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君を捜し続けても、帰る日は来ない第3話

この話は約1388字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

動画には、瀬川家の屋敷で膝をつき、梨香をかばいながら男たちに何度も背中を打たれる礼次の姿が映っていた。

落ちぶれていた頃でさえ、債権者に腕を折られるほうがましだと言い、決して膝をつかなかった男だった。

背中には幾筋もの傷が残り、シャツには血が滲んでいた。

礼次の背中に一撃が加わるたび、自分の胸まで打たれているようで、沙羅は息ができないほど苦しくなった。

病院へ着くと、秘書は病室の前まで沙羅を送り、そのまま立ち去った。

ドアは少し開いていて、中から梨香の泣き声がはっきり聞こえた。

「礼次、どうしてそこまでするの?私はあなたを捨てて海外へ行ったのよ。恨んでいるはずでしょう?どうして式から連れ出したの?どうして私の代わりに暴行まで受けたの?」

ベッドに横たわる礼次の声は弱々しかったが、梨香への複雑な思いがにじんでいた。

「お前がいなくなったばかりの頃は、確かに恨んでいた。でも時間が経つにつれて、これでよかったと思うようになった。俺が愛した女に、狭く古い部屋で苦労させたくなかった。毎日ろくな物も食べられず、働きすぎて倒れるような生活を送らせたくなかった。お前の選択は間違ってなかったんだ」

梨香は声を上げて泣き、礼次の胸へ飛び込んだ。

「それなら、もう私を許してくれたのよね?式から連れ出したのも、私を諦められなかったからでしょう?両親から、代わりにあの暴行を受けるなら私と結婚することが条件だと言われたのに、あなたは自分の意思で受け入れたのよね?」

梨香の問いかけの一つ一つが、沙羅の胸に重くのしかかった。

礼次が梨香との結婚を受け入れた。

礼次がうなずくのを目にした瞬間、すでに傷だらけだった沙羅の心は完全に砕けた。

手からスマホが落ち、硬い音を立てた。

しばらくして、沙羅はスマホを拾い、立ち去ろうとした。

階段のそばまで来たとき、あとを追ってきた梨香に腕をつかまれた。

「藤崎、さっきの話を聞いていたんでしょう?礼次は一度も私を忘れていない。あなたが7年間一緒に苦労しても、私が少し仕向けただけで、あの人は式へ迎えに来た。最初から最後まで、礼次の心にいるのは私だけ。あなたが私に勝てるものなんてある?」

その言葉で、沙羅はようやく理解した。

梨香が蒼介と結婚しようとしたのは、礼次に式から連れ出させるための計画だったのだ。

おそらく梨香の両親も事情を知っていた。

だから梨香の父親は、暴行を止める条件として、礼次に梨香との結婚を約束させたのだろう。

今の礼次は再起を遂げ、以前以上の成功を収めている。

瀬川家がかつての婚約を取り戻したがるのも当然だった。

事情を理解すると、沙羅は滑稽に思えてきた。

「礼次は心のすべてをあなたに差し出しているのに、それでも利用するのね。自分が恥ずかしくないの?」

梨香は信じられないという顔をした。

「利用?私が何をしたっていうの?式へ来たのも、私の代わりに暴行を受けたのも、両親へ結婚を約束したのも、全部礼次が自分で決めたことよ。私は一度も強制してない。あの人は何もかも捨てられるほど私を愛してる。それはあなたが一生かかっても手に入れられないものよ!」

その言葉が、沙羅の胸に深く突き刺さった。

認めるしかなかった。

梨香の言うことは、すべて事実だった。

「そうね。全部、礼次が自分で選んだこと。だから私も、その選択を尊重する。安心して。私はもう身を引くと決めたから。二人で幸せになって」

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