夫が妹との隠し子を告白した夜第3話
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細かな話し合いを終えたあと、私はさらに病院で中絶手術の予約を取った。
手術までは、あと三日だった。私は家に戻り、荷物をまとめ始めた。
玄関を入ると、リビングにはまだノートパソコンが置かれていた。
今日の飲み会へ向かう前、私たちはソファに寄り添って、結婚式で着る衣装を一緒に選んでいた。
たった半日ほどで、すべてが変わってしまった。
貴重品をしまい終えたところで、奏多が帰ってきた。
彼は私のスーツケースを見るなり、目に動揺を浮かべた。
「離婚するつもりなのか?俺は認めない。
俺はただ、遥と子どもがこそこそ隠れて暮らさなくていいようにと思って、打ち明けただけなんだ」
私は深く息を吸い、吐き気をこらえた。
「奏多、どういう神経をしていたら、私があなたたち三人家族と一緒に暮らせるなんて思えるの?
知ってるでしょう。私は男の裏切りが何よりも嫌いなの」
彼は知っていたはずだ。車の中で父の浮気の証拠を見つけ、もともと気性の激しかった母は怒りで我を失い、その場で父と口論になった。
父は前を見る余裕をなくし、最後には車がガードレールを突き破った。
二人はその場で亡くなった。
あの年、私は十六歳で、遥は十歳だった。
奏多の顔色がわずかに変わった。けれどすぐに、いつも通りの表情へ戻った。
「でも遥は違うだろ。お前の妹なんだ。それにお前は子どもができない。遥の子を自分の子として育てればいいじゃないか。
この三年、遥はお前のために、十分すぎるほど苦しんできただろう?」
そこまで聞いた瞬間、私は怒りで震えが止まらなくなった。
私は口を開いた。妊娠していることを告げて、それを聞いた彼がどんな顔をするのか見てやりたかった。
けれど、やめた。
「春名、お前と一緒にいるせいで、俺は父親になる権利を失っていたんだ。今、ようやくどちらも丸く収まる方法が見つかったのに……」
「気持ち悪いこと言わないで!」
私は鋭く彼の言葉を遮った。涙がまた、情けないほどこみ上げてきた。
私はスーツケースをつかみ、そのまま外へ飛び出そうとした。
「あなたとは、もう二度とやり直さない。
あなたに捧げた八年は、全部どぶに捨てたと思うことにする」
奏多は一瞬呆然としたあと、強引に私を引き戻し、腕の中に閉じ込めた。
遥の香水の匂いが、むせ返るほど鼻をついた。
彼は動揺を必死に押し殺し、声を少し和らげた。
「春名、俺にはやっぱりお前しかいないんだ。これからはちゃんと大切にする。傷つけた分、いくらでも償う。だから、行かないでくれ」
彼の吐息が首筋にかかった。温かいはずなのに、全身から血の気が引いていくようだった。
そのとき、玄関のほうから小さく鍵の開く音がした。
遥がドアを開けて入ってきた。
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