妻の愛人にクビにされた僕。実は大財閥の御曹司第2話
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美月が何か言いかけたその時、後ろにいた秋人が彼女を強く抱き寄せる。
そこで僕は、二人の指に指輪がはめられていたことに気づいた。それは、僕と美月の結婚指輪だった。
出張先で失くすのが心配だからと嘘をついて、最初から愛人に渡すつもりだったのだ。
「江崎さん、美月を責めないでください。悪いのは全部僕なんです……」
わざとらしいその芝居に思わず鼻で笑った。僕は近くにあった酒を手に取り、秋人に浴びせた。
美月の顔色が変わったかと思うと、次の瞬間には平手が飛んできた。
「徹!いい加減にして!」
彼女は冷たく言い放つ。
「出ていって。後で説明するから」
叩かれた頬がじんじんと熱を帯びる。それでも僕は冷たい目で翠が抱いている子供を見て、指さした。
「今さら何を説明するって言うんだ?」
張り詰めた空気に怯えたのか、子供が大声で泣き出した。
すると、美月の背後にいた秋人が、突然一歩前へ出た。
「江崎さん、僕のことが気に入らないのは分かります。でも、子供には何の関係もないじゃないですか!
家庭の事情で可哀想だと思って、今まで美月への想いには気づかないふりをしてきました。
もし僕たちの関係が原因で、この子が傷つくなら、結婚なんてしなくても……」
美月は焦って秋人の手を握った。
「そんなこと言わないで!あなた以外とは考えられないわ!」
その言葉に秋人は無理に笑みを浮かべると、振り返って皆にこう言った。
「お見苦しいところをすみません。彼はうちの社員で、昔からの知り合いなんです。
家庭の事情もあって大変そうだったので、美月が力になりたいと言って入社を手伝ったんです。
でも、それを勘違いしてしまったみたいで、美月に特別な感情を抱くようになってしまったんです。
長年つきまとわれてきましたが、今では子供まで巻き込むなんて、本当にどうすればいいのかわからないんです」
僕は秋人の茶番を黙って見ていた。今度はどんな嘘を並べるつもりなのか、少し興味があった。
「最低。恩を仇で返すなんて」
「こんな人、うちの会社には必要ないでしょう、今すぐ処分すべきですよ」
「こんな卑劣な奴、警察に突き出して刑務所にでも入れるべきですよ!」
罵声が飛ぶ中、僕は小さく笑った。
「秋人、昔僕に力を貸してほしいって必死に頭を下げていたのは誰だ?
入社して昇進するために、プロジェクトを譲って欲しいと頼んできたのは誰だ?
必要なら、その時の映像を皆の前で流してもいいんだぞ?
美月、君だってあいつとはもう何もないって言ったよな?
何もないどころか、ずいぶん親密になってたみたいじゃないか?
自分で言ったことも、もう忘れたのか?」
言い終える前に、そばにいた翠がケーキを取り、僕の頭に叩きつけた。
「何を勝手なこと言ってるの!
私はずっと二人の成長を見てきたわ。秋人くんが美月に見合うよう、どれだけ苦労してきたか知ってる?
仕事で結果を出すために必死に働いてきた。その姿を、みんなちゃんと見てきたわ。
それなのに、何の証拠もなしに人を悪者扱いするなんて」
仕事?結果を出すために?
笑わせるな!秋人が本当に自分の力で成し遂げたものが一つでもあるのか!
他の役員たちはすぐに翠に同調した。「そうだ!白川さんがこれまで会社にどれだけ貢献してきたと思ってる!ただの社員が何を偉そうに言ってる!」
「こんなやつ、すぐに追い出せ!」
「社長がお優しいから今まで見逃されていただけでしょう」
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