和紙文仮病の幼馴染を優先して、私を流産させた夫 · 第2話設定≡

仮病の幼馴染を優先して、私を流産させた夫第2話

この話は約1487字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

三日前は、私と颯太の結婚五周年の記念日だった。

その日、私は妊娠していることが分かったばかりだった。

検査結果を手に病院の前に立ち尽くしながら、私はどうすればいいか分からなくなっていた。

ここ数年、まともに記念日を祝った記憶なんてない。

彼はいつも忙しいと言い訳する。

だが、彼がイベントごとは決まって里奈と過ごしているのは知っていた。

クリスマス、正月、そしてバレンタインまで。

今年の正月、彼は「母さんがお前に会いたくないと言っているから、実家で食事だけして帰ってくる」と言った。

けれど、その日彼は私の代わりに里奈を菊池家に連れて帰った。

彼はその夜帰ってこず、菊池家に泊まったのだ。

だから私は、結婚記念日をきっかけに、颯太とじっくり話し合おうと思っていた。

ちょうど彼が以前山登りに行きたいと言っていたので、山でのピクニックに誘ったのだ。

颯太も結婚記念日だと気づいていたのか、珍しく仕事を理由に断ることはなかった。

私は着替えて、検査結果を持って颯太に会いに行った。

山を登り始めた頃は、まだ和やかな雰囲気だった。

中腹で場所を見つけ、ピクニックをした。

あの瞬間だけは、確かに大学時代に戻ったような錯覚に陥った。

ただ、会話は弾まなかった。

食事が終わり、先に進もうとした時、空が急に暗くなり、雷鳴が轟いた。

私たちが反応する間もなく、土砂降りの雨が降り出した。

近くの東屋に駆け込んだが、雨は止む気配がない。

もともと人通りの少ない場所だったが、雨のせいで私たちの他には誰もいなくなってしまった。

颯太は「来る途中に売店を見たから、傘かカッパがないか見てくる」と言った。

彼は私を待たせ、雨の中へ走っていった。

売店は遠くないはずだが、一時間経っても彼は戻ってこなかった。

私は心細くなり、急いで颯太に電話をかけた。

しかし、電話に出ない。

何度かけても、話し中だ。

私は焦って雨の中を売店へ走った。

だが、売店は閉まっており、人の気配はなかった。

その時、かけ続けていた颯太の電話がようやく繋がった。

電話の向こうから、颯太の焦った声が聞こえた。

「結衣、里奈の発作が出たんだ。

今向かってるから、雨が止んだら自力で帰ってくれ。じゃあな」

返事も待たず、電話は切れた。

私は呆然とスマホを見つめた。

夫が他の女のために、妻を山の中に置き去りにしたのだ。

しかもこんな悪天候の中。

こんな何もない山奥に捨てられたと気づき、慌てて友人に電話しようとした。

だが、電話が繋がった瞬間、二、三言葉を交わしただけで、スマホの電源が落ちた。

充電が切れたのだ。

雨は止む気配がなく、山道はぬかるんでいる。

仕方なく、私は再び雨に打たれながら東屋に戻った。

どれくらい待っただろうか。

日が落ち、あたりが真っ暗になった頃、ようやく雨が上がった。

下山道は一本だけだ。迷うことはないと思い、私は意を決して東屋を出た。

だが、私は自分の体力を過信していた。

午後ずっと雨に打たれ、東屋で何時間も冷たい山風に吹かれたせいで、頭がふらふらしていた。

額に触れると、焼けるように熱い。

早くここを出なければ、動けなくなるかもしれない。

そうなれば危険だ。

私は足を速めた。

だが、どんなに気をつけていても、麓近くで不注意にも足を滑らせて転倒してしまった。

お腹を岩に打ちつけ、激痛に悲鳴を上げた。

痛くて立ち上がれず、股の間から血が流れるのをただ見ているしかなかった。

私は力を振り絞って助けを呼んだ。

幸いにも麓だったので、通りがかりの人がいた。

私の声を聞きつけ、倒れている私を見つけた人が救急車を呼んでくれた。

救急車に乗った直後、私は意識を失った。

目が覚めた時、お腹の子はもういなかった。

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