妻の愛人にクビにされた僕。実は大財閥の御曹司第1話
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僕・江崎徹(えざき とおる)が飛行機を降りた直後、妻の美月(みづき)が昔から想い続けていた男と結婚式を挙げるという投稿が目に入った。
急いで会社へ向かったが、エレベーター前で人事部長に止められた。
「あなたは今日付で解雇です。成果も出せない社員を会社に置いておくつもりはありません」
思わず眉をひそめた。ここはそもそも僕の会社のはずだ。
「美月の指示か?」
「ふっ。社長があなたなんかに構うわけないじゃないですか。白川さんの指示ですよ」
あまりのことに、思わず笑ってしまった。いつから白川秋人(しらかわ あきと)が美月の代わりに物を言うようになったんだ?
「二人はどこだ?」
「お二人なら最上階のパーティ会場にいますよ。もっとも、あなたには関係ありませんけどね。あそこは社内でも限られた人しか入れませんから」
僕は黙って人事部長を突き飛ばすと、社員証を取り出し、認証端末にかざした。
「ピッ。最高管理者権限を確認。認証が完了しました」
* * *
僕・江崎徹(えざき とおる)が飛行機を降りた直後、妻の美月(みづき)が昔から想い続けていた男と結婚式を挙げるという投稿が目に入った。
急いで会社へ向かったが、エレベーター前で人事部長に止められた。
「あなたは今日付で解雇です。成果も出せない社員を会社に置いておくつもりはありません」
思わず眉をひそめた。ここはそもそも僕の会社のはずだ。
「美月の指示か?」
「ふっ。社長があなたなんかに構うわけないじゃないですか。白川さんの指示ですよ」
あまりのことに、思わず笑ってしまった。いつから白川秋人(しらかわ あきと)が美月の代わりに物を言うようになったんだ?
「二人はどこだ?」
「お二人なら最上階のパーティ会場にいますよ。もっとも、あなたには関係ありませんけどね。あそこは社内でも限られた人しか入れませんから」
僕は黙って人事部長を突き飛ばすと、社員証を取り出し、認証端末にかざした。
「ピッ。最高管理者権限を確認。認証が完了しました」
会場の入り口に飾られた祝いの装飾を目にした瞬間、僕は思わず足を止めた。
入り口の向こうから、美月の声が聞こえる。
「本日はお忙しい中、私たちの披露宴と息子のお祝いにお越しいただき、本当にありがとうございます。これまで色々と……」
扉を開けると、そこは祝宴の真っ最中だった。
いつも僕には冷たかった義理の母の一ノ瀬翠(いちのせ みどり)が、子供を抱きながら笑みを浮かべている。
そして僕の妻は、大勢の祝福に囲まれながら、見覚えのある男と口づけを交わしていた。
二人が唇を離した瞬間、会場は拍手と歓声に包まれる。その中で、僕だけが拳を握り締めていた。
秋人、この恩知らずが。
秋人が美月を頼ってきたのは、彼の家の会社が倒産した頃だった。
彼を助けたい一心で、美月は結婚して10年になる中で初めて、僕に頭を下げた。
完成済みだったプロジェクトの実績を、秋人に譲ってほしいというのだ。
電話越しに何度も、「この恩は必ず返します」と懇願してきた。
二人が幼なじみだということは知っていた。でも美月は「彼とはもう何もない」と強く言い切っていたんだ。
その後も美月は、「彼には気楽なポストを用意しただけだから」と自分から説明してきた。
今なら分かる。その「ポスト」は、美月の「夫」という立場だったのだ。
「社長は本当に幸せ者ですね!」
「ご主人は業界でも有名なやり手ですし、お仕事もご家庭も順調そのもの。本当に羨ましい限りですよ」
周りの幹部たちが次々に甘い言葉で持ち上げ始めた。
横で翠が得意げに口を開く。
「ええ。秋人くんは有能だし、この子もお父さんにそっくりで、本当に可愛いんだから」
会場は和やかな空気に包まれていた。秋人が幸せそうに美月の腰を抱いている。
その光景を見て、吐き気がした。
「入社当初は実績もなく、美月に迷惑をかけるわけにはいかないと思い、公表を控えていました。ですが、UIプロジェクトを成功させた今、ようやくこうして皆さんに結婚の報告をすることができます」
その言葉に、僕は思わず鼻で笑った。UIプロジェクトが、いつからあいつの実績になった?
あれはずっと僕が担当してきたプロジェクトで、美月を通じて進めていただけだ。
だが、今ならすべて最初から仕組まれていたのだと分かる。
功績を誇らしげに語る秋人を見つめながら、美月が満足そうに笑みを浮かべた。
「秋人は責任感が強いから。誤解を避けるために隠していただけなんです」
「社長、何をおっしゃいますか。白川さんの若さでこの成果は立派ですよ」
賛辞を浴びて、秋人がグラスを掲げようとした。
だがその時、人垣の向こうに立つ僕を見つけ、顔色を変える。
そして、勢いよく立ち上がり、慌てて美月へ視線を向けた。
僕は考える隙を与えず、大股で駆け寄り、そのまま秋人を蹴り飛ばした。
突然の事態に、会場が静まり返る。
「いつからUIプロジェクトがお前の手柄になった?」
真っ先に反応したのは美月だった。彼女は秋人を庇うように僕の前に立つ。
「何するの!」
秋人は彼女を盾にするように身を隠し、背後から僕をうかがっている。
焦りきった彼女を見つめ、僕は冷たく言い放った。
「これが君の言っていた『気楽なポスト』か?まさか、こいつが君の『夫』だと言うつもりか?」
美月が反論しようとした時、経理部長が怒鳴り声を上げる。
「正気か?警備員、警備員を呼べ!
うちの社員か?自分が何をしているか分かっているのか?」
僕は周囲の喧騒など気にも留めず、ただ真っ直ぐに美月を見つめ続けた。
「何か言いたいことはないのか?」
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