君を捜し続けても、帰る日は来ない第2話
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車内に重苦しい沈黙が流れた。
礼次は沙羅の変化に気づき、前日の一件を隠し通せないと悟ったのか、言い訳を始めた。
「梨香の祖父が亡くなる前、俺は梨香を守ると約束した。朝倉蒼介がどんな男か、お前も知ってるだろ。あいつと結婚したら、梨香は一生不幸になる。だから式から連れ出したんだ」
どれも沙羅を納得させるための口実にすぎなかった。
礼次が梨香を連れ去ったのは、今も彼女を愛し、ほかの男と結婚する姿を見ていられなかったからだ。
すでに婚約の証としての意味を失ったペンダントを帰宅後すぐに探したのも、梨香と結婚すべきなのは自分だと、心の底で思っていたからだった。
胸の奥が締めつけられるように痛んだ。
沙羅は窓の外へ顔を向けた。
頬を伝った涙は、流れ込む風に乾かされていった。
「朝倉社長にも新しい結婚相手ができたから、もう梨香につきまとうことはないわ。安心して」
断言する沙羅に、礼次はわずかに眉を寄せた。
「蒼介に新しい結婚相手?誰から聞いた?」
その相手は自分だと告げようとした瞬間、車内に着信音が響いた。
電話に出ると、梨香のすすり泣く声が聞こえた。
「礼次、式から逃げたことを両親に知られて、ひどく怒られたの。裏切ったけじめをつけろって、父が人を集めてる。殺されるかもしれない……どうしたらいい?」
「すぐに行く!」
礼次は電話を切り、沙羅を見た。
「沙羅、急用ができた。先にペンダントを探しに行ってくれないか?」
沙羅は口を開いたが、声が出なかった。
黙ってうなずき、ドアを開けて一人で車を降りた。
礼次の車が暗闇へ消えるのを見送ってから、タクシーを拾って処理場へ向かった。
収集車はすでに荷を下ろしたあとだった。
薄暗い照明の下、山のように積み上がったごみを前に、沙羅は袖をまくった。
吐き気をこらえながら何時間も探し、ようやく自分が捨てた物を見つけた。
箱の中身をすべて確かめたが、ペンダントはなかった。
そのとき、家政婦から電話がかかってきた。
「藤崎様、ペンダントが見つかりました。礼次様の枕の下にありました。寝ている間に紛れ込んだのでしょう」
沙羅は力なく笑った。
眠りにつくときまであのペンダントを眺め、梨香を思っていたのだろうか。
毎晩同じベッドで眠っていたのに、沙羅は何も知らなかった。
夜はすっかり更け、郊外ではタクシーもつかまらなかった。
沙羅は歩いて帰るしかなかった。
空が白み始めた頃、靴擦れで足から血を流し、脚を腫らしながら、ようやく家へたどり着いた。
急いで出たため鍵も忘れていた。
疲れきった沙羅には、ドアを叩く力さえ残っていなかった。
玄関にもたれたまま、深く眠り込んだ。
どれほど時間が経ったのか。
誰かに呼ばれ、ぼんやりと目を開けると、礼次の秘書が焦った顔で立っていた。
「藤崎さん、高城社長が大変なんです。すぐ病院へ来てください」
何が起きたのかも分からないまま、沙羅は車に乗せられた。
秋の冷たい風を浴びて意識がはっきりすると、ようやく事情を尋ねた。
秘書は言いにくそうにスマホを取り出し、一本の動画を再生した。
「高城社長は昨日、瀬川家へ行き、梨香さんの代わりに瀬川家が集めた男たちから暴行を受けました。全身を何度も打たれ、意識を失って病院へ運ばれています」
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