8年の恋より秘書を選ぶ?同窓会で結婚を大発表第3話
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彼の声は大きくなく、むしろひどく冷静な響きすらあった。
まるで「今日の天気はどうだ?」と尋ねるかのように。
私は瑞樹の向かいに座り、8年間愛し続けたこの男を信じられない思いで見つめた。
付き合い始めた頃、「一生で最大の願いは、早く卒業してお前をお嫁さんにすることだ」と抱きしめてくれたのは、彼だったのに。
仕事で忙しい時も、「お前と結婚することを考えれば力が湧いてくる」と言っていたのも、彼だったのに。
それが今では……彼を追い詰めることになっているなんて。
私が結婚を焦っているだけだなんて。
「瑞樹、あなたが言ったじゃない……」
「だから何だ?」瑞樹は苛立った声で私の言葉を遮った。「人間の考えなんて変わるもんだろ。
今は忙しいし、まだ結婚したくない。それでいいだろ?」
そう言うと、彼は乱暴に立ち上がった。
椅子が床を擦り、耳障りな音が響いた。
「頭を冷やしてくれ。会社に用があるから、先に行く」
バタン!
乱暴にドアが閉まる音が響いた後、部屋は深い静寂に包まれた。
私は呆然と椅子に座ったまま、目の前にある閉じられた指輪ケースに視線を落とした。
まるで思い切り平手打ちを食らったかのように、顔が火照るように痛んだ。
8周年の記念日に、私が勇気を振り絞って用意したプロポーズは、こんなにも無惨な形で。
終わりを告げたのだ……
ピコン。
業者に依頼して編集してもらった、8年間の思い出をまとめた動画が送られてきた音だった。
本当は、瑞樹と一緒にソファでくつろぎながら大画面で見るつもりだったが、もう必要なくなってしまった。
スマホを傍らに置こうとした時、うっかり再生ボタンに触れてしまった。
次の瞬間、まだ若々しくも、自信と希望に満ちた少年の声がスマホから流れてきた。
「今日は○○○○年の夏休み。俺と瑠夏は鏡湖に来ている。俺、斉藤瑞樹は、この鏡湖に誓う。一生、瑠夏を愛し続けると!」
それは高校卒業後、瑞樹と二人きりで初めて旅行に行った時のものだ。目的地は雲嶺市だった。
青葉山の麓、鏡湖の畔で、少年は永遠の愛を誓ったのだ。
続いて、私と瑞樹の写真が次々と映し出された。
子供の頃に手を繋いで遊園地を歩く姿、大学で一緒に授業を受ける姿、雨の日に道端で雨宿りをする姿、初めての同棲で一緒に料理をする姿……
瑞樹に関するすべての思い出が、一コマ一コマ脳裏に蘇ってくる。
私は結局、この幼馴染としての絆を断ち切ることができなかった。
きっと、瑞樹は起業してからのプレッシャーが大きすぎて、あんな態度を取ってしまっただけなのだ。
私が彼を理解してあげるべきなのだ。
そう自分を納得させ、私はコートを羽織って彼の会社へと向かった。
社長室のドアをノックしようとした時、中から不思議そうな男性の声が聞こえてきた。
「瑞樹、お前一体どういうつもりなんだよ。瑠夏ちゃんと付き合って8年だろ?彼女がプロポーズしてきたのは、ただお前と結婚したいだけじゃないか。わざわざ会社に逃げ込むことないだろ?
それに、学生時代はお前、よく『あいつは俺の未来の嫁だ』って公言してたじゃないか。どうしていざ結婚できる年齢になってから、こんなに引き伸ばしてるんだよ。彼女からのプロポーズを断るなんて」
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