仮病の幼馴染を優先して、私を流産させた夫第2話
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三日前は、私と颯太の結婚五周年の記念日だった。
その日、私は妊娠していることが分かったばかりだった。
検査結果を手に病院の前に立ち尽くしながら、私はどうすればいいか分からなくなっていた。
ここ数年、まともに記念日を祝った記憶なんてない。
彼はいつも忙しいと言い訳する。
だが、彼がイベントごとは決まって里奈と過ごしているのは知っていた。
クリスマス、正月、そしてバレンタインまで。
今年の正月、彼は「母さんがお前に会いたくないと言っているから、実家で食事だけして帰ってくる」と言った。
けれど、その日彼は私の代わりに里奈を菊池家に連れて帰った。
彼はその夜帰ってこず、菊池家に泊まったのだ。
だから私は、結婚記念日をきっかけに、颯太とじっくり話し合おうと思っていた。
ちょうど彼が以前山登りに行きたいと言っていたので、山でのピクニックに誘ったのだ。
颯太も結婚記念日だと気づいていたのか、珍しく仕事を理由に断ることはなかった。
私は着替えて、検査結果を持って颯太に会いに行った。
山を登り始めた頃は、まだ和やかな雰囲気だった。
中腹で場所を見つけ、ピクニックをした。
あの瞬間だけは、確かに大学時代に戻ったような錯覚に陥った。
ただ、会話は弾まなかった。
食事が終わり、先に進もうとした時、空が急に暗くなり、雷鳴が轟いた。
私たちが反応する間もなく、土砂降りの雨が降り出した。
近くの東屋に駆け込んだが、雨は止む気配がない。
もともと人通りの少ない場所だったが、雨のせいで私たちの他には誰もいなくなってしまった。
颯太は「来る途中に売店を見たから、傘かカッパがないか見てくる」と言った。
彼は私を待たせ、雨の中へ走っていった。
売店は遠くないはずだが、一時間経っても彼は戻ってこなかった。
私は心細くなり、急いで颯太に電話をかけた。
しかし、電話に出ない。
何度かけても、話し中だ。
私は焦って雨の中を売店へ走った。
だが、売店は閉まっており、人の気配はなかった。
その時、かけ続けていた颯太の電話がようやく繋がった。
電話の向こうから、颯太の焦った声が聞こえた。
「結衣、里奈の発作が出たんだ。
今向かってるから、雨が止んだら自力で帰ってくれ。じゃあな」
返事も待たず、電話は切れた。
私は呆然とスマホを見つめた。
夫が他の女のために、妻を山の中に置き去りにしたのだ。
しかもこんな悪天候の中。
こんな何もない山奥に捨てられたと気づき、慌てて友人に電話しようとした。
だが、電話が繋がった瞬間、二、三言葉を交わしただけで、スマホの電源が落ちた。
充電が切れたのだ。
雨は止む気配がなく、山道はぬかるんでいる。
仕方なく、私は再び雨に打たれながら東屋に戻った。
どれくらい待っただろうか。
日が落ち、あたりが真っ暗になった頃、ようやく雨が上がった。
下山道は一本だけだ。迷うことはないと思い、私は意を決して東屋を出た。
だが、私は自分の体力を過信していた。
午後ずっと雨に打たれ、東屋で何時間も冷たい山風に吹かれたせいで、頭がふらふらしていた。
額に触れると、焼けるように熱い。
早くここを出なければ、動けなくなるかもしれない。
そうなれば危険だ。
私は足を速めた。
だが、どんなに気をつけていても、麓近くで不注意にも足を滑らせて転倒してしまった。
お腹を岩に打ちつけ、激痛に悲鳴を上げた。
痛くて立ち上がれず、股の間から血が流れるのをただ見ているしかなかった。
私は力を振り絞って助けを呼んだ。
幸いにも麓だったので、通りがかりの人がいた。
私の声を聞きつけ、倒れている私を見つけた人が救急車を呼んでくれた。
救急車に乗った直後、私は意識を失った。
目が覚めた時、お腹の子はもういなかった。
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