子宮ガンの診断書を持って来た義母に、離婚届を突きつける第1話
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森田美代子が子宮がんと診断された日、彼女は荷物を手に私の家に押しかけてきた。
「私もこれだけの命よ。もう希望なんてないわ」と、あの女は涙声で訴えかけてきた。
「追い出すなんて、人でなしのすることよ」
私は黙り込む夫の健一の顔を見つめ、そして愛情込めて育てた息子の大輔の方を向いた。「二人はどう思うの?」
黙したままの健一は厳しい表情で、私の手を掴んだ。
「産後のあの件を、いつまでも根に持つつもりか。母さんがこんな状態なのに」
大輔まで私を責め立てた。「おばあちゃんがもう危ないのに、最期くらい看取るのは当たり前じゃない」
私は二人を冷ややかな目で見つめ、薄く笑った。「そう、世話をしたいならご自由になさってちょうだい」
* * *
仕事から帰宅して玄関を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、ソファで脚を組んでひまわりの種をポリポリ食べている森田美代子の姿だった。あの女は私に向かってにやりと笑いかけてきた。
「お帰りなさい、優子さん」
私の表情が固まった。
なぜここにいるのか理解する前に、あの女はソファから立ち上がり、私の前まで来ると、
「びっくりした?予想外だったでしょう?
あなたの旦那さんと息子さんが直々に私を呼び戻してくれたのよ。
悔しいでしょう?」
森田は得意げに言い放った。「血のつながりってそういうものなの。私と健一、大輔との絆は、あなたみたいなよそ者には決して理解できないわ!」
あの女の表情は、相変わらず吐き気を催すようなものだった。
その顔を見ただけで胸が悪くなり、問い詰めようとした矢先、部屋から出てきた健一と大輔と目が合ってしまった。
二人の笑い声は、私の姿を認めた瞬間にピタリと止んだ。
居間に流れる沈黙が、まるで空気を凍らせているようだった。
さっきまで得意げだった森田は、手のひらを返したように態度を豹変させ、「健一を責めないで。このお婆さん、もう長くないから、どうしても家に入れてって頼んだのよ」と哀れっぽく訴えかけた。
高圧的な態度を一変させ、しおらしく検査結果を取り出す。
「検査でがんが見つかったの。子宮がんよ。もう私の命も長くない、希望なんて何もないわ」森田は涙声で続けた。「私を追い出すなんて、人でなしのすることよ」
まるで追い出されることを恐れているかのような演技。
見事な演技で涙を流しながら、床に座り込んだ森田。「この老いぼれの最期の願い、叶えてくださらない?」
私は森田の完璧な演技を冷ややかに見つめ、それから沈黙を通す健一と大輔に視線を移した。「二人はどう思うの?」
私と森田美代子の不仲の理由。
健一だって分かっているはずだ。あの時、事態がここまで深刻化したからこそ、私たちの結婚生活を守るため、健一は苦渋の決断で森田を実家に戻してもらった。そして何度も誓ったはずだ——この先、最期の親孝行の時が来ても、決して森田を私の前に現すことはないと。
そして今。
わずか数年で。
健一は昔の誓いなど忘れ果て、黙って私の前に立ち、青ざめた顔で私の手を掴んだ。
「孝は百行の本だ」
健一は重々しい声で言い放った。「産後のあの件を、いつまでも根に持つつもりか。母さんがこんな状態なのに、もうお前に迷惑をかけることもないだろう」
「俺のためじゃなくても、大輔のことを考えてくれ」
私が大輔を見ると、彼は開き直ったような態度で。
「おばあちゃんがもう危ないのに、最期くらい看取るのは当たり前でしょ」
健一と大輔が態度を示すと、森田はすかさず追い打ちをかけた。「本当に嫌なら、私が出て行くわ。死ぬだけのことよ。どこで死のうと同じことだわ」
あの女の自虐的な演技は、いつも効果てきめんだった。
残念ながら、もう私はあの手には引っかからない。死ぬなんて言葉を聞いて、にっこりと愛想よく微笑んでみせた。
「それはとてもいいことですね!森田さんは傷害保険に入っていらっしゃるでしょう。本当に死んでくださるなら、それも立派な善行というものですわ」
森田は凍りついたように立ち尽くし、震える指で私を指さしながら、突然大声で泣き崩れた。
「なんて恐ろしい!
私はまだ生きているのよ!
あなたったら、私の保険金が目当てなのね」
森田は声を張り上げ、まるで泣き女のように叫んだ。「この鬼畜!うぅ!こんな縁起でもない嫁なんか貰うんじゃなかった!」
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