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あなたを救ったこの手で、二年間の結婚に幕を引く

言語日本語
章数全71話
試し読みなし(公式アプリで読めます)
掲載日

『あなたを救ったこの手で、二年間の結婚に幕を引く』は日本語の小説です。本文は公式アプリでお読みいただけます。アプリでは第7話まで無料で読めます。

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あらすじ

松下咲良はベッドの脇に立ち、離婚協議書を差し出した。

小松秋晴はヘッドボードにもたれたまま、顔を上げようともしない。

結婚して二年。彼は妻を呼びつけては追い払い、想いを寄せる別の女性ばかりを宝物のように扱ってきた。咲良など、都合よく使える道具にすぎない。怒りもせず、何をされても拒まず、どれほど踏みにじっても離れてはいかない。そう思っていた。

けれど、彼女の命はもう長くなかった。

心臓はあと数か月ももたない。命の危険を告げる診断書を握りしめていたが、彼に見せる気にもなれなかった。 どうせ信じてもらえない。

「離婚しましょう」

秋晴は気取った、蔑むような笑みを浮かべた。「俺と別れて、ほかに誰がお前を欲しがる? 咲良、自分の立場をわきまえろ」

咲良は何も言わなかった。

彼が真実を知るのは、その後だった。自分が疎んじていたあの心臓は、かつて彼女が自らの手で彼に移植したものだった。

宝物のように大切にしていた想い人の立場も、彼女が手放したものにすぎなかった。 見下していた地方出身の娘は、国内一の富豪が二十年も捜し続けていた実の娘だったのだ。

やがて彼は、目を赤くして雨の中にひざまずいた。その声は、別人のようにかすれていた。「咲良、俺をその気にさせておいて、今度は捨てるのか。何の権利があって?」

咲良は傘を差したまま、彼を見下ろした。

「あなたとのお遊びに飽きたからよ、小松社長」

「それだけか?」

「それだけ」

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