和紙文夫が幼馴染と籍を入れたので、私も別の男と結婚した · 第3話設定≡

夫が幼馴染と籍を入れたので、私も別の男と結婚した第3話

この話は約1904字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

これでもまだ、二人の間に何もないなんて信じているのなら……

私はただの馬鹿だろう。

それに、私はもう何とも思っていない。

なぜなら、これから司のすべてと無関係になるのだから。

黙ったままの私を見て、克哉は何か違和感を感じたようだ。

「晴さん、ちょっと待ってて。司に電話して聞いてみるから」

克哉は慌てて司に電話をかける。

呼び出し音がしばらく鳴ったあと、男の不機嫌な声が響いた。

「何の用だ?」

克哉が言う。

「司、晴さんが来ているんだけど、会いに降りてこないのか?

二人で晴さんのおじいさんに会うんだろ?」

電話の向こうで少し沈黙があったあと、司は悪びれもせずに言った。

「何をそんなに急いでるんだよ。あいつは待たせておけばいいから。別に、行かないわけじゃあるまいし。

今はこっちが立て込んでいて、手が離せないんだよ」

司がそう言い終えると、電話越しにすぐに莉音の甘い声が聞こえた。

克哉は顔色を変え、すぐに電話を切る。

長い沈黙の後、克哉は気まずそうに言った。

「晴さん、誤解しないで……」

私は小さく笑って何か言いかけようとした時、親友の池田菖蒲(いけだ あやめ)からの電話が入った。

菖蒲の怒声が耳を劈く。

「晴、今飛行機を降りて、あなたからのメッセージ見たところなんだけど、あなたたち結局、入籍してなかったの!?

本当、司さんは何考えてるのよ!あんなに晴と結婚したがってたのに、いざするってなったら、他の女と婚姻届を出してるなんてどういうこと!?」

菖蒲の声は大きく、周りにいる男たちも、頭を掻いたり空を見上げたりして困惑している。

「告白の時、晴を一生大事にするって誓ってたよね?

なのに何よ、今さら晴にこんなことするなんて」

私が菖蒲に答える間もなく、スマホにメッセージが次々と届いた。

それは莉音からの60秒ほどのボイスメッセージだった。

一旦、菖蒲との電話を切り、そのボイスメッセージを聞いてみる。

しかし、聞こえてきたのは、ただの卑猥な吐息だけ。

そして、最後にはこのようなメッセージが送られてきた。【晴さん、もう少し我慢してね。司は、もうすぐ終わるから】

私はこう返信する。

【急がなくても大丈夫だから】

そしてもう一度菖蒲に電話を掛け直し、静かに伝えた。

「私は、もう結婚したの」

菖蒲は一瞬黙って「はあ?」と声を出した。

私は口角を上げる。

「いい人なの。菖蒲が帰ってきたら紹介するよ」

周りにいた男たちは笑った。

「晴さん、そんな冗談はやめてくれよ」

「もう何年も一緒にいたんだ。晴さんと司の仲を、俺たちはみんな知ってるし、司はちゃんと晴さんを大事に思ってるよ」

「こんな長い間ずっといたのに、急に関係が終わるわけないだろ?」

彼らがそう言った途端、一台の車が目の前に停まった。

ドアが開き、きっちりとスーツを着こなした人物が降りてきた。

男がゆっくりと私の方へ歩いてくるのを見て、男たちは次第に言葉を失っていった。

……

「もうそんなことはやめろよ」

司は莉音の足を丁寧に揉み終えると、立ち上がってジャケットを羽織った。

莉音は足を組みながら言う。

「そんなことって何?司が揉むと痛いんだもん。悲鳴を上げるのは当たり前でしょ?」

司は頭を振ったが、それ以上莉音の明らかな計算を追及することはしなかった。

ソファにうつ伏せになった莉音は、眉を上げて尋ねた。

「ねえ、私のあの声を聞いたら、晴さんはどんな顔をするかな?」

そう言って、一人でまた喋り続ける。

「ああ、でも、晴さん、すごく穏やかな性格だから、別に気にしないのかもね」

その言葉の何がいけなかったのか、司の顔からさっと笑みが消えた。

身なりを整えてドアを開ける時、司は呟いた。

「晴は気にしていないなんて言ってるけど、本当はすごく嫉妬深いやつだから、強がってああ言ってるんだよ。

俺たちは6年も付き合ってきたんだ。晴のことは、俺が一番よく知っている」

そう言った司は、晴に電話をかけたが応答はない。

メッセージを送っても、既読すらつかなかった。

司は眉を寄せ、急な焦燥感を覚える。

そんな焦りを抱えたまま、司はまず剛の見舞いに行くことにした。

病室に入ると、剛がベッドに座り、婚姻届受理証明書とある写真を熱心に見つめていた。

司はそんな剛を見た瞬間、心に引っかかっていた不安が一瞬で消えていった。

笑みを浮かべて剛に歩み寄る。

「おじいさん、晴は少し忙しいみたいなので、僕一人で先に来ました。僕のこと覚えていますか?晴の旦那です」

剛は司を見て、次に手の中の写真に視線を落とす。

すると、剛が不思議そうな顔で言った。

「晴の旦那だって?この写真のやつと、顔が全然違うじゃないか?」

目の前に1枚の写真が突き出された。

そこに写っていた人物を見て、司は目を見開く。

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