夫が幼馴染と籍を入れたので、私も別の男と結婚した第2話
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私の両親は私がまだ幼い頃に交通事故で亡くなってしまったため、私は祖父によって育てられた。
幼い頃、他の子が持っているものを、祖父は私にも何一つ不自由なく与えてくれた。
自分自身は肉を食べることすら我慢するのに、私の誕生日には遠くまで歩いて、私の大好物のお菓子を買ってきてくれた。
夏の夜に停電した時は、汗だくになりながらも、一晩中私をうちわで扇いでくれた。
私が大学に合格した時は誰よりも喜び、丸まった背中で近所中に「うちの晴は立派になった!」と自慢して回っていた。
だが、そんな祖父もすっかり年老いてしまった。
特に病気が見つかってからは、よく私の手を握ってこう言っていた。
「晴や、死ぬのは怖くない。ただ、俺が死んだ後、晴がこの広い世界でたった一人、心から寄り添ってくれる人もなく生きていくのが心配なんじゃ」
だからこそ、私は司との結婚を焦っていた。
司を祖父に会わせ、「おじいちゃん、もう安心していいよ」と伝えたかったから。
それなのに、司は?
祖父が病気になった時、全国で最も優れた医療施設と医療チームを手配してくれた司。
私の涙を拭い、「大丈夫だ。俺がいる。全部手配してやるから安心しろ」と優しい声で言ってくれたあの司。
なのに、あろうことか、瞬き一つせずに偽の婚姻届受理証明書を渡してきた。
司は祖父の最後の願いすら、叶えようとはしてくれなかった。
午前中に役所で起きた出来事を思い出しながら、私はピン留めしてある相手にメッセージを送ってからスマホの画面を消し、階下へと向かった。
下へ降りるなり、病院の入り口付近で司の友人たちを見かけた。
彼らは私に気づくことなく、何やら大盛り上がりで話していた。
「司のやつ、あそこまで調子に乗るとは思わなかったよな。莉音ちゃん、足首捻挫しちゃってたぜ」
「そりゃ入籍したばっかだし、テンション上がるのも無理ねぇだろ!」
「それにしても司もすげぇよな。賭けの罰ゲームとはいえ、晴さんの目の前で莉音ちゃんと婚姻届を出すなんてさ!」
「結局のところ、晴さんが司に甘すぎるんだよな。マジで司が何したって許すん……」
その男が言葉を言い終える前に、私と彼の目線がバッチリと合った。
彼は口ごもり、慌てて言葉を濁す。
「は、晴さん?どうしてここに?」
他の友人たちも慌てて表情を取り繕い、しどろもどろに弁解を始めた。
「晴さん、今の冗談だって!本気にしないで……」
だが彼らの言葉は、あながち冗談というわけでもない。
司と一緒にいて、いつも尽くしていたのは確かに私の方だった。
司がどこのパン屋が美味しいと口にすれば、私は3時間並んででもそれを買いに行ったし、司が深夜まで残業していれば、好みの料理を作り、車で街を半周してでも届けに行った。
司に記念日を忘れられても、私は仕事が第一だから気にしないで、と笑って許した。
司の服の衣替えすら、私が季節ごとに完璧にこなしていた。
司の好みも、習慣も、苛立った時の表情も、私はすべて細心の注意を払って心に刻み込んでいた。なぜなら、自分の至らなさで、彼を煩わせたくなかったから。
私が司を愛し、司が私を愛してくれればそれでいい、愛情に見返りなんて求める必要はないと思っていた。
しかし、私のその愛が、司が私を容赦なく傷つけるための刃に変わるとは……
沈黙が流れる中、私も知っている司の友人――三浦克哉(みうら かつや)が口を開いた。
「晴さん、どうしてここに?」
私は気持ちを整理し、彼らに向かって微笑んでみせた。
「夫を迎えに来たの」
男たちは一瞬呆気に取られたようだったが、全員がすぐに「夫」とは司のことだと思い込んだ。
その途端、彼らの顔に何とも言えない複雑な表情が浮かぶ。
「晴さん、司はちょっと立て込んでるみたい。莉音ちゃんの足の怪我、結構ひどいらしくて。
晴さん、気持ちは分かるけど、あれはただの罰ゲームだったんだよ。あの二人にはマジで何もないんだから」
「そうなんだよ。もし司さんと莉音ちゃんに何かあって、晴さんのことも好きじゃないなら、6年も一緒にいるわけない……」
その男が言い終わる前に、克哉が彼の脇腹を強く小突いた。
「晴さん、こいつはそういう意味じゃ……」
私は何も言わなかった。
実のところ、今日この日まで、私は司のことを信じていた。
司と莉音は幼馴染で仲は良かったが、他の仲間たちと同じように、常に一線を引いているように見えていたから。
たとえ時折、気遣いが度を越していると感じても、ただ仲が良いだけだと自分に言い聞かせてきた。
しかし今日、司は莉音と婚姻届を提出した。
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