さよならの後で、あなたと恋を第2話
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私はショッピングモールが開くのを待ち、新しいスマホを買った。
帰宅してLINEにログインすると、元学級委員がグループに何枚も集合写真を送っていた。
【瑛斗を見てみろよ。笑いっぱなしじゃないか】
【そりゃそうだろ。行政案件の契約をまとめたばかりで、長年の片思いもようやく実りそうなんだ。仕事も恋愛も順調なら、うれしくないわけがないじゃないか】
【瑛斗、結婚するときは絶対に呼べよ!】
次々と名前を挙げられた瑛斗は、短く返事をした。
【変なこと言わないでくれ】
すぐあとに、依由が頬を赤らめたスタンプを送った。
グループは一気に盛り上がった。
私はそれ以上読まず、ベッドに丸まると、うとうと眠りに落ちた。
眠っている間、いくつもの夢を見た。
高校の入学式の日。
壇上でスピーチをしているのが、幼稚園に上がる前まで隣に住んでいた男の子だと気づいた。
それが、恋の始まりだった。
休み時間のたび、私はこっそり彼の後ろ姿を眺めに行った。
彼に合わせて理系を選び、同じ大学の同じ学科に入ろうと、必死に勉強した。
次に見たのは、大学3年生の頃の夢だった。
クラスで一番きれいな女の子が、私に相談を持ちかけてきた。
瑛斗から熱心にアプローチされていて、どう断ればいいのか分からない、と。
不意に目の前が濃い霧に覆われた。
霧が晴れると、依由が結婚した日の午後になっていた。
瑛斗は私の家の前で待っていた。声には力がなかった。
「梨瑚、祖父の容体が悪化したんだ。最期に、俺が家庭を持つところを見たいって......だからさ、力を貸してくれないか?」
私ははっと目を開けた。
もう午前11時だった。
急いでシャワーを浴び、清潔な服に着替えた。
寝室を出ると、テーブルの上に見慣れない弁当用のバッグが置かれていた。
瑛斗がキッチンから出てきた。自然と口元がほころび、声にも笑みがにじんでいる。
「起きたか。こっちに来て、少し食べなよ。膝の調子は?スマホは買えた?」
写真の中の彼と、まったく同じ顔だった。
依由が離婚したことが、本当にうれしいのだ。
私は、器に盛られた料理に目をやった。
弁当用のバッグの中にも、同じものが入っているのだろう。
彼がいつ帰ってきたのかは知らない。
けれど、依由の昼食を作るために戻ったのだろうとは察しがついた。
ここにあるのは、そのおこぼれのようだった。
胸が詰まり、私は首を横に振った。
「いい。これから取引先の人に会うから」
彼は今思い出したような顔をしたが、笑みは消えなかった。
「契約が決まったら、明日の夜、ついでにそのお祝いもできるな」
――ついでに?
ついさっき、依由がタイムラインに投稿していた。
明日の大学の創立記念行事が終わったあと、特別な集まりがある、と。
3年前、彼女は結婚式のブライズメイドを私に頼んだ。
私が家にこもりがちで友達も少ないから、ついでに何人か男性を紹介してあげると言って。
あのとき、瑛斗はそう遠くない席に座っていた。
けれど、一度も私に目を向けなかった。
今度は彼女が離婚して、また「ついでに」私の契約成立を祝うのだという。
愛しているか、いないか。
その違いは、こんなにもはっきりしているのだ。
結婚してからの瑛斗は、いつもどこか気を張っていて、こんなにくつろいだ様子を見せることはめったになかった。
それが今では、私にまで笑顔で話しかけてくる。
考えてみれば、これも依由のおかげかもしれない。
靴を履き替え、私は何も答えずにカフェへ向かった。
今回の商談には、万全の準備をしてきた。
提案の半分ほどを説明したところで、先方は契約を決めてくれた。
ほっと胸をなで下ろし、バッグから契約書を取り出す。
そのとき、私を呼ぶ声がした。
「梨瑚?偶然だね」
依由が、同級生の女性たちを連れて近づいてきた。
私の手にある契約書を見ると、満面の笑みを浮かべる。
「大手スーパーとの取引?安心して、私から話を通しておいたから、絶対に契約してもらえるよ」
私は呆然とした。
何を言われたのか、すぐには理解できなかった。
これは、何か月も必死に取り組んで、ようやくここまでこぎ着けた案件だ。彼女に何の関係があるというのだろう。
依由は軽く手を振った。
「お礼はいいよ。感謝するなら瑛斗にして。あなたの就職先を世話してほしいって頼まれたから。今回の案件を紹介したのも、彼の頼みだし」
先方は眉をひそめ、不快そうにペンを投げ出した。
「榎並さん、裏から手を回して入社したうえに、私との契約までコネで取りつけるつもりですか?」
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