夫と秘書がアプリで浮気?即離婚!第2話
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前に私が慶のために選んだ秘書は、有名大学卒で仕事もすごくできる人だった。しかしある時、本当に些細なミスをいくつかしてしまった。
すると、慶はその秘書をすぐクビにしてしまったのだった。
「こんなこともできないやつに、大きな仕事を任せられるかよ」と、私に愚痴までこぼしていた。
しかし今の慶は、なんだかすごく寛大で、忍耐強くなったみたいで、ミスを繰り返す菜々子を許している。
菜々子とはアプリのログイン連続記録チャレンジを行い、菜々子が熱を出した際には点滴に付き添うために、出産真っ最中の妻を放っておくことだってできるのだから。
慶に咎められた菜々子がぺろっと舌を出す。
すると、慶はようやく私のことを思い出したようで、顔に父親になった喜びを浮かべながら、私の目の前に駆け寄ってきた。
「凛、お疲れ様。よく頑張ったな」
慶が私と娘の頬にキスを落とす。
そして、私に言い訳を始めた。
「実は昨日、夜中まで菜々子に残業をさせちゃってさ。それで、熱が出たみたいなんだよ。まあ、労災みたいなもんだろ?だから、ほっといて、もし部下たちから俺が冷たい人間だって思われても嫌だったんだ。
それに、赤ちゃんはまだ生まれなさそうだったから、先に菜々子を病院に連れて行ったんだよ」
一見すれば、ただ自分の行動に「仕事」というもっともらしい理由をかぶせただけのように見える。
だが、その選択の端々に、彼が何を最優先にしているのかがはっきりと滲んでいた。
「池田さんも大人なんだから、自分で救急車を呼ぶことも、友達に助けを求めることもできたはず。なのに、どうしてあなたが病院に連れて行かなきゃいけなかったの?自分の妻が出産中だって知らなかったわけじゃないでしょ?」
すると、突然慶が声を荒げた。「菜々子は会社で倒れるところだったんだぞ?それに、仕事で夕飯もろくに食べてないどころか、水さえ飲んでなかったんだ!
お前はいつからそんなに冷たい人間になったんだよ?」
突然、私は全てがなんだか馬鹿らしく思えてきたので、その場を後にし病室へと向かった。
ようやく落ち着いてきた頃、お腹をすかせたのか、娘が大きな声で泣き始めた。
私が服を捲りあげ、娘を抱き上げると、娘は夢中で吸いついてきた。
しかし、そのとき突然、病室のドアが勢いよく開けられ、大勢の人がなだれ込んできた。
私は慌てて服で胸を隠す。
病室にやってきたのは、会社の同僚たちで、男性も女性もいた。
すると、菜々子が私の前にやって来て、嬉しそうに言った。
「凛さん!出産をお祝いするために、わざわざ同僚のみなさんを呼んできたんです!」
私が一番ボロボロになっていて、一番休みたいときに、菜々子はわざと同僚を呼んだのだろう。
必死で怒りをこらえた私だったが、顔はひきつっていたと思う。
すると、菜々子は慶の前に歩み寄り、目をうるませ、いかにも自分が被害者だという様子で話し始めた。
「私、また何かやっちゃいましたか?でも、わざとじゃないんです。ただ、みなさんに赤ちゃんを見てもらって、この幸せな気持ちを分け合いたかっただけで……」
慶はそんな菜々子の頭をぽんぽんと叩いて慰めると、私の前にやって来て、責めるような口調で言った。
「菜々子も善意でやってくれたんだ。なのに、どうしてそんな態度をとるんだ?」
私はあまりの怒りで笑ってしまった。
「自分の妻が授乳してるところを、大勢の人に見せるのって、そんなに楽しい?」
慶の顔色が少し変わる。
少し声のトーンを落とした慶は、私を宥め始めた。
「分かったよ。今回は俺の配慮が足りなかった。
でも、せっかくみんなが来てくれたんだからさ」
すると、菜々子がその場を取りなすように口を挟む。
「社長。娘さん、本当に可愛いですね。目元なんて、社長にそっくりですよ。
私も抱っこさせてもらってもいいですか?」
私が返事をする前に、慶はひょいと赤ちゃんを抱き上げ、菜々子の腕の中に寝かせた。
菜々子も赤ちゃんの小さな頬にキスをする。
「可愛いですね!私も自分の赤ちゃんが欲しくなっちゃいますよ!」
菜々子を見ながら笑う慶は、甘やかすような口調で言った。
「君自身がまだ子供みたいなもんだろ?自分の面倒だって見れないくせに、子供が欲しいなんてさ」
そう言い終わった瞬間、慶はまずいと気づいたのか、小さく咳払いをする。
その瞬間、赤ちゃんを抱いていた菜々子の体がぐらっと揺れ、菜々子の手から力が抜けた。
私は頭が真っ白になった。とっさに赤ちゃんを受け止めようと体を投げ出したが間に合わず、ゴンッと音を立てて赤ちゃんは保育器の中に落ちてしまった。
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