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報われなかった青春を弔う第2話

この話は約1909字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

そのカップル垢を見つけたのは、本当に偶然だった。

その日、私は何気なくスマホをいじっていて、システムのおすすめで表示された投稿の中で、そのアカウントを見た。

アイコンは、私がとても好きなアニメキャラだった。

好奇心に駆られて、私は思わずタップした。

フォロワーは三千人あまり。最新の投稿は、三日前のものだった。

深夜のデスクを写した写真で、添えられていた言葉はこうだった。

【深夜まで残業。彼が『一緒に我慢しよう』って言ったのに、結局デリバリーを二人前頼んだ。ほんと、バカ】

私は無意識のうちに、指を滑らせた。

【彼は、私が最近あまり食事を取っていないことを気にして、ラーメンに入っているチャーシューを無理やり私に分けてくる。私はお肉が好きじゃないって言ったら、『大人になれない子どもだね』って笑われた】

【山頂で星を見ながら、彼は『この瞬間で時間が止まってしまえばいいな』って言った。実は、私も同じことを思ってた】

【風邪をひいたら、彼は仕事を抜けて看病に来てくれた。料理もできないくせに、無理やりお粥を作ってくれて。焦げてたけど、おいしかった】

……

そんなふうに、一つ、また一つと読み進めていくうちに、私の心は理由もなく揺り動かされていた。

ありふれた日常。ささやかで温かなやりとり。それは、かつて私が思い描いていた「理想の恋愛」そのものだった。

祝福の言葉を残そうとして、コメント欄が閉じられていることに気づき、私はフォローだけを押した。

けれど実は、彼らの幸せな記憶において、私はずっと、何も知らない脇役だったのだ。

彼女は【十年付き合った】と書いていた。けれど、私と弘行も、付き合って十年だった。

そして私は清美と知り合って二十年になる。

十歳のとき、彼女は私の家のそばに引っ越してきた。

初めて会った日、彼女はツインテールを結び、いちご味のキャンディを私に差し出した。

「私は清美。これから友だちね!」

小学校から大学まで、私たちはいつも一緒だった。

彼女は私の秘密をすべて知っていて、人生の大事な瞬間を、いつもそばで見届けてくれた。

大学二年のとき、私は弘行と出会った。

建築学科の人気者で、彼に想いを寄せる女の子は数えきれないほどいた。

一方の私は、取り柄もない、ごく普通の存在。彼に気づいてもらえるなんて、考えたこともなかった。

「何を怖がってるの。あなたは文学部のエリートでしょ」清美はそう励ましてくれた。

「よかったら、私が彼の連絡先聞いてこようか?」

やがて、私は弘行と付き合うことになった。

真っ先に清美に伝えると、彼女は私を抱きしめて、くるくると回った。私以上に喜んでいる様子だった。

「すごいじゃん!うちの彩織、ついに願いが叶ったね!」

あのときの彼女が、心から喜んでくれていたことは、間違いない。

ネットではよく、親友は「彼氏にとっての第二の義母」だ、なんて冗談が言われる。

彼氏がどれだけ頑張っても、自分の大切な親友には釣り合わない存在に見えてしまう、と。

清美も、まさにそうだった。

清美は私が恋人ができたと聞いたときは喜んでくれたのに、実際に弘行と会った途端、とても気に入らない様子だった。

清美と弘行が初めて顔を合わせた日、私はフルメイクで、弘行と食堂でデートをしていた。

清美は前日までグループワークに追われ、何日も徹夜したせいで、目の下には濃いクマを浮かべている。

数日洗っていない髪に、ルームウェアとビーチサンダルという格好で現れた。

彼女はそのまま弘行を押しのけ、どさっと私の隣に腰を下ろした。

弘行は一瞬戸惑い、仕方なく向かいの席に座り直した。

清美は遠慮なく彼を値踏みするように眺め、露骨に嫌そうな顔をした。

「……人気者ってこの程度なの?ねえ、急に思ったんだけど、私、喜ぶの早すぎたかも。彩織はもう一回考し直さない?」

容赦のない言い方に、弘行の表情も曇った。

あとで私が、彼に私の親友のことをどう思うかと聞くと、彼も少し鼻で笑うように言った。「まあまあ……」

私は笑いながら、彼の肩を軽く叩いた。「彼女は私の一番大切な親友で、あなたは私が愛している恋人なんだから。ちゃんと仲良くしてよ」

社会人になってから、私は弘行と小さな部屋を借りて同棲を始めた。

清美はよくご飯を食べに来て、遅くなると、そのままソファで泊まっていった。

「なんかさ、私、二人に飼われてる娘みたいじゃない?」彼女は冗談めかして、そう言ったことがある。

すると弘行も、わざと厳しい父親の顔をして言った。「じゃあ、お利口な娘さん。食べてばかりいないで、早く皿洗いしてきなさい」

部屋の中は、いつも三人の笑い声で満ちていた。

まさか、その幸福が、嘘の上に築かれたものだったなんて、思いもしなかった。

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