フィアンセの叔父と結婚した第1話
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家族の食事会の席で、母は数枚の男たちの写真を取り出し、私に誰と縁を結びたいかと尋ねた。
今世、私はもう北原辰也(きたはら たつや)を選ばない。ハンドバッグから一枚の写真を取り出し、母に差し出した。
写真に写っていたのは、北原辰也の叔父であり、北原家の実権を握る男、北原拓海(きたはら たくみ)だった。
母は驚きを隠せない様子だった。何年も北原辰也を追いかけていた私を知っているからだ。
だが、母は知らなかった。前世の時、北原辰也と結婚した後、彼がほとんど家に帰ってこなかったことを。
仕事が忙しいのだと、私はそう思い込んでいた。誰かに聞かれるたびに、すべての責任を私自身に引き受けていた。
結婚20周年の記念日、彼が長年鍵をかけていた箱を、誤って壊してしまうまでは。
そこで初めて知ったのだ。彼が愛していたのは、最初からずっと、私の妹だったということを。
彼が家に帰らなかったのは、ただ私を見たくなかったから。
しかし、結婚式の当日、私が北原拓海に指輪を差し出した時。
北原辰也は、狂ったように取り乱した。
* * *
縁談の話が公になった翌日。
私は北原辰也(きたはら たつや)と出くわした。
彼の友人たちは私を見つけると、わざとらしく大声で、話をしていた北原辰也に呼びかけた。
「辰也、お前の可愛いフィアンセが来たぞ」
一瞬にして、すべての視線が私と彼に集中した。
北原辰也は眉をひそめ、不機嫌そうに私を一瞥した。
「香枝(かえ)、まだお前に文句を言ってないのに、よくも先に現れるとはな」
「俺の許可もなく、新海家と北原家の縁談を進めるなんて!恥知らずにも程がある!」
私は言葉を失った。
しまった、北原辰也の叔父も、同じ「北原」だったことを忘れていた。
心の準備はしていたはずなのに、彼の嫌悪に満ちた視線に、息が詰まる。
深呼吸をして、冷静さを保とうと努めた。
「結婚相手は、あんたじゃない」
言い終わらないうちに、先ほど話していた数人が、涙が出るほど笑い出した。
彼らは北原辰也の肩を叩いた。
「辰也、お前のフィアンセは面白いな」
「早く彼女を説得しろよ。こんな古臭い言い訳、恥ずかしいだけだぞ」
北原辰也は笑われて面目を失い、顔を怒りで染めた。
「香枝!ふざけるのも大概にしろ!」
「毎日毎日、俺と結婚したいと騒いでいたくせに、今度は気を引こうとするなんて、反吐が出る!」
彼は私を見下ろし、突然、嘲笑を浮かべ、耳元で囁いた。
「香枝、お前が望む地位はくれてやる」
「だが、籍を入れることは絶対にない。俺がお前を認めないからだ」
驚いた。前世では、彼はこんなことを考えていなかったはず。
まさか......?
考えを巡らせる間もなく、北原辰也の目に興奮の光が宿るのが見えた。
視線を追うと、そこにいたのは私の妹、新海玲奈(しんかい れな)だった。
新海玲奈は私と北原辰也が並んで立っているのを見て、目に涙を浮かべた。
「辰也さん、聞いたわ......私、私はお二人の幸せを祈る......」
言い終わる前に、顔を覆って泣き出した。
北原辰也はそれを見て、私を激しく睨みつけた。
「全部お前のせいだ!お前にはうんざりだ!」
私が我に返った時には、北原辰也はすでに新海玲奈のもとへ駆け寄り、彼女を抱きしめていた。
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