何度も何度も君を諦めて第2話
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明美はすべての手紙を燃やし尽くした後、すぐには家に帰らず、ベンチに長いこと座り込んでいた。
家のドアを押して入ると、悠斗はすでに眠っていたが、ベッドサイドに置かれたスマホが絶え間なく震えていた。
明美はそれを止めようと近づき、うっかりLINEを開いてしまった。
すると、画面いっぱいに広がっていたのは、悠斗と夢乃のやり取りだった。
【なんて偶然なの。
帰国便でまさか悠斗くんの操縦する飛行機に乗れるなんて思わなかったわ。
昔はチャラかったのに、今じゃ立派な機長さんなんだね】
悠斗はしばらく沈黙した後、こう返信した。
【俺が機長になった理由、本当に知らないのか?】
夢乃は笑顔のスタンプを送った。
「まさか私のせい?昔、機長の制服が似合う男の子が好きって言ったから?」
悠斗の返事はたった一言だったが、それだけで明美の心を粉々に砕くには十分だった。
【うん】
明美の目が一瞬にして赤くなり、涙がこぼれ落ちた。慌てて拭い、LINEを閉じようとした時、夢乃とのトーク画面がピン留めされているのが目に入った。
その下には自分のトーク画面があったが、そこには「通知オフ」のマークがついていた。
愛されているか、いないか。一言の差で、天と地ほどの違いがある。
でも、もういい。自分はもう身を引いたのだから。
彼は好きな人を待ち続け、ようやくその人が戻ってきた。彼女も新しい人生を始める。
お互い望んだ通りの結末。これでいいじゃないか。
翌朝、セットしたアラームで目覚めた時、悠斗はすでに家を出ていた。
行き先は言わなかったが、明美には分かっていた。夢乃に会いに行ったのだ。
昨夜、夢乃が「出身校の近くにあるあのレストランに行きたいな」と言ったのを聞いて、悠斗はすぐに予約を入れていたから。
明美はもうそのことを考えないことにした。自分には自分のやるべきことがある。
朝食を済ませ、化粧をしてバッグを持ち、会社へ向かった。そして退職手続きを済ませた。
昼には大学時代のルームメイトたちと集まり、別れの食事会を開いた。
席では、みんな明美が10年間片思いをしてきた話を知っていた。
彼女が別れを決めて故郷に戻り、お見合いをするつもりだと聞いて、人生で一番輝かしい10年を無駄にしたのではないかと、皆が嘆いた。
「明美、何も言わずに去るなんて悔しくないの?悠斗くんに、これまでどれだけ想って、どれだけ尽くしてきたか、伝えたほうがいいんじゃない?」
「そうよ、あんなに好きだったんだから、もう一回頑張ってみたら? 打ち明ければ、彼だって引き止めてくれるかもしれない。
10年だよ、どんなに冷たい人だって動かされるはずよ」
「確かに悠斗くんのやり方はひどいけど、6年間一緒にいたのは明美でしょ。
あの女はずっと海外にいたんだから、彼にとってはただの若い頃の執着かもしれないわよ」
友人たちが自分のために悔しがってくれているのは分かっていた。
でも、明美の決意は固まっていた。もう無意味なことはしたくなかった。そっと首を振った。
「彼は私のことが好きじゃない。伝えても意味がないよ。きっぱり終わらせて、潔く去るほうがいい」
彼女がここまで断固とした態度を見せると、友人たちもそれ以上は言えなかった。ただため息をつき、新しい幸せを見つけてほしいと願ってくれた。
1時間ほど話した後、食事会はお開きになった。
最後の一杯を飲み干し、明美は家に帰ったが、まだ頭は冴えていた。
天気が良かったので、これまで買い集めてきた物をすべて整理することにした。
お揃いの服やカップ、棚を埋め尽くしていた何年分ものぬいぐるみ、洗面所のシェーバー、ドレッサーに溢れる化粧品……
一つ一つ、心を込めて選んだ物ばかりだったが、今はすべてゴミ袋の中だ。
かつて温かかった寝室、キッチン、リビングは、こうしてがらんとし、冷たく静まり返っていた。
でも、明美には分かっていた。自分が去った後、この空いた空間はすぐに新しい物で埋まるだろう。
それらはすべて、新しい住人……夢乃の物になる。
悠斗は3、4日間、家に帰らず、連絡も一切なかった。
明美は彼がどこにいるか気にせず、ゆっくりと荷物をまとめていた。
金曜日は明美の誕生日だった。彼女はケーキを予約し、自分のために花束を買った。
花瓶に花を挿したばかりの時、悠斗から電話がかかってきた。
「明美、今、会社の下にいるんだけど、同僚に聞いたら辞めたって。何かあったのか?」
その言葉に、明美は一瞬驚いた。
長年一緒にいたが、悠斗が会社まで迎えに来たことは一度もなかった。
なぜ急にそんな気になったのか分からなかったが、本当の理由を言うわけにもいかず、適当にごまかした。
「最近疲れてて、しばらく家で休もうと思って」
悠斗はそれ以上追及せず、住所を聞いて迎えに来ると言い、一緒にある場所へ行こうと提案してきた。
30分後、二人は家の前で合流し、明美は車に乗り込んだ。
彼女はどこへ行くのか尋ねなかったし、この数日間なぜ帰らなかったのかも聞かなかった。
ただ静かに窓の外の景色を眺め、二人は無言のまま車を走らせた。
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