相をはっきりさせるつもりでいた。

ところが朝、教室に着くと、席に一通の封筒が置かれていた。

学部の公印が押された、正式な通知書だった。

【桜井望さんの今学期表彰資格取り消しに関する通知】

【理由:重大な品行上の疑義があり、学生自治会からの申し立てにより、一切の表彰資格を停止する】

発行日は昨日付だった。

美月の仕事の速さは、出前よりも速いようだ。

申し立てから処分まで、24時間もかかっていない。

私は通知書を持って担当教員の恵子のところへ向かった。

恵子は朝ごはんを食べている最中だった。

「桜井さん、今回の件ですが……注目を集めすぎているようですね。

学校側としましても、これ以上世論の的になるのを抑えるためなんです。

九条くんが戻って詳細がはっきりすれば、表彰資格の回復に向けて検討の余地もあります……まずは、事態が沈静化するのを待ちましょう」

「彼が戻るのは明日なのに、私は今日という日のうちに処分されているんです」

「手続き上は問題ありません」

「手続き上?それならお聞きしますが、学生自治会に個人の銀行カードを差し押さえる権限があるんですか?」

「それは……まず学生自治会と話し合ってください」

世論の前では、「手続き」なんて声の大きい者にとっての都合のいい形に、粘土のように形を変えられるものだ。

昼休みになり、私は広場に向かい発言の申し込みに行った。

だが美月が先回りして、「学生の声」の申込用紙に細工をしており、私の名前は線が引かれて消されていた。

それだけではなく、私の名前の横にはこう書き添えてあった。

【当該学生は現在品行上の疑義があり、公の場での発言は不適切】

私は広場の端に立って、壇上で演説する美月を見ていた。

「私たちは、不当な付きまといには勇気を持ってノーと言うべきです。

誰にでも、不当な嫌がらせを拒否する権利があります」

客席から盛大な拍手が起こった。

誰かがこちらに目をやり、ひそひそと囁き合った。

美月が私に気づいた。

マイクに向かって、微かに笑ってみせる。

「もちろん、過ちを犯した学生にも、改める機会は与えるべきだと思います。

誰かさんには、自分の行いを本当の意味で反省していただきたいですね」

その視線が、まっすぐ私に落ちた。

その視線を追うように、周囲にいた人々の目が一斉にこちらへ向けられる。

私は日差しの下に立っていたのに、まるで裁きの壇上にいるようだった。

夕奈が私の袖を引いて、その場から連れ出そうとした。

「ここにいちゃだめ、わざとやってるんだから」

私はその手を振りほどいた。

「ね、写真、撮って」

「何の?」

「広場の申込用紙。私の名前が消されてるやつ」

夕奈は写真を撮って送ってくれた。

私はその写真を保存してから、教務課にも足を運んだ。

教務課の職員によれば、表彰資格の取り消しには教授会での審議が必要だという。

だが昨日、教授会は開かれていなかった。

つまり、あの通知書の手続きは不備があるということだ。

だが職員はこう付け加えた。

「学部側は、来週月曜に追加で会議を開いて、正式に決定するそうです」

「会議は月曜なのに、通知書はもう昨日届いているんですか?」

「先に通知して、手続きは後から整えるんです。特殊な事情ですから」

特殊な事情。

訳せばこうだ。先に処分しておいて、手続きは後からでっち上げる。

教務課を出ると、また茉莉が現れた。

印刷済みの謝罪文を差し出してくる。

「美月先輩が、今日中に掲示板に上げれば、表彰資格の処分を撤回してくれるって」

私は受け取って、目を通した。

全文800字。要となる段落はこうだ。

【私は長期にわたり、不適切な方法で九条蒼真先輩につきまとい、彼の学業と生活に重大な支障をきたしたことを認めます。

自分の過ちを深く反省しております】

私はその紙を折りたたんで、ポケットにしまった。

茉莉がほっと息をついた。

「じゃあ、今夜あげるの?」

「あげない」

「じゃあ何のために持ってるの?」

「記念に取っておくだけ」

「これ、美月先輩が徹夜で人に書かせたものなのに……」

「文章はうまいね」

私は少し間を置いた。

「でも、やってもいないことは、一字だって認めるつもりはない」

茉莉の顔色が変わり、スマホを取り出してメッセージを送った。

10秒後、美月から届いた返信の内容は私にもはっきりと見えた。

【それなら仕方ないね。明日九条先輩が戻ったら、彼女のことなんて知らないって、本人の口から全校学生の前で言ってもらうから】

私はその文字列を数秒間見つめた。

知らない?

明日、もし蒼真が本当にそんなことを言ったら、おばあちゃんに電話をかけてやるんだから。

蒼真が社会的に終わるのが先か、それともおばあちゃんのスリッパが先に飛んでくるのが先か、見ものなものだ。

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